401/V0.txt

otaku no genkaku tsumeawase

TOP
|
HOME

No.6

感情論【ライ→レフ→レイ】

感情論【ライ→レフ→レイ】
top_SS05.png
ぐわっとライ→レフ書きたいのとレフレイ熱が来たのとが合わさった結果。
オニイチャンしか出てこない。



 烈風刀がレイシスを好いていること――恋していることを、雷刀は知っている。
 彼女に対する弟の態度は明らかに恋をしているそれで、言葉の端々にもよく表れている。何時でも冷静で顔色一つ変えない彼故に他者は気付かないかもしれないが、兄である雷刀にはすぐに分かった。そんな弟の姿を、幼い頃から何度も何度も見ていたのだから嫌でも気付く。
 そんな彼が彼女に想いを伝えることはないだろう、と雷刀は確信している。
 彼はああ見えて臆病で、きっと関係を壊すのを恐れている。堅実な彼が大きな賭けに出ることはまず無い。だから、ずっとこのままだ。
 諦めればいいのに、と雷刀は常々考えている。
 恋い焦がれながらも現状維持を望む弟のいじらしい姿は見ていられない、というのもある。けれども、そんなものはただの建前だ。本音は『烈風刀とレイシスが恋仲になること』を恐れているのだ。三人の関係が変わると言うこともあるが、何より烈風刀が好きなのだ。烈風刀がレイシスを好いているように、雷刀も烈風刀を好いていた――もちろん、恋愛感情として、だ。
 彼と同じように、自分がこの想いを伝えることはない。血の繋がった弟にそんな感情を抱く兄なんて、気持ち悪くて堪らないだろう。現在の関係も壊れ、彼との繋がりもなくなってしまう。そんなことになるぐらいなら、この想いなど殺してしまえばいい。なのに、殺しきれない。一度芽生えた感情は、そう簡単に消すことなど出来なかった。
 自分も大概臆病だ、と雷刀は自嘲した。何て女々しいのだろう。自分らしくもない。
 彼が自分とそういう仲になることは絶対にない。けれども、他者に彼を奪われるのは嫌だ。弟が叶える気のない恋をすることすら嫌だった。なんて我が儘なんだろう。
 けれども、この醜い考えが消えることはないのだろう。きっと彼が恋をする度こいつは顔を覗かせる。愛する人の不幸を願う、醜く汚ならしい感情が。
 『恋』なんてものがなければ。そう考えても仕方がないのに、頭にはそんなことばかり浮かぶ。彼が恋をしなければ。自分が恋をしなければ。
 はぁ、と誰にも気づかれぬよう雷刀は嘆息する。
 実らない想いは募るばかりで、胸を苛む。
 彼がいる限り、この痛みが消えることなどない。

畳む

#ライレフ #腐向け

SDVX


expand_less