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No.141
twitterすけべまとめ【ライレフ/R-18】
twitterすけべまとめ【ライレフ/R-18】
twitterで書き散らしてた大体2000字ぐらいのすけべまとめ。twitter掲載時から修正とか改題とかしてるのは気にするな。
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獣誘う紅白
こめかみを、頬を、おとがいを、汗が伝っていく。大粒のそれは顎に到達し、そのまま重力に従い真下に落ちた。ぼた、と重い音とともに、甘やかな声が身体の下から聞こえた。
喘鳴めいた呼吸が二つ重なる。薄暗い寝室に、荒くもとろけた音が響く。それらが落とされていくシーツは、激しい運動とそれに伴う汗で湿り多量の皺が走っていた。
ぁ、と開きっぱなしの口から声が漏れる。呼吸にも嬌声にも嘆息にも似ていた。
繋がってしまうのではないかというほど押しつけた腰を、ゆっくりと引く。動きに合わせ、溜めに溜め込んだ精を何度も吐き出し硬度を失った昂ぶりが、温かで柔らかな肉筒から去っていく。敏感な粘膜を擦られてか、上擦った声が頭のすぐ下から聞こえた。
ずる、と鋭さを失った剣が鞘から抜き出される。温かな繋がりが途絶え、雷刀は小さく息を吐く。大切な人と繋がる喜びを失うのは切ない。しかし、もうすぐ片手で数えられなくなるほど交わったのだ。これ以上は愛する人に負担がかかってしまう。今日のような被せ物無しの粘膜接触ならば尚更だ。
ごぽり、と重い音があがる。響いたそこに自然と視線が吸い寄せられた。
音の発生源は、今の今まで繋がっていた場所だ。解し耕され加減無く打ち付けられたそこは、縁が赤く膨れていた。ぷっくりとしたそこから、白いものが――己の種が溢れ出るのが見えた。体液で濡れて光る赤く熟れた場所を、濃厚な白がしたたり染めていく姿は、この上なく淫猥なものだ。それこそ、ようやく満たされたはずの腹が飢えを訴え始めるほど。
まずい、と朱は急いで視線を逸らす。あんな猥褻極まる光景を見て平常でいられるわけがない。欲望に忠実な己なら尚更だ。もう視界に収めることのないように強く目を閉じる。しかし、真っ黒な瞼の裏にはあの卑猥な紅白がはっきりと浮かび出ていた。
ぅ、と苦しげな声が聞こえる。反射的に目を開け、愛しい響きの方へと目を向けた。
組み敷いていた弟は、これでもかというほど眉を寄せていた。涙をたたえた浅葱が眇められ、こちらをに睨みつける。鋭い視線への恐れよりも、匂い立つ性の色香を感じた。
「……だしすぎです、ばか」
二人分の唾液で濡れた唇が、可愛らしい罵倒を紡ぎ出す。涙で濡れた頬は依然赤く、水気を多分に含んだシーツの上に投げ出された体躯は性的興奮で赤らんだままだ――もちろん、雄を迎え入れ悦びを謳い上げた場所も。
ごぽ、とまた濁った音。ぅ、と鈍い声。後者は羞恥を孕んでいた。当たり前だ、たとえ恋人の前とはいえ腹の中から精液をこぼす姿を見られて恥ずかしくないわけがない。紅潮した身体が逃げるように身を捩る。更に注がれた欲望を吐き出す手伝いをするだけだった。
そして、そんな姿を見せられて、つがいが反応しないわけがない。
は、と無意識に息を吐く。情火の焔灯ったものだ。先ほどようやく消えたはずの欲望が、再び燃え盛る。頬が、心臓が、中心部が、熱を持つ。気付けば、離した身体をまた寄せていた。ずる、と擦れる音。白でつやめくそこに雄の器官を無意識に押しつけていた。
「ちょ、と、なにしてるんですか」
ばか、ばか、と拙い罵倒と力ない打撃が飛んでくる。紅が差した目尻を雫が伝っていく。普段は可愛らしく思うはずのそれが、妙にいやらしく思えた。
「ぁ、いや、ごめん。だいじょぶ、しない」
しないから、と吐き出すものの、力を失ったはずの雄茎は血を宿し天へと向いていた。やべ、と内心慌てふためく。駄目だ。これ以上は駄目なのだ。我慢しないといけないのだ。人より幼い理性を総動員して熱を押し込めようとする。でも、でも、と獣の本能は獰猛な声をあげた。
「……あといっかいだけですからね」
それいじょうはむりです。ばか。
もつれるように紡ぐ声と睨めつける目には、火が宿っていた。己と同じものだ――情欲だ。獣欲だ。つまり、つがいを求めている。
いいのか。身体大丈夫か。無理すんな。言うべき言葉は山ほどある。けれども、喉が発したのは呻きだけだ。ぐ、と息を呑むようなそれは、明らかに人間のそれではない。本能に従順な獣のものだった。
ずり、とぬめったもの同士が擦り合わされる。雄自身が触れる度、白で彩られた赤は甘えるように、誘うように、食むようにはくはくと蠢いた。
誘われるがままに腰を突き出す。とろけた声が二つ、薄闇に響き渡った。
溺れるぐらい愛したげる
腰を押しつけ、引き、再び押しつける。その度にぐちゅん、と粘ついた音があがった。淫らな響きが、鼓膜を震わせ聴覚を刺激する。音を認知する神経は、それを快楽の一部だと解釈した。ただでさえ高ぶった精神が、ますます高揚していく。欲望がままに、少年は引き締まった腰を動かした。
「れふとっ、れふと、きもちい?」
一心不乱に突き上げながら、雷刀は問う。切羽詰まった響きには、様々な色が滲んでいた。きちんときもちよくなっているだろうかという不安、愛しい人と繋がっているという興奮、夜とはいえこんなにも激しい性行為に及んでいるという背徳感、つがいに種を植え付けたいという獣としての欲望。ぐちゃぐちゃになったそれが、肉と肉が交わり合う音の中に響いた。
「っあ、ぁ、あッ……ぅぁ……ッ」
問われた烈風刀は言葉として構成されていない単音を発するだけだ。唾液でつやめく唇からはあー、あー、と譫言のような音があがるばかりで、答えが返ってくることはない。
弟ははっきりと物を言う性格だ。痛覚を刺激されたのならば『痛い』と素直に告げ、嫌なことをされたのならば『やめろ』と明確に抗議する。なのに、今はそれが無い。ただただ意味を持たない声をあげるだけだ。
聡明な頭脳を持つ彼が、言語化を得意とする彼が、簡単な問いに答えられないほどの状態になっている。答えられないほどの状態に、己がしている。
ぞくりと背筋を何かが駆け上がっていく。満足感、安心感、支配感。どれとも捉えられるものだ。
「……きもちいね、れふと」
笑みを浮かべ、朱は呟くように語りかける。ゆるりと上がった口角は、どこか獰猛な印象を植え付けた。
ぅあっ、と短い嬌声があがる。瞬間、雄の象徴を咥え込んだ柔肉が強く締まった。潤んだ熱い粘膜が、昂ったモノを抱き締め絡みつく。直接的な刺激に、少年は眉を寄せた。過ぎた快楽を堪えるためだ。まだまだ先は長いのに――まだまだきもちよくなってもらいたいのに、もっときもちよくさせてあげたいのに、こんなところで果てるわけにはいかない。欲望を放出しないよう、必死に腹に力を込めた。
もっときもちよくなろうな。
囁き、兄は己の下で乱れる弟に微笑みかける。慈愛の満ちた笑みだ。安堵が滲む笑みだ。餌を見つけた獣の笑みだ。欲望に支配された笑みだ。
ぐっと腰を押しつける。隘路の奥底が彼がいっとう好む場所だということは、とうの昔に知っている。大好きな人がたくさんきもちよくなってくれるそこを、張り詰めた先端でぐりぐりと刺激した。
高い艶声が室内に響き渡る。快楽に支配された響きに、朱は満足げに目を細めた。
うちがわのこうふく
47.抱かれはじめの頃は「れふと、どっちでイきたい?」って聞くと「前で、ぃ、イきたい…出したい…っ」ってもどかしそうに腰くねらせながら訴えてたのに、いつの間にか「このまま♡このままがいいっ♡あッ、あ゙♡あ♡奥いっぱいくる♡んあ、ぁ゙♡いく、いくっ♡♡♡」って甘く喘いで中イキするのが上手になったつまぶきれふとくん。
変態に抱かれるおひとりさまガチャ
瑞々しい果実を潰したような音が鼓膜を震わせる。実際はそんな美しいものではない。ただ、けものとけものが交わっているだけだ。
「あっ、ぁッ……ぅ、あ」
ぐじゅん、と淫らな水音と同時に、脊髄を快楽が走っていく。凄まじい勢いのそれが、そのまま脳味噌に叩き込まれる。頭が痺れる。身体が震える。声が漏れる。このいっときは、身体すべてがきもちよさに支配されていた。
まぐわい猥雑な音が奏でられる中、愛しい響きが聞こえる。脳味噌のどうにかまともに機能している部分が、れふと、と己を示す言葉を理解した。
らいと、と反射的に己を求めたつがいの名を呼ぶ。らいと、らいと、と幼子のように何度も繰り返す。奏でる音は幼子そのものの拙さだ。身体は快楽を拾うことに一心不乱で、舌を動かし言葉を発するなどという高等技術をこなすことは難しかった。
れふと、と応えるように名を呼ばれる。己を示す三音節を作った口、その端がニィと吊り上がる。同じほど感じているであろう法悦を耐え忍ぶように眇められた目が、ゆるりと弧を描く。笑みだ。しかし、そこには普段の快活で明るい輝きは無い。肉食獣が獲物を見定めた時の形だった。
「れふと、どっちでイきたい?」
痕を付けんばかりに腰を掴んでいた片手が離される。そろりと腰を撫で、腹を伝い、下部へと向かう。少し表面の硬い指が、すっかり充血し涙をこぼす烈風刀自身に這わされる。表面をそっとなぞる程度の動きだ。それでも、酷く直接的な刺激に少年は大きく身体を跳ねさせた。
兄は問うているのだ。雄の器官で達したいのか、内部を雄に蹂躙されて達したいのか、と。
もちろん前者だ。肚の内を暴かれることに慣れていない身体は、敏感なる部位を刺激させることでしか精を吐き出すことしか知らないのだ。前者以外に選択肢はない。
「――か」
しかし、それも数ヶ月前の話だ。
交合を重ねた身体は、兄に丁寧かつ好き勝手に愛された身体は、すっかりと内部を刺激される魅力を知ってしまった。覚えてしまった。それこそ、もうそれ以外など考えられないほどに。
「ナカ、ぁっ……、このまま、おなか……、おなか、いっぱいッ……!」
快楽漬けにされた脳味噌が言葉を奏でる。思考機能も会話機能も投げ捨てたはずの頭が、まともに機能する。否、まともとは言い難い。きもちいいことだけを考え、きもちいいことをめいっぱいに求めているだけなのだから。
卑猥な願いを口にした途端、ぎゅうとナカが締まる感覚がした。ただでさえ狭い肉の道が更に細くなり、迎え入れた雄を抱き締める。種をねだるように、内壁がうぞうぞと蠢き剛直を撫で上げる。全て己がやったことだというのに、それだけできもちがよくて仕方が無い。ひぁ、と高い嬌声が漏れ出る。ギリ、と歯が擦れる音が降ってきた。
「ッ、わかった」
雷刀は愛おしげに目を細める。薄くなったルビーの中には、情欲と愛欲、嗜虐の炎が燃え盛っていた。情事の時のみ見せる表情に、烈風刀はぶるりと背を震わせる。涙膜張るエメラルドがとろりととろけた。
ごちゅん、と骨に響くような重い一撃が腹を穿つ。快楽神経を破壊せんばかりの凄まじい快感が、身体中を支配する。恐ろしいほどのきもちよさを生み出したそれが、何度も何度も繰り出される。当たり前だ、たった一発で頂点へ至れるはずなどないのだから。
いっぱいイかせてやっからな。
優しい、甘い、愛おしい、大好きな声が、耳に直接注ぎ込まれる。容赦はしないぞ、と暗に語るそれに、碧はへにゃりと相好を崩した。
けもののまぼろし
58.夢の中なら注がれすぎてボッコリお腹膨らませたつまぶきれふとくんが見られるし、全身汚されて暴かれきったぐっちゃぐちゃの痴態を見せつけるように晒したれふとも、とろりとした甘い声で「孕まされちゃった」「すき」「もっとあいして」ってだらしなく緩んだ笑顔で手を伸ばしてくれる。
変態に抱かれるおひとりさまガチャ
ぐちゅ、と粘ついた音が鼓膜を震わせる。淫猥な響きが次々と耳から脳味噌を犯し、心を、身体を昂らせていく。吐き出す息は炎をまとったかのように熱かった。
卑猥な水音があがる度、高い何かが空間に響き渡る。嬌声だ。上擦り熱にとろかされた甘い声が、聴覚を支配する。聞いたことのある愛しい声だ。けれども、聞いたこともない淫らな声だ。何だ、とぼやけた思考が動き出す。焦点の合っていなかった朱い瞳が、世界を認識する。
実像を映し出した紅玉がこれでもかと瞠られる。八重歯覗く口から、え、と驚愕のあまり呆けた声が漏れる。それもすぐに、激しい水音――己が腰を振りたくり、打ち付ける音に掻き消された。
視界いっぱいに、碧と白と赤が広がる。ぐしゃぐしゃになった白いシーツの上、柔らかな碧い髪が、日焼けしていない白い体躯が散っていた。普段は綺麗に整えられた浅葱は乱れて布の上に広がり、鍛えられた身体はほのかに紅潮し力なく横たわっていた。首や肩には赤い点や半円がいくつも残されている。腹の上は不自然なほど水で――否、明らかに精液で濡れていた。股ぐらで大きく主張する雄の器官は、だらだらと不透明度の高い蜜をこぼしていた。
翡翠の瞳には、水が膜張っていた。涙だ。無色透明のそれがまあるい碧に覆い被さり、ゼリーのように震える。ぱちりと瞬く度に、目尻に痕を描きながら流れて消えていった。
手入れされ艶のある唇は、普段以上に潤っていた。唾液で濡れているのだ。いつだって身だしなみを気に掛ける彼らしくもなく、唇は唾液にまみれ、端からは溢れ出たそれが伝って落ちていた。
あまりにも酷い有様だというのに、その整った目元や色付いた唇は弧を描いていた。幸福をそのまま形にしたような笑みを浮かべ、彼は――弟であり、恋人である嬬武器烈風刀は、嬌声をあげていた。常の彼からは想像できないほど高く、細く、幸せな声だった。
こんな姿は見たことがない。こんな声は聞いたことがない。だって、自分たちはまだ付き合って数ヶ月しか経っていなくて、口付けをするのが精一杯で、性行為なんて夢のまた夢で。なのに、何で。
混乱に陥る最中も、身体は無意識に動いていた。柔らかなナカに埋め込んだ雄を抜き、熟れきった孔に突き立てる。腰を打ち付ける度、猥雑な音と情欲掻き立てる甘い嬌声があがった。
突き入れる度、腹筋に覆われた腹が形を変える。ちょうどへその辺りにぽこりとシルエットが現れるのだ。それが己の怒張の形だと気づき、頭が痺れる。腰を振りたくる。ただでさえ膨れた腹が、更に起伏を増した。
止めなければいけない。こんなこと、やめなければ。頭では考えるも、身体は思考通りに動かない。ただひたすらに腰を振り、目の前のつがいを犯す。整った顔を、鍛えられた身体を、ぐちゃぐちゃに犯して汚していく。
目の前、涙と唾液に塗れたうつくしい顔が破顔する。嬌声をこぼすばかりの口が、意味を成す音を紡ぎ始めた。
お腹いっぱいです。
孕まされちゃいました。
すきです。
だいすき。
もっといっぱいして。
あいして。
聞いたこともないとろけた声が神経を焼く。腹の内側が熱を持つ。止まることのない腰が重くなる。理性が消えて、本能が脳味噌を支配する。確実に孕ませろ、と。
衝動がまま、熱塊を肉洞に突き立てる。容量限界を超え溢れ出た精液が漏れる音、繊細な肚の内が乱暴にかき混ぜられる音、無遠慮に肌が肌を叩く音、悲鳴めいた高い嬌声、獣そのものの呻り声。艶めく音が聴覚を、脳味噌を支配する。本能を駆り立てる。
ぁは、と幸福に満ち満ちた笑声が鼓膜を震わせた。
「――――ッ!」
上半身が勢い良く跳ね起きる。朱い目がこれでもかと丸く開かれる。開いた口からは浅い息が漏れ出ていた。
視界いっぱいに広がるのは暗闇だった。白いシーツも、恋人の痴態もどこにもない。当たり前だ、ここは自室で、己は一人で眠りについて、そして。
「…………ゆめ?」
夜闇の中、ぽつりと呟く。音にした途端、それは現実となって脳に染みこんでいく。そうか、夢か。夢なんだ。あんな淫らな弟は、全て夢が作り出したもので。存在しなくて。
はぁ、と重苦しい溜め息が漏れ出る。重い呼気とともに、嫌悪感が胸に広がっていく。黒いそれが心を蝕み、思考を蝕み、責め立てていく。なんて夢を見ているのだろうか。人並みに性欲があり、恋人との交合を求めているとはいえ、あんな無理矢理酷く犯すような夢を見るだなんて。最低以外に評価しようがない。
身体に違和感。嫌な予感に顔をしかめながら、布団をめくる。真っ暗な部屋の中でも、己の中心部分が隆起しているのが分かった。充血したそれはどくりどくりと脈動し、痛いほど張り詰めていた。身勝手で最低で淫らな夢に興奮し、反応しているのだ。ただ一人の空間だというのに。
あまりの自己嫌悪に、顔を覆う。あー、と気まずい音が漏れた。
このままでは寝ることができない。発散しないと。そう思えど、脳裏に浮かぶのは先ほどの夢――愛しい愛しい、大切で、汚したくない、清らかな関係でありたい恋人の、本能掻き立てる淫靡な姿だ。今処理をしては、確実に最低な夢の内容を慰めるために使ってしまう。そんなことは絶対にあってはならない。けれど、あんな鮮烈な映像を消し去ることなどできなかった。
どうすんだこれ。衣服の中でびくびくと震える雄を前に、雷刀は中身が未だピンク色に染まった頭を抱えた。
全て手の内
緩く握った手を上下に動かす。時になぞるようにゆっくりと往復し、時に締め付け力強く動かす。皮膚が粘膜を擦る度に、甘さを含んだ吐息が部屋に落ちた。
擦れる度、にちゅ、ぬちゅ、と粘ついた音が互いの聴覚を犯す。卑猥なそれは羞恥を煽るものであり、性的興奮を煽るものだ。手淫を施している雷刀にとっては後者である。押さえようと必死になりつつも漏れ出る控えめな嬌声も付いてくるのだから尚更だ。弟自身を握る手つきはどんどんと熱心なものになっていく。
とぷとぷと絶え間なく先走りが湧き出る先端に指を這わせる。敏感な場所に直に触れられ、抱き込んだ身体が大きく跳ねる。逃げるように腰が引かれるが、彼がいるのはベッドに腰掛けた己の足の間である。後ろに逃げる手段など無かった。咎めるようにぎゅっと握り、雫をこぼし続ける鈴口を円を描くように指の腹で擦る。ひぅ、と悲鳴のなりそこないのような鈍い声があがった。
だらしなく液を漏らす先端を撫で、溢れるそれを塗り込めるように全体を擦る。親指と人差し指で輪を作り、段差になった部分を重点的に刺激する。敏感な筋を、くすぐるように指で撫でる。献身的に、追い詰めるように手が動く度、必死に押さえられた口から、かろうじてあらわになっている鼻から甘ったるい音が漏れる。雄の象徴を刺激され、快楽を覚えている証拠である。休むことなく与えられる快感に流されぬようにする姿は可愛らしいものだ。嗜虐心を駆り立てるほどに。
じゅこじゅことわざとらしく音をたてて扱き立てる。数え切れないほど身体を重ねた仲だ、弱い部分――彼がいっとう好み、とってもきもちよくなる部分など熟知していた。そこを重点的に刺激してやる。絶えず叩き込まれる法悦にか、口を塞ぐ手がどんどんと緩くなっていく。あ、ぁ、と上擦った、明確な音が鼓膜を震わせた。
手の内の熱を意識する。触った感覚からして、弟のそれは己のモノとさほど変わらないだろう。普通のサイズだ。太さも、長さも、平均的。刺激されれば十分に反応し、快楽が上限に達すれば子種をしっかりと吐き出す。きちんとした機能を持った雄の器官だ。
この先、彼はこれを本来の用途で使うことは無いだろう。雌の胎内に潜り込み、種を植え付け、子孫を残す。そんな、人間として繁栄していくために使われることなく、この部位は役目を終えるのだ。雌と交わることなく、雄にきもちよくされるだけで生涯を終えるのだ。
考え、背筋がぞわりとさざ波たつ。何と残酷なのだろう。何と哀れなのだろう。その原因は、全て己なのだ。己のせいで、彼は遺伝子を残すことができない。
だというのに、湧き出るのは悔恨でも懺悔でも罪悪でもなかった。喜びだ。暗い歓喜の情が、支配欲が、嗜虐心が、湧き出溢れ心を満たしていく。最低としか表現しようがない有様だ。けれども、それが本心だった。
ひ、あっ、と漏れ出る声はどんどんと高く、大きくなっていく。砦たる手はもう守る役目を放棄し、快楽を与え続ける己の腕に添えられていた。止めることを乞うような、続きをねだるような、過ぎた快感の恐怖から逃げ縋るようなものだった。ふ、と愉快げな息をこぼし、朱はぱっと手を離す。ぇ、と戸惑いを多分に滲ませた声が耳をくすぐった。
「な……、で」
振り返り問う声は、好き放題にされた怒りと、いきなり淫悦が止んだ動揺と、高みに至る直前で突き放された絶望で彩られていた。悦びの涙が溢れ出る瞳も、同じ色で染められている。可愛らしい、愚かしい、愛らしい、哀れな姿に、思わずくすりと笑みを漏らす。だってさぁ、と紡いだ声は、己でも驚くほど愉快げだった。
「烈風刀、こっちの方が好きだろ?」
先端に指を這わせ、幹を辿り、会陰をなぞり、奥底に秘められた蕾へと至る。触れたそこは、待ち望んだ刺激にか可愛らしくひくついた。ひ、と悲鳴にも似た嬌声が上がる。明らかに期待が、悦びがこもった音色をしていた。
な、と耳に直接注いでやる。こくりと息を呑む音。こちらを向いていた顔が正面へと戻り、どんどんと俯いていく。肯定はしていない。けれども、否定もしていない姿だ。現段階では。
烈風刀。特別甘ったるい、少しだけ低くした声で愛しい人の名前を紡ぎ出す。ひくりと腕の中の身体が震える。腕にかけられていた手が離れる。腕を放し後方に身体をずらすと、捕らえていた身体は自らシーツの海に横たわった。眼下に晒された孔雀石がこちらを睨めつける。悔しさと、物欲しさと、待ち遠しさと、快楽にまみれたものだった。
続きを求める様に、無意識に口角が吊り上がる。ベッドに乗り上げ、投げ出された白い体躯に覆い被さった。
一生どーてーな責任、ちゃーんと取ってやっから。
心の中で宣言し、少年ははくはくと誘うように口を開ける秘蕾に指を這わせた。
畳む
#ライレフ
#腐向け
#R18
#ライレフ
#腐向け
#R18
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SDVX
2024/1/31(Wed) 00:00
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獣誘う紅白
こめかみを、頬を、おとがいを、汗が伝っていく。大粒のそれは顎に到達し、そのまま重力に従い真下に落ちた。ぼた、と重い音とともに、甘やかな声が身体の下から聞こえた。
喘鳴めいた呼吸が二つ重なる。薄暗い寝室に、荒くもとろけた音が響く。それらが落とされていくシーツは、激しい運動とそれに伴う汗で湿り多量の皺が走っていた。
ぁ、と開きっぱなしの口から声が漏れる。呼吸にも嬌声にも嘆息にも似ていた。
繋がってしまうのではないかというほど押しつけた腰を、ゆっくりと引く。動きに合わせ、溜めに溜め込んだ精を何度も吐き出し硬度を失った昂ぶりが、温かで柔らかな肉筒から去っていく。敏感な粘膜を擦られてか、上擦った声が頭のすぐ下から聞こえた。
ずる、と鋭さを失った剣が鞘から抜き出される。温かな繋がりが途絶え、雷刀は小さく息を吐く。大切な人と繋がる喜びを失うのは切ない。しかし、もうすぐ片手で数えられなくなるほど交わったのだ。これ以上は愛する人に負担がかかってしまう。今日のような被せ物無しの粘膜接触ならば尚更だ。
ごぽり、と重い音があがる。響いたそこに自然と視線が吸い寄せられた。
音の発生源は、今の今まで繋がっていた場所だ。解し耕され加減無く打ち付けられたそこは、縁が赤く膨れていた。ぷっくりとしたそこから、白いものが――己の種が溢れ出るのが見えた。体液で濡れて光る赤く熟れた場所を、濃厚な白がしたたり染めていく姿は、この上なく淫猥なものだ。それこそ、ようやく満たされたはずの腹が飢えを訴え始めるほど。
まずい、と朱は急いで視線を逸らす。あんな猥褻極まる光景を見て平常でいられるわけがない。欲望に忠実な己なら尚更だ。もう視界に収めることのないように強く目を閉じる。しかし、真っ黒な瞼の裏にはあの卑猥な紅白がはっきりと浮かび出ていた。
ぅ、と苦しげな声が聞こえる。反射的に目を開け、愛しい響きの方へと目を向けた。
組み敷いていた弟は、これでもかというほど眉を寄せていた。涙をたたえた浅葱が眇められ、こちらをに睨みつける。鋭い視線への恐れよりも、匂い立つ性の色香を感じた。
「……だしすぎです、ばか」
二人分の唾液で濡れた唇が、可愛らしい罵倒を紡ぎ出す。涙で濡れた頬は依然赤く、水気を多分に含んだシーツの上に投げ出された体躯は性的興奮で赤らんだままだ――もちろん、雄を迎え入れ悦びを謳い上げた場所も。
ごぽ、とまた濁った音。ぅ、と鈍い声。後者は羞恥を孕んでいた。当たり前だ、たとえ恋人の前とはいえ腹の中から精液をこぼす姿を見られて恥ずかしくないわけがない。紅潮した身体が逃げるように身を捩る。更に注がれた欲望を吐き出す手伝いをするだけだった。
そして、そんな姿を見せられて、つがいが反応しないわけがない。
は、と無意識に息を吐く。情火の焔灯ったものだ。先ほどようやく消えたはずの欲望が、再び燃え盛る。頬が、心臓が、中心部が、熱を持つ。気付けば、離した身体をまた寄せていた。ずる、と擦れる音。白でつやめくそこに雄の器官を無意識に押しつけていた。
「ちょ、と、なにしてるんですか」
ばか、ばか、と拙い罵倒と力ない打撃が飛んでくる。紅が差した目尻を雫が伝っていく。普段は可愛らしく思うはずのそれが、妙にいやらしく思えた。
「ぁ、いや、ごめん。だいじょぶ、しない」
しないから、と吐き出すものの、力を失ったはずの雄茎は血を宿し天へと向いていた。やべ、と内心慌てふためく。駄目だ。これ以上は駄目なのだ。我慢しないといけないのだ。人より幼い理性を総動員して熱を押し込めようとする。でも、でも、と獣の本能は獰猛な声をあげた。
「……あといっかいだけですからね」
それいじょうはむりです。ばか。
もつれるように紡ぐ声と睨めつける目には、火が宿っていた。己と同じものだ――情欲だ。獣欲だ。つまり、つがいを求めている。
いいのか。身体大丈夫か。無理すんな。言うべき言葉は山ほどある。けれども、喉が発したのは呻きだけだ。ぐ、と息を呑むようなそれは、明らかに人間のそれではない。本能に従順な獣のものだった。
ずり、とぬめったもの同士が擦り合わされる。雄自身が触れる度、白で彩られた赤は甘えるように、誘うように、食むようにはくはくと蠢いた。
誘われるがままに腰を突き出す。とろけた声が二つ、薄闇に響き渡った。
溺れるぐらい愛したげる
腰を押しつけ、引き、再び押しつける。その度にぐちゅん、と粘ついた音があがった。淫らな響きが、鼓膜を震わせ聴覚を刺激する。音を認知する神経は、それを快楽の一部だと解釈した。ただでさえ高ぶった精神が、ますます高揚していく。欲望がままに、少年は引き締まった腰を動かした。
「れふとっ、れふと、きもちい?」
一心不乱に突き上げながら、雷刀は問う。切羽詰まった響きには、様々な色が滲んでいた。きちんときもちよくなっているだろうかという不安、愛しい人と繋がっているという興奮、夜とはいえこんなにも激しい性行為に及んでいるという背徳感、つがいに種を植え付けたいという獣としての欲望。ぐちゃぐちゃになったそれが、肉と肉が交わり合う音の中に響いた。
「っあ、ぁ、あッ……ぅぁ……ッ」
問われた烈風刀は言葉として構成されていない単音を発するだけだ。唾液でつやめく唇からはあー、あー、と譫言のような音があがるばかりで、答えが返ってくることはない。
弟ははっきりと物を言う性格だ。痛覚を刺激されたのならば『痛い』と素直に告げ、嫌なことをされたのならば『やめろ』と明確に抗議する。なのに、今はそれが無い。ただただ意味を持たない声をあげるだけだ。
聡明な頭脳を持つ彼が、言語化を得意とする彼が、簡単な問いに答えられないほどの状態になっている。答えられないほどの状態に、己がしている。
ぞくりと背筋を何かが駆け上がっていく。満足感、安心感、支配感。どれとも捉えられるものだ。
「……きもちいね、れふと」
笑みを浮かべ、朱は呟くように語りかける。ゆるりと上がった口角は、どこか獰猛な印象を植え付けた。
ぅあっ、と短い嬌声があがる。瞬間、雄の象徴を咥え込んだ柔肉が強く締まった。潤んだ熱い粘膜が、昂ったモノを抱き締め絡みつく。直接的な刺激に、少年は眉を寄せた。過ぎた快楽を堪えるためだ。まだまだ先は長いのに――まだまだきもちよくなってもらいたいのに、もっときもちよくさせてあげたいのに、こんなところで果てるわけにはいかない。欲望を放出しないよう、必死に腹に力を込めた。
もっときもちよくなろうな。
囁き、兄は己の下で乱れる弟に微笑みかける。慈愛の満ちた笑みだ。安堵が滲む笑みだ。餌を見つけた獣の笑みだ。欲望に支配された笑みだ。
ぐっと腰を押しつける。隘路の奥底が彼がいっとう好む場所だということは、とうの昔に知っている。大好きな人がたくさんきもちよくなってくれるそこを、張り詰めた先端でぐりぐりと刺激した。
高い艶声が室内に響き渡る。快楽に支配された響きに、朱は満足げに目を細めた。
うちがわのこうふく
47.抱かれはじめの頃は「れふと、どっちでイきたい?」って聞くと「前で、ぃ、イきたい…出したい…っ」ってもどかしそうに腰くねらせながら訴えてたのに、いつの間にか「このまま♡このままがいいっ♡あッ、あ゙♡あ♡奥いっぱいくる♡んあ、ぁ゙♡いく、いくっ♡♡♡」って甘く喘いで中イキするのが上手になったつまぶきれふとくん。
変態に抱かれるおひとりさまガチャ
瑞々しい果実を潰したような音が鼓膜を震わせる。実際はそんな美しいものではない。ただ、けものとけものが交わっているだけだ。
「あっ、ぁッ……ぅ、あ」
ぐじゅん、と淫らな水音と同時に、脊髄を快楽が走っていく。凄まじい勢いのそれが、そのまま脳味噌に叩き込まれる。頭が痺れる。身体が震える。声が漏れる。このいっときは、身体すべてがきもちよさに支配されていた。
まぐわい猥雑な音が奏でられる中、愛しい響きが聞こえる。脳味噌のどうにかまともに機能している部分が、れふと、と己を示す言葉を理解した。
らいと、と反射的に己を求めたつがいの名を呼ぶ。らいと、らいと、と幼子のように何度も繰り返す。奏でる音は幼子そのものの拙さだ。身体は快楽を拾うことに一心不乱で、舌を動かし言葉を発するなどという高等技術をこなすことは難しかった。
れふと、と応えるように名を呼ばれる。己を示す三音節を作った口、その端がニィと吊り上がる。同じほど感じているであろう法悦を耐え忍ぶように眇められた目が、ゆるりと弧を描く。笑みだ。しかし、そこには普段の快活で明るい輝きは無い。肉食獣が獲物を見定めた時の形だった。
「れふと、どっちでイきたい?」
痕を付けんばかりに腰を掴んでいた片手が離される。そろりと腰を撫で、腹を伝い、下部へと向かう。少し表面の硬い指が、すっかり充血し涙をこぼす烈風刀自身に這わされる。表面をそっとなぞる程度の動きだ。それでも、酷く直接的な刺激に少年は大きく身体を跳ねさせた。
兄は問うているのだ。雄の器官で達したいのか、内部を雄に蹂躙されて達したいのか、と。
もちろん前者だ。肚の内を暴かれることに慣れていない身体は、敏感なる部位を刺激させることでしか精を吐き出すことしか知らないのだ。前者以外に選択肢はない。
「――か」
しかし、それも数ヶ月前の話だ。
交合を重ねた身体は、兄に丁寧かつ好き勝手に愛された身体は、すっかりと内部を刺激される魅力を知ってしまった。覚えてしまった。それこそ、もうそれ以外など考えられないほどに。
「ナカ、ぁっ……、このまま、おなか……、おなか、いっぱいッ……!」
快楽漬けにされた脳味噌が言葉を奏でる。思考機能も会話機能も投げ捨てたはずの頭が、まともに機能する。否、まともとは言い難い。きもちいいことだけを考え、きもちいいことをめいっぱいに求めているだけなのだから。
卑猥な願いを口にした途端、ぎゅうとナカが締まる感覚がした。ただでさえ狭い肉の道が更に細くなり、迎え入れた雄を抱き締める。種をねだるように、内壁がうぞうぞと蠢き剛直を撫で上げる。全て己がやったことだというのに、それだけできもちがよくて仕方が無い。ひぁ、と高い嬌声が漏れ出る。ギリ、と歯が擦れる音が降ってきた。
「ッ、わかった」
雷刀は愛おしげに目を細める。薄くなったルビーの中には、情欲と愛欲、嗜虐の炎が燃え盛っていた。情事の時のみ見せる表情に、烈風刀はぶるりと背を震わせる。涙膜張るエメラルドがとろりととろけた。
ごちゅん、と骨に響くような重い一撃が腹を穿つ。快楽神経を破壊せんばかりの凄まじい快感が、身体中を支配する。恐ろしいほどのきもちよさを生み出したそれが、何度も何度も繰り出される。当たり前だ、たった一発で頂点へ至れるはずなどないのだから。
いっぱいイかせてやっからな。
優しい、甘い、愛おしい、大好きな声が、耳に直接注ぎ込まれる。容赦はしないぞ、と暗に語るそれに、碧はへにゃりと相好を崩した。
けもののまぼろし
58.夢の中なら注がれすぎてボッコリお腹膨らませたつまぶきれふとくんが見られるし、全身汚されて暴かれきったぐっちゃぐちゃの痴態を見せつけるように晒したれふとも、とろりとした甘い声で「孕まされちゃった」「すき」「もっとあいして」ってだらしなく緩んだ笑顔で手を伸ばしてくれる。
変態に抱かれるおひとりさまガチャ
ぐちゅ、と粘ついた音が鼓膜を震わせる。淫猥な響きが次々と耳から脳味噌を犯し、心を、身体を昂らせていく。吐き出す息は炎をまとったかのように熱かった。
卑猥な水音があがる度、高い何かが空間に響き渡る。嬌声だ。上擦り熱にとろかされた甘い声が、聴覚を支配する。聞いたことのある愛しい声だ。けれども、聞いたこともない淫らな声だ。何だ、とぼやけた思考が動き出す。焦点の合っていなかった朱い瞳が、世界を認識する。
実像を映し出した紅玉がこれでもかと瞠られる。八重歯覗く口から、え、と驚愕のあまり呆けた声が漏れる。それもすぐに、激しい水音――己が腰を振りたくり、打ち付ける音に掻き消された。
視界いっぱいに、碧と白と赤が広がる。ぐしゃぐしゃになった白いシーツの上、柔らかな碧い髪が、日焼けしていない白い体躯が散っていた。普段は綺麗に整えられた浅葱は乱れて布の上に広がり、鍛えられた身体はほのかに紅潮し力なく横たわっていた。首や肩には赤い点や半円がいくつも残されている。腹の上は不自然なほど水で――否、明らかに精液で濡れていた。股ぐらで大きく主張する雄の器官は、だらだらと不透明度の高い蜜をこぼしていた。
翡翠の瞳には、水が膜張っていた。涙だ。無色透明のそれがまあるい碧に覆い被さり、ゼリーのように震える。ぱちりと瞬く度に、目尻に痕を描きながら流れて消えていった。
手入れされ艶のある唇は、普段以上に潤っていた。唾液で濡れているのだ。いつだって身だしなみを気に掛ける彼らしくもなく、唇は唾液にまみれ、端からは溢れ出たそれが伝って落ちていた。
あまりにも酷い有様だというのに、その整った目元や色付いた唇は弧を描いていた。幸福をそのまま形にしたような笑みを浮かべ、彼は――弟であり、恋人である嬬武器烈風刀は、嬌声をあげていた。常の彼からは想像できないほど高く、細く、幸せな声だった。
こんな姿は見たことがない。こんな声は聞いたことがない。だって、自分たちはまだ付き合って数ヶ月しか経っていなくて、口付けをするのが精一杯で、性行為なんて夢のまた夢で。なのに、何で。
混乱に陥る最中も、身体は無意識に動いていた。柔らかなナカに埋め込んだ雄を抜き、熟れきった孔に突き立てる。腰を打ち付ける度、猥雑な音と情欲掻き立てる甘い嬌声があがった。
突き入れる度、腹筋に覆われた腹が形を変える。ちょうどへその辺りにぽこりとシルエットが現れるのだ。それが己の怒張の形だと気づき、頭が痺れる。腰を振りたくる。ただでさえ膨れた腹が、更に起伏を増した。
止めなければいけない。こんなこと、やめなければ。頭では考えるも、身体は思考通りに動かない。ただひたすらに腰を振り、目の前のつがいを犯す。整った顔を、鍛えられた身体を、ぐちゃぐちゃに犯して汚していく。
目の前、涙と唾液に塗れたうつくしい顔が破顔する。嬌声をこぼすばかりの口が、意味を成す音を紡ぎ始めた。
お腹いっぱいです。
孕まされちゃいました。
すきです。
だいすき。
もっといっぱいして。
あいして。
聞いたこともないとろけた声が神経を焼く。腹の内側が熱を持つ。止まることのない腰が重くなる。理性が消えて、本能が脳味噌を支配する。確実に孕ませろ、と。
衝動がまま、熱塊を肉洞に突き立てる。容量限界を超え溢れ出た精液が漏れる音、繊細な肚の内が乱暴にかき混ぜられる音、無遠慮に肌が肌を叩く音、悲鳴めいた高い嬌声、獣そのものの呻り声。艶めく音が聴覚を、脳味噌を支配する。本能を駆り立てる。
ぁは、と幸福に満ち満ちた笑声が鼓膜を震わせた。
「――――ッ!」
上半身が勢い良く跳ね起きる。朱い目がこれでもかと丸く開かれる。開いた口からは浅い息が漏れ出ていた。
視界いっぱいに広がるのは暗闇だった。白いシーツも、恋人の痴態もどこにもない。当たり前だ、ここは自室で、己は一人で眠りについて、そして。
「…………ゆめ?」
夜闇の中、ぽつりと呟く。音にした途端、それは現実となって脳に染みこんでいく。そうか、夢か。夢なんだ。あんな淫らな弟は、全て夢が作り出したもので。存在しなくて。
はぁ、と重苦しい溜め息が漏れ出る。重い呼気とともに、嫌悪感が胸に広がっていく。黒いそれが心を蝕み、思考を蝕み、責め立てていく。なんて夢を見ているのだろうか。人並みに性欲があり、恋人との交合を求めているとはいえ、あんな無理矢理酷く犯すような夢を見るだなんて。最低以外に評価しようがない。
身体に違和感。嫌な予感に顔をしかめながら、布団をめくる。真っ暗な部屋の中でも、己の中心部分が隆起しているのが分かった。充血したそれはどくりどくりと脈動し、痛いほど張り詰めていた。身勝手で最低で淫らな夢に興奮し、反応しているのだ。ただ一人の空間だというのに。
あまりの自己嫌悪に、顔を覆う。あー、と気まずい音が漏れた。
このままでは寝ることができない。発散しないと。そう思えど、脳裏に浮かぶのは先ほどの夢――愛しい愛しい、大切で、汚したくない、清らかな関係でありたい恋人の、本能掻き立てる淫靡な姿だ。今処理をしては、確実に最低な夢の内容を慰めるために使ってしまう。そんなことは絶対にあってはならない。けれど、あんな鮮烈な映像を消し去ることなどできなかった。
どうすんだこれ。衣服の中でびくびくと震える雄を前に、雷刀は中身が未だピンク色に染まった頭を抱えた。
全て手の内
緩く握った手を上下に動かす。時になぞるようにゆっくりと往復し、時に締め付け力強く動かす。皮膚が粘膜を擦る度に、甘さを含んだ吐息が部屋に落ちた。
擦れる度、にちゅ、ぬちゅ、と粘ついた音が互いの聴覚を犯す。卑猥なそれは羞恥を煽るものであり、性的興奮を煽るものだ。手淫を施している雷刀にとっては後者である。押さえようと必死になりつつも漏れ出る控えめな嬌声も付いてくるのだから尚更だ。弟自身を握る手つきはどんどんと熱心なものになっていく。
とぷとぷと絶え間なく先走りが湧き出る先端に指を這わせる。敏感な場所に直に触れられ、抱き込んだ身体が大きく跳ねる。逃げるように腰が引かれるが、彼がいるのはベッドに腰掛けた己の足の間である。後ろに逃げる手段など無かった。咎めるようにぎゅっと握り、雫をこぼし続ける鈴口を円を描くように指の腹で擦る。ひぅ、と悲鳴のなりそこないのような鈍い声があがった。
だらしなく液を漏らす先端を撫で、溢れるそれを塗り込めるように全体を擦る。親指と人差し指で輪を作り、段差になった部分を重点的に刺激する。敏感な筋を、くすぐるように指で撫でる。献身的に、追い詰めるように手が動く度、必死に押さえられた口から、かろうじてあらわになっている鼻から甘ったるい音が漏れる。雄の象徴を刺激され、快楽を覚えている証拠である。休むことなく与えられる快感に流されぬようにする姿は可愛らしいものだ。嗜虐心を駆り立てるほどに。
じゅこじゅことわざとらしく音をたてて扱き立てる。数え切れないほど身体を重ねた仲だ、弱い部分――彼がいっとう好み、とってもきもちよくなる部分など熟知していた。そこを重点的に刺激してやる。絶えず叩き込まれる法悦にか、口を塞ぐ手がどんどんと緩くなっていく。あ、ぁ、と上擦った、明確な音が鼓膜を震わせた。
手の内の熱を意識する。触った感覚からして、弟のそれは己のモノとさほど変わらないだろう。普通のサイズだ。太さも、長さも、平均的。刺激されれば十分に反応し、快楽が上限に達すれば子種をしっかりと吐き出す。きちんとした機能を持った雄の器官だ。
この先、彼はこれを本来の用途で使うことは無いだろう。雌の胎内に潜り込み、種を植え付け、子孫を残す。そんな、人間として繁栄していくために使われることなく、この部位は役目を終えるのだ。雌と交わることなく、雄にきもちよくされるだけで生涯を終えるのだ。
考え、背筋がぞわりとさざ波たつ。何と残酷なのだろう。何と哀れなのだろう。その原因は、全て己なのだ。己のせいで、彼は遺伝子を残すことができない。
だというのに、湧き出るのは悔恨でも懺悔でも罪悪でもなかった。喜びだ。暗い歓喜の情が、支配欲が、嗜虐心が、湧き出溢れ心を満たしていく。最低としか表現しようがない有様だ。けれども、それが本心だった。
ひ、あっ、と漏れ出る声はどんどんと高く、大きくなっていく。砦たる手はもう守る役目を放棄し、快楽を与え続ける己の腕に添えられていた。止めることを乞うような、続きをねだるような、過ぎた快感の恐怖から逃げ縋るようなものだった。ふ、と愉快げな息をこぼし、朱はぱっと手を離す。ぇ、と戸惑いを多分に滲ませた声が耳をくすぐった。
「な……、で」
振り返り問う声は、好き放題にされた怒りと、いきなり淫悦が止んだ動揺と、高みに至る直前で突き放された絶望で彩られていた。悦びの涙が溢れ出る瞳も、同じ色で染められている。可愛らしい、愚かしい、愛らしい、哀れな姿に、思わずくすりと笑みを漏らす。だってさぁ、と紡いだ声は、己でも驚くほど愉快げだった。
「烈風刀、こっちの方が好きだろ?」
先端に指を這わせ、幹を辿り、会陰をなぞり、奥底に秘められた蕾へと至る。触れたそこは、待ち望んだ刺激にか可愛らしくひくついた。ひ、と悲鳴にも似た嬌声が上がる。明らかに期待が、悦びがこもった音色をしていた。
な、と耳に直接注いでやる。こくりと息を呑む音。こちらを向いていた顔が正面へと戻り、どんどんと俯いていく。肯定はしていない。けれども、否定もしていない姿だ。現段階では。
烈風刀。特別甘ったるい、少しだけ低くした声で愛しい人の名前を紡ぎ出す。ひくりと腕の中の身体が震える。腕にかけられていた手が離れる。腕を放し後方に身体をずらすと、捕らえていた身体は自らシーツの海に横たわった。眼下に晒された孔雀石がこちらを睨めつける。悔しさと、物欲しさと、待ち遠しさと、快楽にまみれたものだった。
続きを求める様に、無意識に口角が吊り上がる。ベッドに乗り上げ、投げ出された白い体躯に覆い被さった。
一生どーてーな責任、ちゃーんと取ってやっから。
心の中で宣言し、少年ははくはくと誘うように口を開ける秘蕾に指を這わせた。
畳む
#ライレフ #腐向け #R18