!ちょっとだけネタバレがあるため読了後の閲覧をおすすめします
おはよう/おやすみ
装丁
カバー:ミランダ スノーホワイト 130kg/表紙:マットポスト 180kg/本文:ソリストミルキー 56kg印刷所:株式会社RED TRAIN
A6(文庫本)/カバークリアPP/98ページ/40字×16行/筑紫オールド明朝/8pt
制作中の色々
人生2冊目の同人誌。「小説の本」といえば文庫本か新書という認識だった。ハードカバーより新書の印象が強いのは講談社ノベルズばかり読んでいたためである。
なので文庫本同人誌には強い憧れがあった。もし2冊目を作ることがあるなら文庫本を作ろうと考えていたのだが、まぁ最小ロット1冊で文庫本を作れる印刷所の無いこと無いこと。あってもそっとブラウザを閉じるような値段なので諦めていたのだが、ようやく希望通りの印刷所を見つけられたので制作にかかった。
この年(前年だったかもしれない)には元号が変わると報じられた。その際「平成が終わるのに同人誌作らなくてどうすんだよ」といった旨のツイートを見かけ、作ってみたいなぁとぼんやり考えていたのもきっかけのひとつだ。元号が変わるなんて人生に一度あるかないかぐらいの大イベント(?)だしやるべきでは!?(ぐるぐる目)
奥付も平成表記で書いた。どうせならと日付も平成最後の日に。
絶対に平成の間に手に入れたいと思い、印刷所に30日までに納品してほしいと希望を出した。快く受け入れてくれた印刷所の方のおかげで無事に平成の間に発行することができた。
カバーはこのようなデザインだ。
上手く言えないのだが、眠りと覚醒の合間をイメージして深い青がにじむデザインにした。また、夜空のようにしたいと思ったため、主題である「眠り」にあわせベッドメリーのような星を描いた。カバー用紙をキラキラ感のある「ミランダ スノーホワイト」にしたため、星がきらめく夜空感が出て非常に満足している。クリアPP加工をしたので前回同様キラキラ感は減っているが、これぐらい控えめな方が自分には好みかもしれない。
カバー折り返し部分には広辞苑からタイトルの「おはよう」「おやすみ」の語を引用して書いた。西尾維新作品ばかり読んでいる人間としては、カバー折り返し部分にこういう文章を書くのは憧れだったので非常に満足している。
組版はこのようになった。
手持ちの文庫本を漁りに漁り何度も家で試し刷りをして確認したのだが、まぁ小口と地が笑えるほど狭くて読み辛い。字間も行間も開きすぎて読み辛い。今一太郎で設定を確認したら字間7%、行間78%だった。字間は0%にしろ!!!!
それでも自分が書いた文章が文庫本になっていることにとても感動したことを覚えている。自分が書いたものが市販の本と同じ規格で印刷されるというのは存外嬉しいものだ。
文庫本1冊作るためにはどれぐらい書けばいいのか、常に3000字が限界である自分がそんなに長い文章を再び書けるのか、と不安だったため、数作品書けばなんとかなる短編集にした。舐めてかかったのもあり正直地獄だった。
短編集にするならば主題は統一したい。では何にする?と考えた結果、自分のヘキである「相手の寝顔を見る」「相手に『おはよう』『おやすみ』と言う」シチュエーションにしようということになった。タイトルも悩んだ結果ここに落ち着いた。
ただ短編集にする際問題があった。自分の推しカプや推しグループで書くとなると、BLが混じってしまうのだ。HLやユニットが多い中BLをねじ込んでいいのか?やめた方がいいのでは?と悩んだのだが、最終的に「地雷が回避できない紙媒体を手に入れるのは自分ただ一人なのだから全く問題がない」と結論づけてねじ込んだ。
自分だけがひたすらに楽しい図。またの名をヘキ一覧。
書いてても読んでても無茶苦茶楽しかったので開き直ってよかったと思っている。
タイトル・ページ数とカップリング名は同じ行に書きたかったのだが、自分の知識と技術ではこれが限界だったため妥協。次回短編集を作る際は改善したい。
前回の反省を踏まえ、本文用紙は黄みがかっており厚みも薄めな「ソリストミルキー 56kg」を使用。めくりやすく、かといって薄すぎないちょうどいい仕上がりになった。
裏話……というかあまりにも間抜けな話なのだが、「平成の終わりに文庫本を作る」と決めてからカバーを作り、そこで満足してそのまま数ヶ月放置していた。
そのままだらだらと過ごし、気がつけばもう3月。平成はあと1ヶ月で終わってしまう頃である。
そこで3月中頃に急いで印刷所に予約を入れたのだが、
呑気な僕 「30日までに届けば良いし、製本に最長7日ほどかかるなら3月22日入稿で予約取ればいいよね(申し込み)」
印刷所さん「30日到着希望ならGW進行になるので15日までに入稿してください」
呑気な僕 「マジか(はい)」
ということで、1ヶ月で本1冊分になる程度の数の短編を書かねばならないこととなった。アホとしか言い様がない。GW進行ぐらい予想できただろうに。印刷所さん「30日到着希望ならGW進行になるので15日までに入稿してください」
呑気な僕 「マジか(はい)」
元から書いていたプロットは7本あったのだが、前述通り1ヶ月しかなかったこと、どれも思いの外が長くなったこと(大体1本5000字~1万字)、途中で考えていたプロットがいくつか納得できなかったこと、様々な要因が重なって実際は5本収録となった。
また、カバーや表紙を全面に描く形式にしたため、塗り足しや裁ち切りといった原稿の作り方を平行して勉強しなければいけなかったこともかなり辛かった。元から作っていたカバーも、そのことや背幅分の数字を完全に忘れていたため、3割ほど作り直す羽目になった。
このような事態になったため、趣味全てを犠牲にし、生活リズムが崩壊し、体調を崩し、とろくなことが起こらなかった。今回の何もかもに言えるが、事前に調べるべきだった。計画性が無い人生を歩んできたツケである。
内容自体の裏話としては、氷雪と魂はかなり仲が良く、魂自身が氷雪を応援しているため色々と気を回してくれていることぐらいか。識苑に対しては公式通り当たりが強いが、こっちもこっちで色々と気遣っている。自分が書く赤志魂は「実はけっこう面倒見がいい(公式設定)苦労人気質(妄想)」である。
締め切り前日にプロットが1本できたため締め切り2時間前までひたすら書いていたのだが、結局満足できる仕上がりにならなかったため諦めた。こちらは後々完成させwebで公開した。
また、本文がギリギリ100ページを超えなかったことが心残りだ。前述の通り字間行間がかさ増し設定だったからこそこのページ数になったのだが、やはり100ページは超えたかった。3桁ページは夢である。
似たような主題で「相手を寝かしつける」という自分の大好物なシチュの話を書けなかったことも少し残念だ。一応プロットは1本あったのだが、カップリングが被ったため泣く泣く見送った。自分で短編集を作るなら絶対にカップリングを統一するか全てバラバラにするかのどちらかにしたい。
当初収録する予定だったニアノアレフや後輩組の話を書き、余白などの設定もしっかり直し、作り直すのもいいかもしれない。けれど制作から5年も経った今、昔の小説を読み直し校正する気力は無い。全てもっと計画的に、余裕を持って作ればできたことだ。自戒。
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