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No.216

煽動と欲望【コロイカ/R-18】

煽動と欲望【コロイカ/R-18】
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煽るしある程度積極的だしぐちゃどろにされるバイカーシェードくん(仮)が見たかっただけ。情けなく喘ぐマルノミ君が見たかっただけ。捏造しかない。口調も名前も分かりません助けてください。
名前はXマッチのコールサイン参考で捏造。判明次第タグ付けるし本文加筆修正するかもしれない。
煽る子と煽られるし仕返す子の話。

 あ、と思わず音が漏れてしまったほど大きく口を開ける。第三者が見れば、きっと口蓋垂まで見せつけた無様な有様だろう。しかし、こればかりは仕方ないのだ。カラストンビが当たって怪我をするなんて間抜けな事態は避けなければいけない。充血した器官に鋭利なものを当ててどうなるかなど、想像するに容易い。男として想像もしたくないことである。
 これでもかと開いた口を、バイカーシェードは両の手で捕らえた――支えた屹立に向かってゆっくりと近づける。自然と垂れ下がっていた舌が、一足先に硬い雄にひたりと当たった。瞬間、凄まじい味が味蕾を刺激する。相当ヒトを選ぶ味だ。端的に言えばまずい。普通に暮らしていてはまず知ることのない味であり、知るべきではない味だ。だというのに、身体は歓喜を表すようにゾクリと震える。ぁ、とまた漏れた音は、鼓膜を破りたくなるようなものだった。
 最悪と言っても過言でない味を――これ以上無く本能を刺激する味を受け入れながら、少年は握り込んだ欲望の塊を口内に収めていく。血が巡りきった雄肉は、口腔粘膜を焼き尽くしてしまいそうなほど熱い。不愉快なはずなのに、胸の内にはどんどんと充足感が広がっていった。反面、腹の底は飢えを訴える。みっともなく泣き叫ぶ本能を抑え込み、バイカーシェードは頭を引いていく。くぷ、とやけに可愛らしい音が己の口から漏れるのが聞こえた。
 頷くように頭を往復させ、雄の証を扱く。色の薄い唇で、ピンク色の舌で、ぬめった硬口蓋で、柔らかな頬肉で、興奮しきった恋人自身を刺激する。ぐぷ、じゅぷ、と卑猥な音をたてて舐めしゃぶる。はしたない、なんて言葉では済まされない姿だ。けれども、今はこれが何よりも正しい姿なのである。コトを進めるためには。
 先端を咥え、張り出た部分を、先走りを漏らす孔を舐め回して刺激する。支える手を上下に動かし、幹にも刺激を与える。さすがに敏感な部分だからだろう、短い嬌声が上から降ってきた。もっと引きずり出してやりたくて、あちらも無様な姿を晒してやりたくて、手にも舌にも熱が入る。尖らせた舌で先端を浅くほじり、緩急織り交ぜ己の唾液でぬめった幹を扱き上げる。必死に堪えた吐息が何度も聞こえてきた。
 味が、熱が、粘膜を通して脳味噌を溶かしていく。じゅぶ、ぬぷ、と淫猥な音が己から発せられる。平時の己が見たならば卒倒する、否、すぐさま叩き潰してインクに還してやるようなものである。だのに、やめられない。淫らな姿を晒してでも、いつでも飄々としていけ好かないこいつに一矢報いたくて――己がきもちよくなりたくて仕方が無いのだ。
 吸い付きながら引き抜き、一度口を離す。じゅぽん、と猥雑な音が、ぐぁ、と濁った嬌声があがった。昂ぶり越しにちらりと上を見やる。室内灯で逆光になった恋人――マルノミはこれ以上に無いしかめ面をしていた。眉根は強く寄せられ、目は睨みつけるように眇められ、口は食い縛って牙を剥き出しにしている。だが、柔らかな輪郭を描く頬は赤く染まっている。彼が性的興奮を覚えている、快楽を覚えている証拠である。己の手によって追い詰められている証左である。無様極まりない光景に、バイカーシェードは思わず鼻を鳴らす。悟られぬよう、すぐさま次の行動に移った。
 だらりとみっともなく舌を垂れ下げ、シールでも貼り付けるように竿にべったりと付ける。ゆっくりとピンクの粘膜で雄の器官を撫で上げていった。手で扱いたことにより少し乾いてしまったそこに、新たに唾液をまぶしていく。まるでマーキングだ――匂いと味でマーキングされているのはこちらだが。
 柔らかでしなやかな筋肉で撫で上げられるのは随分と効いたらしい。呼吸を殺す音が何度も降ってくる。けれども、これではきもちよさよりももどかしさを覚えるはずだ。口淫に比べれば、こんなの児戯に等しい。粘膜を押しつけた剛直も、足りないと訴えるようにビクビクと跳ねた。
 頭に感覚。大きな何かが、ツヤツヤとした頭の形を確認するようにゆっくりと動く。その動きは、愛おしげ、という言葉が一番近いような気がした。
 口淫を施す時、マルノミはよく頭を撫でてくる。時たま、ええ子やな、なんてふざけた言葉まで飛んでくる始末である。そんなの、ただの強がりでしかないなどとうに分かっている。雄の弱点をめいっぱい刺激されて感じ入る情けない自身を誤魔化すための行為でしかないのだ。襲い来る快感を逃がすための愚策でしかないのだ。分かっているからこそ――限界が見えている証だからこそ、やる気が満ち満ちてくるというものである。
 厚い桃色粘膜を幹から離す。またはしたなく大口を開け、怒張を口の中に迎え入れた。頭に乗せられた手がビクン、と跳ねるのを感じる。心を満たしていく優越感に身を任せ、何度も頭を往復させる。先ほどのように舌を竿全体に当てて舐め回す。時折角度を変え、先端を硬口蓋に擦りつける。ハミガキをするように頬肉に押しつける。支える手で握り締め、ゴシゴシと根元まで丁寧に扱く。唾液をまぶしたことによって、摩擦力は低下している。だからこそ、直接的な快楽だけを与えてやれる。咥えこんだ雄はビクビクと震えるばかりだ。淫靡な音が鳴り響く中、ぐぅ、と喉が絞られる音が落ちるのが分かった。
「も、ええから」
 頭上から平静を装いきれていない声が降ってくる。降伏の声であり、敗北を認めた声だ。もう達しそうだという言外の主張だ。そんな弱みを見せて、止める道理などない。更に吸い付き、唇で、口腔粘膜で、指で煮えたぎる欲望を扱きたてる。ええて、と悲鳴に近い情けない声が降ってきた。つまり、限界が近い。
 トドメとばかりに、じゅう、と音が鳴るほど強く吸い付く。あッ、と鋭い嬌声が部屋に響くのが分かった。瞬間、口内で熱が爆発した。マルノミが射精したのだ。先ほどとは比較にならないほど酷い味が舌の上を広がっていく。精液を口内に排泄されるなんて最悪極まりない状況だというのに、興奮しきった心は、とろけきった脳は高らかに快哉を叫んだ。待ち望んだものだ、と腹の奥底が悦びに脈動する。呼吸をしているだけのはずの鼻から甘ったるい音が漏れたのはきっと気のせいだろう。
 舌を、喉を動かして、最低の液体を飲み下していく。少量だというのに、どろりとしたそれは粘膜にへばりつくようで上手く流れていかない。何度も吸い付いて――精虫を根こそぎ吸い出して、なんとか全て飲み込む。白濁を通した喉が何とも言えない感覚を訴えた。毎度のことであり、いつまで経っても慣れないことである――慣れても仕方が無いのだけれど。
 口全体を使って舐め上げるようにゆっくりと引き抜いていく。自然と垂れた舌とまだ形を保っている先端の間に細い橋が架かった。すぐにほつれたそれが垂れて、顎を濡らす。拳で拭い、視線を上へと向ける。逆光の中見えたのは、頬どころか肌全てを朱に染め、荒い息を漏らすマルノミの顔だ。眦に光る何かが見えたのは、きっと気のせいではない。あまりにも情けない――淫らな容貌に、思わず笑みが音となってこぼれ落ちた。
「早漏」
「誰がや」
 まだおかしな感覚がする喉で言葉を紡ぎ出す。嘲るそれを、すぐさま声が切り裂く。いつもの鋭さのなど失った、まだ輪郭が曖昧な音だ。当然だ、達したばかりなのにいつも通りでいられる方が珍しいだろう。それがまた間抜けに映って、妙に可愛らしく思えて、バイカーシェードは笑みを漏らす。ぺちん、と力の入っていない手で頭を叩かれた。
「てか、何でそないめっちゃ上手いねん。どこで覚えたんや」
 赤らんだ顔のまま、マルノミは唇を尖らせる。想定外に早く高みへと至った悔しさと、不安を孕んだ懐疑の音色をしていた。拗ねているようにも聞こえる。こんな行為など到底似合わない、子どもめいた姿だった――股ぐらの楔はまだ勃ち上がっているのだからシュールである。
「これだけやってれば嫌でも覚えるだろ」
 お前が悪い、と吐き捨て、バイカーシェードは拳で口元を拭う。口淫など、もう互いの両の手足を使っても数え切れないほど行ってきた。好むやり方や弱い部分なんてもう把握しきっている。ならば、そこを重点的に刺激してやればいいだけだ。敏感な部位はそれだけですぐに精を吐き出すのだから単純である。
 ふぅん、とマルノミは鼻を鳴らす。尖っていた唇が解け、今度は憎たらしい笑みを作り出す。細くなった目元には、喜悦が浮かんでいた。そぉかぁ、と満足げな声と共に、彼の両手が頭を包んで撫で回す。まだ濡れた拳で弾き飛ばした。
 立ち上がり、少年は恋人が縁に腰掛けるベッドへと乗り上げる。そのまま、枕に頭を預けてごろりと横たわった。太い弦を掴み、サングラスを片手で取って脇に放り投げる。黒いそれは音もなくシーツの上に転がった。
「続きやるぞ」
 お前だけきもちいいとかおかしいだろうが、とバイカーシェードは吐く。音が少し上擦ったものになっていたのはきっと気のせいだ。精を飲み下した喉がまだ上手く機能していないだけだ。誤魔化すように瞬きするのと、ベッドが鈍い鳴き声をあげたのはほぼ同時だった。
 レギンスの縁に手を掛ける。コトを終わらせるには――きもちよくなるためにはこんなものは邪魔でしかない。さっさと脱ぎ捨てるのが最善だ。力を入れるより先に、ずるりと肌を布が撫でていく感触がした。指先からは布が消え、代わりに視界の端っこに下着ごと引き抜かれたレギンスが見えた。どうやら脱がされたらしい。こいつは脱がしたがりなのだ。
 引き抜いた他者の下穿きを乱雑に放り投げ、マルノミはベッドの下を漁る。ローションを探しているのだろう。その間に、シャツのボタンを外してしまう。こちらもまた、行為の上では邪魔者である。上半身を起こし脱ぎ捨てようとしたところで、ぐっと下半身から負荷がかかった。そのまま、肩が、上半身がベッドに押しつけられる。反して、下半身は持ち上げられていた。鍛えられた足を掴んだ手が、そのままベッドに縫い付ける。背は中途半端に丸まり腰は持ち上がるという、まるで後転をし損ねたような形だ。は、と思わず疑問符が付いた声が漏れる。
「おい」
「黙っとき」
 不服の申し立ては短い言葉で斬り捨てられた。舌噛むで、と降ってきた声は何だか楽しげだ。ろくなことを考えていない証拠である。おい、と先ほどより強く声を放つ。同時に、肌に冷たいものがぶちまけられた。ボトルから直接垂らされるローションが、これから暴く場所だけではなく締まった尻や勃ち上がった己自身を濡らしていく。冷えてぬめった感覚は数えるのも面倒臭いほど体験しているが、未だに慣れずにいる――慣れてしまうのもそれはそれで問題だが。
 秘められるべき場所に、まだ硬い窄まりに指が触れる。出そうになった音を必死に潰し、息を呑み込んだ。触れたそれは皺のある縁をくるくるとなぞるばかりだ。労るような動きでもあり、宣言の一種にも思えた。今からここに挿入れるぞ、と。
 窄まった中心に指がひたりと宛てられる。身を固くするより先に、表面の硬いそれが這入ってきた。侵入者はおそるおそるといった調子で進んでいく。その度、じゅぶ、ずぶ、と猥雑極まりない音があがった。己の肉体から発せられているとは考えたくないそれに、バイカーシェードは身を捩る。足を押さえつける力が強くなった。
「危ないて。痛いんやなくて、きもちよぉなりたいんやろ?」
 笑みを含んだ声が、けれども切羽詰まったような響きが降ってくる。確かにきもちよくなりたいのは事実だ。でなければ排泄器官を舐めるなんて馬鹿げたことをやるはずがない。けれども、こんなおかしな姿勢を取る必要など無いではないか。訴えるより先に、ゆっくりと、確かに、マルノミの指が更にナカへと這入ってくる。根元まで埋まる頃には、息はすっかりと熱を孕んだ情けないものになってしまっていた。押し殺すも、浅くなる呼吸はみっともない音をたてるばかりだ。上から短い笑声が降ってくる。先ほどの意趣返しと言いたげなものだった。舌打ちをするより先に、緩慢な動きで指が抜かれていく。少しだけ曲げられたそれが内壁を擦り、胼胝が柔らかな部位を刺激する。薄く開いてしまった口から、ぁっ、と高い声があがった。
 ゆっくりと、腹が立つほどゆっくりと、マルノミは指を動かす。ただ突き入れるだけと思えば、鉤のように曲げた先端で擦り、広げるようにナカでくるくると円を描く。その度に神経は脳味噌に信号をぶち込んでくる。快楽と名の付いた信号をぶちこんで、思考を溶かしていく。身体に命令を送る役割を放棄させていく。気がついた頃には、口からは耳を削ぎ落としてしまいたいほどみっともない声が漏れていた。
「ぁ……ぅ、あっ」
 緩慢な指が増援を呼び、侵入者が二本に増える。うちがわをごりごりと強く擦られ、思わず嬌声が飛び出た。ガールのように高いそれがあまりにも情けなくて、肉をほじくられるのがあまりにもきもちよすぎて、目頭に熱を覚える。ぎゅっと閉じることでそれを押さえつけようとするも、這入り込んだ存在が許してくれなかった。ぐっぐっと二本の指が腹の中身を押す。瞬間、凄まじい感覚が頭を殴った。
「アッ! ぃ、あっ、あ……!」
「ここ、好きよなぁ」
 思わず開いた目、視界の中にマルノミが映る。蹴っ飛ばしてやりたいような笑みを浮かべた彼の顔も、指を突き入れられ従順に咥えこんだ秘所も、刺激していないのに先走りを漏らす己自身も、全て白色灯の下に晒されていた。この目にはっきりと映った。己の浅ましさ極まりない姿を、鮮明に認識してしまった。途端、心臓が跳ね上がる。指を咥えこんだ孔がきゅうと窄まる。ヒ、と悲鳴めいた声が部屋に響いた。
 しがみついてくるそれを振りほどくように、宥めるように、侵入者はうちがわを撫でていく。カリカリと引っ掻いて、きまぐれにあの場所をノックして、バタ足をするように開いて閉じて、ヒトの中身をめちゃくちゃにしていく。その度に脳味噌が形を失っていく。声帯が身勝手に震えて変な音を作り出す。腹の底で燻っていた炎が轟々と燃え上がっていく。もう何かを制御することも、何かを考えることもできなくなっていた。ただただ与えられる快楽を享受するだけだ。
 ずる、と聞きたくもない音をたてて指が去っていく。は、と安堵に漏れた息はすっかりと熱を帯びていて、嬌声とほぼ変わりない音をしていた。抱き締める相手を失った後孔がひくひくとはしたなく収縮する。求めていたものを失った腹が泣き声をあげる。同時に、心臓は動きを早めた。だって、指がいなくなったら、次に何が来るかなんて分かりきっていて。
 衣擦れの音。しばしして、また孔に何かが宛がわれた。指とは違う熱。指とは違う硬さ。何より、目の前にあらわになったその凶悪な形。待ち望んでいたものに、腹の底がきゅうと切ない声をあげる感覚が襲った。愚かしいそれを否定する思考力など、もう残っていない。ぁ、と期待に満ちた喘ぎを漏らすことしかできなかった。
 硬い先端が、解しに解した孔へと挿入っていく。ぐっと押しつけ、ずぷずぷと押し入り、熱で粘膜を焼いていく。その光景が全て光の下に晒され、見せ付けるように己の眼前で繰り広げられていく。腹からもたらされる快楽に羞恥を煽る光景。最高と最悪がぐちゃぐちゃになって、全部まぜごぜになって。視覚情報と触覚情報を受け止めた脳味噌は、最後の最後には法悦を叫んだ。まるで押し出されるように、喉からみっともない声が何度も吐き出される。己のものだと信じたくない細く高い声が乱れたシーツの上を転がっていった。
 マルノミの動きが止まる。昂った彼自身はまだ半分も這入っていない状態だ。一体どうしたのだろうか。何で這入ってこないのだろうか。何で、きもちよくなろうとしないのだろうか。続きをねだるように内壁が蠢き、ちょっとしか掴んでいない雄の象徴を撫で上げる。息の詰まる音、ナカで跳ねる肉。足を押さえつける手が更なる負荷を掛けてくる。ぼやけつつある視界の中、大きな口、その口角が不気味なまでに吊り上がるのが見えた。
 ばちゅん。
「――アッ!? ぃ、いっ……、あァ!」
 湿った大きな音が鼓膜を震わせる。瞬間、脳味噌の中身がバチバチと音をたてる心地がした。びくん、と驚愕と快感に身体が跳ねる。マルノミが一気に突き入れたのだ、と気付く頃には、淫猥な音が目の前で鳴り響いていた。
「ぅあっ! お、ま……、あ、ァ、ッア…………!」
 ばちゅん、ぼちゅん、と卑猥な音が部屋中に響く。その度にうちがわは快楽信号を脳味噌に叩きつけた。受容したそれは頭の中を揺さぶり、べったりと桃色に塗り潰していく。きもちいいことしか考えられないように作り変えていく。おかげで声を押し殺す機能など忘れてしまったようだ。喉は空気を押し出し、声帯は勝手に震え、甘ったるい声を口から吐き出させる。耳を斬り落としてでも聞きたくない、己のものとは絶対に認めたくない情けない声だ。けれど、制御機能を失った身体は本能に任せて悦びを謳い上げた。
 硬いモノがすっかりと柔らかくなったうちがわを突き進み、拓いていく。張り出たカリでうねる肉を耕し、太い幹で隘路を押し広げ、ヒトの中身を暴いていく。奥底に叩きつけるように突き入れたと思えば、小刻みに動かし指で散々いじくった部分をこね回す。しとどに流れる先走りを塗り込めるように先端を媚肉に擦りつける。その度に、神経は丁寧に快楽を拾い上げて頭へと伝達する。信号を受け止めた脳味噌は、どんどんと形を失っていった。ただただ情報を――もたらされる淫悦を受け止めるだけの存在へと成り下がっていく。
 性行為などもう数え切れないほどしている。しかし、今回は特別きもちがいい。何しろ、普段は届かない場所まで雄杭が穿ってくるのだ。垂直に突き立てる体勢によるものだろう、なんて考える暇は無い。ァ、ぅあ、と浅ましい声が口を突いて出る。開閉機能を忘れた口は開きっぱなしになり、絶えず嬌声と唾液を漏らしていた。肉が肉を耕す音と合わさって、この上なく卑猥な合奏が部屋中を満たしていく。
 突如、声が止む。空気と声を吐き出す口が苦しさを覚える。ナカだけではなく、口まで熱を感じる。ぬめる何かが舌を絡め取る。口付けされているのだ――否、食われると言った方が正しい。唇全てがマルノミの口の中に収められていた。
 呼吸の音が、唾液がこねられる音が、猥雑なハーモニーを更にいやらしいものにしていく。腹のナカだけでなく、耳まで犯していく。凜々しい目元がどろりと溶けるように垂れ下がった。
 口付けの最中でも、マルノミがじっとしているはずがない。穿つように腰を垂直に押しつけ、しなやかな内臓を押し広げて形を変えさせていく。舌と舌が擦れて、肉と肉が擦れて、多大なる快楽を生み出す。頭の中にはもう『きもちいい』の五音節だけが浮かんでいた。それも肛悦が全て蹴散らしていくのだけれど。
 ばちゅばちゅと腰つきが早くなる。ローションが大太刀でこねられる音もどんどんと鋭さを増していった。口が解放されると同時に、動きはどんどんと激烈なものとなっていった。ぐちゃぐちゃのどろどろになった脳味噌が一つの事実を理解する。果てが近いのだ。この腹に子種をぶちまけようとしているのだ。一番きもちいいことをしようとしているのだ。びくびくと身体が跳ね、口は相変わらず悦びの声をあげる。唾液にまみれた口元に、薄い笑みが浮かんだ。
 早くちょうだいと言わんばかりに内壁が蠢く。ぎゅうぎゅうと抱き締めて、刺激して、縋りつく。必死なそれを振りほどき、大業物は何度も抜いては突き入れてを繰り返す。互いに最高の瞬間を求めての動きだ。淫猥極まりない音の中に、嬌声が二つ混ざっていく。短いそれらは、やはり果てを意味するものだった。
 ごちゅん、と腹の一番奥で音が聞こえた気がした。
 瞬間、ぼやける視界に火花が散る。とろけた脳味噌がバチバチとショートする。法悦の涙を流していた腹の中身がこれ以上に無い叫びをあげた。悦びの叫びを。
「――ぅっ、ぐ、ぅ!」
 ビクン、とバイカーシェードの身体が一際大きく跳ねる。あれだけあげていた高い嬌声は、詰まったものに変わった。あまりの肉の悦びに、喉は息を吐き出すことすらできなくなったのだ。一拍置いて、顔に熱。揺さぶられて揺れる己自身から精が吐き出されたのだ、と認識するより先に、ァ、と上擦った声が頭上から聞こえた。
 ぼぢゅん、と淫らな音が下半身からあがる。同時に、うちがわを熱が焼き尽くしていった。マルノミもまた達したのだ。吐き出された子種が腹の中身を蹂躙していく。どぷどぷと注ぎ入れて、ナカにマーキングしていく。これは自分のものなのだ、と主張し染めていく。ただ熱を注ぎ込まれているだけだというのに、最高にきもちいい。達したばかりの頭が、快楽を認識してまたバチバチと火花を散らす。もう弾けて無くなってしまいそうな心地だった。きっと、それすらもきもちいいのだろう。
 達したばかりだというのに、マルノミは腰を動かす。精巣の中身を全て吐き出し、塗り込めているのだ。きもちいいことを求めて、無意識の所有欲を剥き出しにして、少年は小刻みに動く。その度にうちがわに欲望が流れ込んできて、脳を焼いていく。開きっぱなしの口は、突かれる度に短い悦びを吐き出した。
 ようやく動きが止まる。ずるり、なんて音が聞こえてきそうなほどゆっくり、萎びた肉茎が肉の道から抜き出された。ほぼ同時に、足を押さえつける力が無くなる。ドサ、と隣から鈍い音が聞こえた。
 ようやく無理な姿勢から解放され、意識がまともな形を取り戻し、バイカーシェードは大きく息を吐く。サングラスはとうの昔に放り出したというのに、視界がぼやけて悪いったらない。瞬きをすると、眦を何かが垂れゆく感覚がした。目元も口元だけでなく、鼻や頬のあたりまで妙な冷たさを感じる。重い腕を動かし触れてみると、ぬるりとした感触が指を伝った。離れた指先を眺める。紅潮した末端には、薄い白が付着していた。
 そうだ、己の精液だ。無理な姿勢で行為をしたせいで、顔に精をぶちまけてしまったのだ。腰や足、尻にじわじわと痛みが広がっていく感覚。無理矢理押さえつけられ曲げられた場所が、加減無しに打ち付けられた場所が不満を噴出しだしたのだ。
「ふ、ざける、なよ、おまえ」
 なんとか手を持ち上げ、バイカーシェードは真隣へと腕を下ろす。ばちん、と重い音。いったぁ、と疲れ果てた声があがった。
「ええやん。よかったやろ?」
 問う声はこの上なく満足げなものだった。それはそうだ、ヒトの身体を好き放題にもてあそび、子種全てを吐き出したのだから満足していないわけがない。それが腹立たしくて――事実を突きつけられて、不愉快で仕方が無い。否定の言葉を返そうにも、あれだけ喘いだ喉は痛みを訴えてまた機能しない。舌打ちをするのがやっとだった。
「またやろな」
「やらん」
 ウキウキなんて擬音が似合う声でマルノミは言う。ざらついた声が短く切り捨てた。
 またなんてごめんだ。こんな無理な体勢など、顔に欲望を吐き出してしまうような体位など、きもちよすぎて何もかも分からなくなるような行為など、当分はやりたくない。
畳む

#腐向け #R18

スプラトゥーン


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