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No.101
書き出しと終わりまとめ6【SDVX】
書き出しと終わりまとめ6【SDVX】
あなたに書いて欲しい物語
でだらだら書いていたものまとめその6。ボ6個。
毎度の如く診断する時の名前がちょくちょく違うのは気にしない。
成分表示:ライレフ4/はるグレ1/プロ氷1
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五分のぬくもり/ライレフ
あおいちさんには「今の状況を冷静に考えてみよう」で始まり、「そう思い知らされた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば5ツイート(700字)以内でお願いします。
今の状況を冷静に考えてみよう。
現在地、ソファ。つい数秒まで腰掛けていた座面は、今は背を預けている。
視界、広がるは天井。見開いた目の中、LEDライトの白い光が真正面から降り注ぐ。
荷重、増加。寝転がった身体の上に、もう一つ身体が乗り上げている。完全に力が抜けているようで、体重がそのまま負荷としてのしかかってきた。
温度、上昇。先程まで一人分だった体温は二人分となった。重なり合わさった部分が熱を帯びる。常ならば安堵を覚えるそれは、今は驚愕をもたらすものだった。
「――らいと?」
押し倒てきた――正しく言うならば、もたれ倒れそのまま覆い被さってきた男の名を呼ぶ。澄んだ爽やかな声は、突然の行為への驚きで揺れていた。
問いかけた先から返事は無い。聞こえるのは、すん、と短く息を吸う音だ。
「雷刀」
もう一度兄の名を呼ぶ。苛立ちが滲んだものだ。いきなり押し倒された上に、のしかかられたままなのだ。男子高校生一人分の体重は重く、ろくに動くことも出来なければ、息苦しさも覚える。邪魔でしかない。
「……ぎゅってーさせて」
ようやく返ってきた言葉は、願いだった。座面に放り出されていた手が首に回される。抱き締める力は、すぐにでも振りほどけてしまいそうなほど弱い。普段の彼からは考えられない様子だ。
ねむい、と一言呟いて、朱は首筋に鼻先を埋める。すん、と呼吸の音一つ。癖のある柔らかい髪が肌を掠めるのがくすぐったい。
重い、降りろ、眠いならば部屋で寝ろ、と様々な言葉が思い浮かぶ。しかし、どの言葉も普段とこうも様子が違う――どこか弱った様子の彼に対して言うことは何だか憚られた。
結果、状況は変わらない――変えないことを選択してしまった。彼を受け入れ、好きにさせることを己から選択してしまったのだ。
日頃何と言おうと、結局自分は兄に甘いのだ。そう思い知らされた。
君と共にいないと、/はるグレ
葵壱さんには「忘れたくなかったのに」で始まり、「置いていかないで」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば12ツイート(1680字)以内でお願いします。
忘れたくなかったのに、何故忘れてしまったのだろう。
バグの海が浄化された日、そこから今に至るまでを思い出し、始果は片手で目を覆う。月色の瞳は強く眇められ、表情はポーカーフェイスと評される彼らしからぬほど歪んでいた。
忘れていた。あの娘を忘れていた。己にとって唯一無二の存在を忘れていた。
バグの浄化の影響であることは分かっている。自分一人ではどうにもできなかったことだとも分かっている。それでも、たったひとときでもあの愛しい躑躅を忘れ去ってしまったという事実が許せなかった――恐ろしかった。
また忘れてしまうのではないか。また彼女を失ってしまうのではないか。
ネメシスに来てからというものの、記憶能力に不調はない。むしろ安定している。けれど、あの時のような『もしも』を考えてしまう。恐れが足下から這い寄り、心を雁字搦めにする。恐怖心など欠落しているようにも見える少年を、不安と恐怖が蝕んでいく。それほどまでに、彼にとって躑躅の少女を忘れるということは恐ろしいことであった。
記憶定着のためにバグを摂取しようにも、大量のバグで溢れていたあの場所はもう無い。ネメシス内はコアの自浄作用によりバグなど滅多にないのだから、ここにいる限りかつての方法で記憶を繋ぎ止めるのは無理だ。
どうすれば。少年はぐぅと痛ましげに喉を鳴らす。もう二度と忘れたくないのに、この不安定な身体はそれを保証してくれない。どうすれば、どうすれば。
「始果?」
暗闇の底へと沈んでいた思考が、ふっと引き上げられる。手を外し、顔を上げた先には、愛しい躑躅色が不思議そうにこちらを覗いていた。
「どうしたの? どこか痛むの?」
グレイスは首を傾げる。普段の強気な語調は抑えられ、目の前の少年を思いやった声色をしていた。表情を滅多に変えない彼が思い悩むように顔を歪ませているのだ。気に掛けるのは少女にとって当たり前のことだった。
「……いえ、なんでもありません」
しばしの沈黙の後、狐の少年は首を振って応える。大丈夫だと主張するようにマゼンタの瞳をじぃと見つめると、ふぃと視線が逸らされる。垣間見えたそこには、本当か、と疑う色が浮かんでいた。
まぁいいわ、と言って、グレイスは立ち上がる。そのまま、一歩踏み出そうとして彼女は動きを止めた。
「なに?」
少女の腕を、始果が掴んでいた。黒い衣装に包まれた細い腕を掴む手は力強く、細かに震えていた。
「……置いていかないで、ください」
はぁ、と躑躅は素っ頓狂な声をあげる。ただ立ち上がっただけで置いていくな、などと言われては驚くのも仕方が無いだろう。スピネルが訝しげに少年を見つめる。表情から何かを掴み取ろうにも、彼は俯いており、顔を見ることは叶わない。しかし、先程の細い声と震える手から、こうさせるだけの何かが彼の中に渦巻いているのだということは分かった。
「……仕方ないわね」
呆れたように嘆息し、少女は再び椅子に腰を下ろす。もういいでしょ、と言わんばかりに掴まれた腕を振るが、少年が手放す気配は無い。また大きく息を吐き、彼女は抵抗を止める。変に強情なところがある彼だ、こうなってはもう離さないだろう。諦めた方が早い。
この場に留まった躑躅に、狐は密かに安堵の息を吐く。己の手を無理やり振り払わずにいてくれることも、彼にとっては喜ばしいことだ。
けれど、不安が晴れることはない。今は留まってくれたが、ずっと共に行動できるわけはない。学園への編入が決まれば、離れている時間は更に増えるに決まっておる。ずっと一緒にいられるはずなど――ずっと、隣でその存在を確認し、記憶し、片時も忘れないなんてことはできやしない。
少年は俯いたまま、音もなく唇を動かす。
置いていかないで。
同じ場所まで/プロ氷
AOINOさんには「爪先立ちの恋だった」で始まり、「永遠なんてない」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
爪先立ちの恋だ。
いつだって自分は幼くて、拙くて。それでもあの人に少しでも近づこうと必死に背伸びをする。それすら理解されて、いつだってしゃがんで目線を合わせてくれるのだから、あの人は優しい。
識苑さん、と愛しい人の名を呼ぶ。宛先の彼は夢の中で、声が届くはずなどない。穏やかに眠る様子を見て、氷雪は頬を緩めた。
いつだって何かに夢中になって全てを犠牲にするこの恋人は、特に睡眠時間を削っていた。日中は元気な様子だが、その目の下に薄っすらと隈を作ることは両の手では数え切れないほどあった。
だから、少しでも昼寝、つまりは仮眠の時間を取ろうと言い出したのが氷雪だった。彼の根城である空き教室にあるソファに氷雪が座り、その膝に識苑が頭を乗せる。所謂膝枕だ。そうして、今日も彼は少女の柔らかな膝の上で眠っていた。
この形になったのは、少女の提案だった。提案というよりも、強行突破だ。こうでもしなければ、彼は睡眠時間を犠牲にし続けるのだから仕方のないことだ、と彼女は思っている。
己の膝の上に散らばる長い桃髪を梳かし、少女はそっと目を伏せる。
幼い自分はいつだって爪先立ちだが、ほんのたまに同じ目線に立つことができる。それが今のように感じる。生徒と教師、子どもと大人。そんな差が、今だけは無くなっているように思えた。ここにいるのは、ただのつがいだけだ、と。
そんなことは気のせいだと、心の内では分かっている。いつだってわがままを言うのは自分で、折れてくれるのは彼だ。それでも、少しでも並び立てる、隣にいる瞬間のように思えたのだ。
ヴ、と鈍い音が逞しい喉から漏れ出る。寝転がった白い顔に、険しげに皺が刻まれる。あやすように形の良い頭を撫で梳かすと、うー、と短い音の後、険しさは解けて消えた。再び、穏やかな寝息が鼓膜を揺らした。
むずがる子どものような姿に、氷雪は音もなく笑う。恥ずかしながら、普段は自分があやされることが多いが、今は逆だ。この仮眠の時間ぐらいでしか見られない光景だ。普段のキラキラとした笑顔とは違う穏やかな表情の愛らしさと、こんな姿を見られるのは自分だけだという優越感が少女の胸を包んだ。
こんな優しい時間が続いていけばいいのに、なんて考える。もちろん、永遠なんてものはないのだけれど。
星屑にさよなら/ライレフ
AOINOさんには「涙は星になった」で始まり、「だからもう終わりなんだ」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
溢れた涙は星になった。ほろほろととめどなくこぼれ落ちる涙は白い明かりに照らされて、美しく瞬いている。その様はまさしくこの夜空を飾る星だった。
泣くなよぉ、と宥める己の声は濡れていた。これでは説得力など欠片もない。返ってきたのは、短い嗚咽一つだけだ。
大の男二人が大粒の涙をこぼして泣きじゃくるなど、なんと滑稽なのだろう。けれど、泣くのも仕方ないのだ。なにせ、数年来の想いがようやく実ったのだから。
長く募った想いを伝えるのは、たった一言で済んでしまった。その二音節だけで、想い人の目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。涙の中、濡れた声で同じニ音節が返される。それを脳が認識した途端、己の目からも雫が溢れ落ちたのだった。
嬉しいときは笑うものだと思っていたけど、こんなにも泣くこともあるのだなぁ、と頭に少しだけ残っていた理性的な部分が余計なことを考える。その間も涙は止まらない。感情を表す回路が壊れてしまったようだ。とめどなく溢れるものからして、この障害は当分直りそうにない。
エメラルドの瞳には水が膜張り、ぽろぽろと星をこぼしていく。音もなく肌を伝う様は流星を思わせた。落ちた星が、ソファに黒い点を作っていく。二人分のこぼれ星が、数え切れないほど座面に散った。
れふとぉ、と涙声で愛しい人の名を呼ぶ。いくらかの嗚咽の後、はい、と濡れた声が返ってきた。
ぼやけた視界の中、どうにか目の前の頬に手を伸ばす。濡れたそこは熱くて、確かな生を思わせた。
顔を近づけ、星がこぼれる目尻に唇を寄せる。泣かないでくれ、と願いを込めて。嬉しいのならば、二人笑顔でいたい。これで、涙はもう終わりなんだ、と。
君の元まで/ライレフ
あおいちさんには「時間は止まってくれない」で始まり、「いつもそこには君がいた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以上でお願いします。
時間は止まってくれないなんてことは分かってる。だから今、走るしかないのだ。
力一杯地を蹴り、跳ぶように前進する。鍛え上げられたしなやかな脚は、その持ち主を前へ前へと猛進させた。
ポケットから携帯端末を取り出し、スリープを解除する。画面に映し出されたメッセージを確認し、すぐさましまい、ひたすら走る。肺が悲鳴をあげる。呼吸が苦しい。しかし、己の限界など考えることなく少年は速度を上げ続けた。間に合ってくれ、と強く願いながら。
ようやく目的の地に辿り着く。このままの速度で中に入ることはできない。どうにか歩調を緩めつつも、急いでドアをくぐる。積み上げられた物を一つ引っ掴んで、足早に屋内を進んでいく。鳴り響く音楽が、人の声が、足音が、どこか遠くに聞こえる。聴覚が伝える情報など気にもとめず、少年は奥へ奥へと歩みを進めた。
「――よかったぁ……」
目の前に積み上がった卵パックを眺め、雷刀は大きく息を吐き出した。安堵の溜息が、スーパーの磨かれた床に落ちた。
昨日確認したチラシ情報によると、本日のタイムセールで卵が一パック八十八円らしい。食べ盛りの少年二人暮らしでは、卵の消費量はなかなかのものである。食材の消費量が偏らないよう日々メニューは考えているものの、使い勝手の良い卵はすぐに無くなってしまう。これは買うしかない、と放課後雷刀単身でスーパーに乗り込むこととなったのだ。
パックを一つ手に取り、割れないようそっとカゴに入れる。できることなら二つは買いたいのだが、『お一人様一つ限り』の注意書きには逆らえない。積み上がったパックたちを名残惜しげに見つつ、携帯端末を取り出す。液晶画面に映し出された現在時刻は、タイムセール終了十分前を示していた。
他にも買いたい物はあるが、まず卵だけで会計を済ませてしまった方がいいだろう。荒い息をどうにか整え、少年はセルフレジへと向かう。セール中故に人は多いが、順番はすぐに回ってきた。レジにバーコードを通し、商品をエコバッグに丁寧に入れ、電子マネーで会計を済ませる。これで今日の一大ミッションは終了だ。
レジ出口に積み上げられた会計済みカゴに手にしたそれを入れ、朱はふぅと一息吐く。卵購入という重大事項はクリアしたものの、まだ果たすべきミッションは残っている。次は、他のセール商品だ。今日は肉も安いのだ。
入り口にあるカゴを再び手に取り、雷刀は店内を歩んでいく。頭の中で、今日の献立を組み立てていく。せっかく卵を買ったのだし、今日はオムライスにでもしようか。必要な野菜はまだ冷蔵庫に残っていたはずだ。そろそろ使い切らなければいけないベーコンがあったはずだし、具材はそれでいいだろう。ケチャップの残りが少なかった覚えがあるが、買い置きがあるから大丈夫だろう。
料理が並んだ食卓を思い浮かべる。温かな料理が並ぶそこを夢想し、少年の口角が緩く持ち上がった。
二人分の食事が並んだテーブル、己の対面にはいつも愛しい君がいるのだ。
さようなら、またいつか/神十字
葵壱さんには「これまで何度さよならを言っただろう」で始まり、「ずっと子供でいたかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
これまで何度さよならを言っただろう。
目の前に横たわる蒼を見つめ、紅は目を細める。考えても仕方の無いことだと分かっていても、このときが来る度この言葉が思い浮かんでしまうのだ。
明日にはこの美しい身体は土の下で永い眠りにつくのだ。今日が、自分たち二人のお別れの日――最後の『さよなら』を言う日だ。
棺に収まった細い身体、その小ぶりな頭に触れる。柔らかな髪はまだ健在だった。ただし、その下にあるはずの温もりは無い。通っていた血は動きを止め、彼を永遠の眠りへと誘ったのだった。
まぁ、さよなら、と言ったところでまた出会うのだけれど。そう考え、青年はふと口元を緩める。自嘲の色が浮かんでいた。
繰り返してきた幾星霜を思い浮かべ、目を伏せる。次の『はじめまして』がいつになるかは、まだ分からないのだけれど。けれど、その『はじめまして』は絶対にあるのだ。この別れは、次の『はじめまして』までの一時のものでしかない。
「……さよなら」
それでも、この言葉を口にしてしまう。律儀なものだと我ながら思う。数え切れないほど言ってきたというのに、また何度も言うことになるのに、この言葉を繰り返す。さながら儀式だ。再び会うための、決定づけられた邂逅を願う、意味の無い儀式だ。
流すはずの涙は、とっくの昔に乾き失せてしまった。離別も邂逅も全て定められたことなのだ、別れの度に泣くなど無意味である。
あぁ、もっと、ずっと、彼との別れを悼める子供でいたかった。
畳む
#ライレフ
#はるグレ
#プロ氷
#腐向け
#ライレフ
#はるグレ
#プロ氷
#腐向け
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SDVX
2024/1/31(Wed) 00:00
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毎度の如く診断する時の名前がちょくちょく違うのは気にしない。成分表示:ライレフ4/はるグレ1/プロ氷1
五分のぬくもり/ライレフ
あおいちさんには「今の状況を冷静に考えてみよう」で始まり、「そう思い知らされた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば5ツイート(700字)以内でお願いします。
今の状況を冷静に考えてみよう。
現在地、ソファ。つい数秒まで腰掛けていた座面は、今は背を預けている。
視界、広がるは天井。見開いた目の中、LEDライトの白い光が真正面から降り注ぐ。
荷重、増加。寝転がった身体の上に、もう一つ身体が乗り上げている。完全に力が抜けているようで、体重がそのまま負荷としてのしかかってきた。
温度、上昇。先程まで一人分だった体温は二人分となった。重なり合わさった部分が熱を帯びる。常ならば安堵を覚えるそれは、今は驚愕をもたらすものだった。
「――らいと?」
押し倒てきた――正しく言うならば、もたれ倒れそのまま覆い被さってきた男の名を呼ぶ。澄んだ爽やかな声は、突然の行為への驚きで揺れていた。
問いかけた先から返事は無い。聞こえるのは、すん、と短く息を吸う音だ。
「雷刀」
もう一度兄の名を呼ぶ。苛立ちが滲んだものだ。いきなり押し倒された上に、のしかかられたままなのだ。男子高校生一人分の体重は重く、ろくに動くことも出来なければ、息苦しさも覚える。邪魔でしかない。
「……ぎゅってーさせて」
ようやく返ってきた言葉は、願いだった。座面に放り出されていた手が首に回される。抱き締める力は、すぐにでも振りほどけてしまいそうなほど弱い。普段の彼からは考えられない様子だ。
ねむい、と一言呟いて、朱は首筋に鼻先を埋める。すん、と呼吸の音一つ。癖のある柔らかい髪が肌を掠めるのがくすぐったい。
重い、降りろ、眠いならば部屋で寝ろ、と様々な言葉が思い浮かぶ。しかし、どの言葉も普段とこうも様子が違う――どこか弱った様子の彼に対して言うことは何だか憚られた。
結果、状況は変わらない――変えないことを選択してしまった。彼を受け入れ、好きにさせることを己から選択してしまったのだ。
日頃何と言おうと、結局自分は兄に甘いのだ。そう思い知らされた。
君と共にいないと、/はるグレ
葵壱さんには「忘れたくなかったのに」で始まり、「置いていかないで」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば12ツイート(1680字)以内でお願いします。
忘れたくなかったのに、何故忘れてしまったのだろう。
バグの海が浄化された日、そこから今に至るまでを思い出し、始果は片手で目を覆う。月色の瞳は強く眇められ、表情はポーカーフェイスと評される彼らしからぬほど歪んでいた。
忘れていた。あの娘を忘れていた。己にとって唯一無二の存在を忘れていた。
バグの浄化の影響であることは分かっている。自分一人ではどうにもできなかったことだとも分かっている。それでも、たったひとときでもあの愛しい躑躅を忘れ去ってしまったという事実が許せなかった――恐ろしかった。
また忘れてしまうのではないか。また彼女を失ってしまうのではないか。
ネメシスに来てからというものの、記憶能力に不調はない。むしろ安定している。けれど、あの時のような『もしも』を考えてしまう。恐れが足下から這い寄り、心を雁字搦めにする。恐怖心など欠落しているようにも見える少年を、不安と恐怖が蝕んでいく。それほどまでに、彼にとって躑躅の少女を忘れるということは恐ろしいことであった。
記憶定着のためにバグを摂取しようにも、大量のバグで溢れていたあの場所はもう無い。ネメシス内はコアの自浄作用によりバグなど滅多にないのだから、ここにいる限りかつての方法で記憶を繋ぎ止めるのは無理だ。
どうすれば。少年はぐぅと痛ましげに喉を鳴らす。もう二度と忘れたくないのに、この不安定な身体はそれを保証してくれない。どうすれば、どうすれば。
「始果?」
暗闇の底へと沈んでいた思考が、ふっと引き上げられる。手を外し、顔を上げた先には、愛しい躑躅色が不思議そうにこちらを覗いていた。
「どうしたの? どこか痛むの?」
グレイスは首を傾げる。普段の強気な語調は抑えられ、目の前の少年を思いやった声色をしていた。表情を滅多に変えない彼が思い悩むように顔を歪ませているのだ。気に掛けるのは少女にとって当たり前のことだった。
「……いえ、なんでもありません」
しばしの沈黙の後、狐の少年は首を振って応える。大丈夫だと主張するようにマゼンタの瞳をじぃと見つめると、ふぃと視線が逸らされる。垣間見えたそこには、本当か、と疑う色が浮かんでいた。
まぁいいわ、と言って、グレイスは立ち上がる。そのまま、一歩踏み出そうとして彼女は動きを止めた。
「なに?」
少女の腕を、始果が掴んでいた。黒い衣装に包まれた細い腕を掴む手は力強く、細かに震えていた。
「……置いていかないで、ください」
はぁ、と躑躅は素っ頓狂な声をあげる。ただ立ち上がっただけで置いていくな、などと言われては驚くのも仕方が無いだろう。スピネルが訝しげに少年を見つめる。表情から何かを掴み取ろうにも、彼は俯いており、顔を見ることは叶わない。しかし、先程の細い声と震える手から、こうさせるだけの何かが彼の中に渦巻いているのだということは分かった。
「……仕方ないわね」
呆れたように嘆息し、少女は再び椅子に腰を下ろす。もういいでしょ、と言わんばかりに掴まれた腕を振るが、少年が手放す気配は無い。また大きく息を吐き、彼女は抵抗を止める。変に強情なところがある彼だ、こうなってはもう離さないだろう。諦めた方が早い。
この場に留まった躑躅に、狐は密かに安堵の息を吐く。己の手を無理やり振り払わずにいてくれることも、彼にとっては喜ばしいことだ。
けれど、不安が晴れることはない。今は留まってくれたが、ずっと共に行動できるわけはない。学園への編入が決まれば、離れている時間は更に増えるに決まっておる。ずっと一緒にいられるはずなど――ずっと、隣でその存在を確認し、記憶し、片時も忘れないなんてことはできやしない。
少年は俯いたまま、音もなく唇を動かす。
置いていかないで。
同じ場所まで/プロ氷
AOINOさんには「爪先立ちの恋だった」で始まり、「永遠なんてない」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
爪先立ちの恋だ。
いつだって自分は幼くて、拙くて。それでもあの人に少しでも近づこうと必死に背伸びをする。それすら理解されて、いつだってしゃがんで目線を合わせてくれるのだから、あの人は優しい。
識苑さん、と愛しい人の名を呼ぶ。宛先の彼は夢の中で、声が届くはずなどない。穏やかに眠る様子を見て、氷雪は頬を緩めた。
いつだって何かに夢中になって全てを犠牲にするこの恋人は、特に睡眠時間を削っていた。日中は元気な様子だが、その目の下に薄っすらと隈を作ることは両の手では数え切れないほどあった。
だから、少しでも昼寝、つまりは仮眠の時間を取ろうと言い出したのが氷雪だった。彼の根城である空き教室にあるソファに氷雪が座り、その膝に識苑が頭を乗せる。所謂膝枕だ。そうして、今日も彼は少女の柔らかな膝の上で眠っていた。
この形になったのは、少女の提案だった。提案というよりも、強行突破だ。こうでもしなければ、彼は睡眠時間を犠牲にし続けるのだから仕方のないことだ、と彼女は思っている。
己の膝の上に散らばる長い桃髪を梳かし、少女はそっと目を伏せる。
幼い自分はいつだって爪先立ちだが、ほんのたまに同じ目線に立つことができる。それが今のように感じる。生徒と教師、子どもと大人。そんな差が、今だけは無くなっているように思えた。ここにいるのは、ただのつがいだけだ、と。
そんなことは気のせいだと、心の内では分かっている。いつだってわがままを言うのは自分で、折れてくれるのは彼だ。それでも、少しでも並び立てる、隣にいる瞬間のように思えたのだ。
ヴ、と鈍い音が逞しい喉から漏れ出る。寝転がった白い顔に、険しげに皺が刻まれる。あやすように形の良い頭を撫で梳かすと、うー、と短い音の後、険しさは解けて消えた。再び、穏やかな寝息が鼓膜を揺らした。
むずがる子どものような姿に、氷雪は音もなく笑う。恥ずかしながら、普段は自分があやされることが多いが、今は逆だ。この仮眠の時間ぐらいでしか見られない光景だ。普段のキラキラとした笑顔とは違う穏やかな表情の愛らしさと、こんな姿を見られるのは自分だけだという優越感が少女の胸を包んだ。
こんな優しい時間が続いていけばいいのに、なんて考える。もちろん、永遠なんてものはないのだけれど。
星屑にさよなら/ライレフ
AOINOさんには「涙は星になった」で始まり、「だからもう終わりなんだ」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
溢れた涙は星になった。ほろほろととめどなくこぼれ落ちる涙は白い明かりに照らされて、美しく瞬いている。その様はまさしくこの夜空を飾る星だった。
泣くなよぉ、と宥める己の声は濡れていた。これでは説得力など欠片もない。返ってきたのは、短い嗚咽一つだけだ。
大の男二人が大粒の涙をこぼして泣きじゃくるなど、なんと滑稽なのだろう。けれど、泣くのも仕方ないのだ。なにせ、数年来の想いがようやく実ったのだから。
長く募った想いを伝えるのは、たった一言で済んでしまった。その二音節だけで、想い人の目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。涙の中、濡れた声で同じニ音節が返される。それを脳が認識した途端、己の目からも雫が溢れ落ちたのだった。
嬉しいときは笑うものだと思っていたけど、こんなにも泣くこともあるのだなぁ、と頭に少しだけ残っていた理性的な部分が余計なことを考える。その間も涙は止まらない。感情を表す回路が壊れてしまったようだ。とめどなく溢れるものからして、この障害は当分直りそうにない。
エメラルドの瞳には水が膜張り、ぽろぽろと星をこぼしていく。音もなく肌を伝う様は流星を思わせた。落ちた星が、ソファに黒い点を作っていく。二人分のこぼれ星が、数え切れないほど座面に散った。
れふとぉ、と涙声で愛しい人の名を呼ぶ。いくらかの嗚咽の後、はい、と濡れた声が返ってきた。
ぼやけた視界の中、どうにか目の前の頬に手を伸ばす。濡れたそこは熱くて、確かな生を思わせた。
顔を近づけ、星がこぼれる目尻に唇を寄せる。泣かないでくれ、と願いを込めて。嬉しいのならば、二人笑顔でいたい。これで、涙はもう終わりなんだ、と。
君の元まで/ライレフ
あおいちさんには「時間は止まってくれない」で始まり、「いつもそこには君がいた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以上でお願いします。
時間は止まってくれないなんてことは分かってる。だから今、走るしかないのだ。
力一杯地を蹴り、跳ぶように前進する。鍛え上げられたしなやかな脚は、その持ち主を前へ前へと猛進させた。
ポケットから携帯端末を取り出し、スリープを解除する。画面に映し出されたメッセージを確認し、すぐさましまい、ひたすら走る。肺が悲鳴をあげる。呼吸が苦しい。しかし、己の限界など考えることなく少年は速度を上げ続けた。間に合ってくれ、と強く願いながら。
ようやく目的の地に辿り着く。このままの速度で中に入ることはできない。どうにか歩調を緩めつつも、急いでドアをくぐる。積み上げられた物を一つ引っ掴んで、足早に屋内を進んでいく。鳴り響く音楽が、人の声が、足音が、どこか遠くに聞こえる。聴覚が伝える情報など気にもとめず、少年は奥へ奥へと歩みを進めた。
「――よかったぁ……」
目の前に積み上がった卵パックを眺め、雷刀は大きく息を吐き出した。安堵の溜息が、スーパーの磨かれた床に落ちた。
昨日確認したチラシ情報によると、本日のタイムセールで卵が一パック八十八円らしい。食べ盛りの少年二人暮らしでは、卵の消費量はなかなかのものである。食材の消費量が偏らないよう日々メニューは考えているものの、使い勝手の良い卵はすぐに無くなってしまう。これは買うしかない、と放課後雷刀単身でスーパーに乗り込むこととなったのだ。
パックを一つ手に取り、割れないようそっとカゴに入れる。できることなら二つは買いたいのだが、『お一人様一つ限り』の注意書きには逆らえない。積み上がったパックたちを名残惜しげに見つつ、携帯端末を取り出す。液晶画面に映し出された現在時刻は、タイムセール終了十分前を示していた。
他にも買いたい物はあるが、まず卵だけで会計を済ませてしまった方がいいだろう。荒い息をどうにか整え、少年はセルフレジへと向かう。セール中故に人は多いが、順番はすぐに回ってきた。レジにバーコードを通し、商品をエコバッグに丁寧に入れ、電子マネーで会計を済ませる。これで今日の一大ミッションは終了だ。
レジ出口に積み上げられた会計済みカゴに手にしたそれを入れ、朱はふぅと一息吐く。卵購入という重大事項はクリアしたものの、まだ果たすべきミッションは残っている。次は、他のセール商品だ。今日は肉も安いのだ。
入り口にあるカゴを再び手に取り、雷刀は店内を歩んでいく。頭の中で、今日の献立を組み立てていく。せっかく卵を買ったのだし、今日はオムライスにでもしようか。必要な野菜はまだ冷蔵庫に残っていたはずだ。そろそろ使い切らなければいけないベーコンがあったはずだし、具材はそれでいいだろう。ケチャップの残りが少なかった覚えがあるが、買い置きがあるから大丈夫だろう。
料理が並んだ食卓を思い浮かべる。温かな料理が並ぶそこを夢想し、少年の口角が緩く持ち上がった。
二人分の食事が並んだテーブル、己の対面にはいつも愛しい君がいるのだ。
さようなら、またいつか/神十字
葵壱さんには「これまで何度さよならを言っただろう」で始まり、「ずっと子供でいたかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。
これまで何度さよならを言っただろう。
目の前に横たわる蒼を見つめ、紅は目を細める。考えても仕方の無いことだと分かっていても、このときが来る度この言葉が思い浮かんでしまうのだ。
明日にはこの美しい身体は土の下で永い眠りにつくのだ。今日が、自分たち二人のお別れの日――最後の『さよなら』を言う日だ。
棺に収まった細い身体、その小ぶりな頭に触れる。柔らかな髪はまだ健在だった。ただし、その下にあるはずの温もりは無い。通っていた血は動きを止め、彼を永遠の眠りへと誘ったのだった。
まぁ、さよなら、と言ったところでまた出会うのだけれど。そう考え、青年はふと口元を緩める。自嘲の色が浮かんでいた。
繰り返してきた幾星霜を思い浮かべ、目を伏せる。次の『はじめまして』がいつになるかは、まだ分からないのだけれど。けれど、その『はじめまして』は絶対にあるのだ。この別れは、次の『はじめまして』までの一時のものでしかない。
「……さよなら」
それでも、この言葉を口にしてしまう。律儀なものだと我ながら思う。数え切れないほど言ってきたというのに、また何度も言うことになるのに、この言葉を繰り返す。さながら儀式だ。再び会うための、決定づけられた邂逅を願う、意味の無い儀式だ。
流すはずの涙は、とっくの昔に乾き失せてしまった。離別も邂逅も全て定められたことなのだ、別れの度に泣くなど無意味である。
あぁ、もっと、ずっと、彼との別れを悼める子供でいたかった。
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