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絡【フウ→ヨウ】

絡【フウ→ヨウ】
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久しぶりにわグでなんか書きたかったのでいつも通り診断メーカー使って30m。
うちのヨウコちゃんとフウリちゃんの爛れた関係とかそんなの。

わグルま!へのお題は『離してあげられなくてごめんね』です。 http://shindanmaker.com/392860

 もぞりと膝の上に乗せた少女が身じろぐ。後ろからでは表情は見えないが、きっといつも通り酷く居心地が悪そうで、端から見れば泣いてしまうのではないかと心配するくらい怯えているのだろう。それでも、そんなことは欠片も気付いていないという風に彼女に声をかける。
「どうしたの?」
「っ、な、なんでもない」
 にこりと笑いかけて問うだけで彼女の身体が大きく跳ねる。普段通りに振る舞おうと返す声は硬く、なにより少し見上げた先にある金色の耳はだんだんと伏せられいた。その小さな身体も寒さをこらえるように震えている。分かりやすい反応に無意識に口角が上がる。
「そっか」
 強張る彼女の腹を優しく撫でる。ひっ、と小さく息を飲む音が聞こえた。気にせずさわさわと優しく撫で続けると更に体が硬くなる。邪魔になるからと横に流された尾は大きく膨らんでいた。
 どれだけ嫌悪しても、恐怖しても、彼女が自分から離れることができないのは分かり切っていることであった。自分が強要したわけではない、そもそも敵対する種族なのだから強要することなど不可能だ。ただ彼女が勝手に責任を感じて勝手にそうしているだけ。だからといって、それをわざわざ否定し遠慮する道理などない。
 面白そうなものがあれば遊ぶ。それが勝手に服従する敵対種族なら尚更だ。
 両腕を彼女の腹に回し、その背に身を寄せる。抱きしめる形になったそれに彼女はまた小さく悲鳴を上げた。それでも逃げ出さないというのだから頑固というかなんというか。その哀れな姿に小さく笑みが浮かんだ。
「ヨウコちゃんはあったかいね」
「……誰でもそうでしょ」
「ヨウコちゃんはあったかいよ」
 その背に額をつけ、すんと鼻を鳴らす。狐の匂いは不愉快だが、彼女のそれには随分と慣れてしまった。慣れるほど、彼女で遊んでいるということだ。
 彼女もこちらの匂いを不快に思っているのだろうか、なんてぼんやりと考える。その不愉快な匂いを今まさに彼女の身体に、意識に染み込ませているのだと考えるとふわりと胸の内が満たされた。
「今日は寒いし、あったかいヨウコちゃんにくっついてたいなー」
 駄目かな、と問うが、彼女は震えるばかりで声すら上げない。泣いているのだろうか、とその顔を窺おうとするがただでさえ見辛い背後からでは俯いたその表情は読み取れない。まぁ、沈黙は肯定と受け取っていいだろう。そう考えて凭れかかるようにして身体を寄せた。
「ごめんね、離せなくて」
「……いいわよ」
 返事する声は酷く引きつっていて聞き取り辛い。それでも、それは肯定を意味するものだった。有難う、と笑って返すと、彼女はまた震えた。
 離してあげる気なんてないけどね。
 心の内で呟いて、腹に回した腕に力を込めた。

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#わグルま! #フウリ #ヨウコ #百合

スタイル【GOD EATER】

スタイル【GOD EATER】
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pixivで非公開にしていたものをサルベージ。キャプションとか諸々全部当時のままです。

私の戦い方だと絶対に皆に説教されるよなとかそんな妄想。終着点が見つからない。

「だーかーらー! 何でいつも一人で突っ込んでいくんですか! いつもそれで怪我ばかりしているんですからもっと気をつけてください! 大体貴女は――」
フェンリル極東支部、出撃ゲート前のロビーに怒号が響く。
声の主は第一部隊に所属する新型神機使いのアリサ・イリーニチナ・アミエーラ。ミッションを終え疲れているであろう、その細い身体のどこから出ているのかと疑問に思うほど声を張り上げ、目の前に正座している人物に怒りをぶつけている。
そしてその目の前で正座している人物は――
「いい加減自分の身を大切にすることを覚えてください! リーダー!」
彼女が所属する第一部隊、その部隊長である。
彼女はアリサの怒号に掻き消されそうな声で「はい」と相槌を打っていた。そこに反省の色は見られるのだが、次のミッションまでにそのことを忘れてしまうことを極東支部の皆は知っている。
なにせ、この光景は彼女が部隊長と就任したすぐ後から続けられているものだからだ。
彼女とミッションに同行したものは口々に言う。「後先を考えずに突っ込んでいく奴だ」と。
実際、突っ込んではいくものの、技術を駆使し戦うので戦地で倒れることは少ない。しかし、倒れる一歩手前でも回復薬を使わずに敵を斬りつけにいくその姿は、異常だった。
本人曰く、「とりあえず斬れば全部済む」、「まあなんとかなる」、だそうだ。
他の神機使いは半ば諦めているようだが、アリサはそれが気に食わないのだろう。第一部隊長が一度いなくなったことも多少関係しているだろうが、仲間が自ら死ににいくような姿はアラガミによって家族を失った彼女にとっては耐え難い光景なのだろう。
「それにしても、あれだけ言ってもよく飽きないよなー」
手すりに寄りかかり、その光景を遠巻きに眺めているコウタが呟く。
「ありゃ直るまで続くだろうな。直るかどうか分からないけどな」
その言葉に、隣にいるタツミが笑いながら続く。
「私は直るとは思えないけどね。隊長さんも、アリサも」
缶コーヒーを手にしたジーナが、コウタの横にもたれかかって続く。
「『アリサも』ってどういうこと?」
「隊長さんは見ての通りだけど、万が一あの癖が直ったとしてもアリサもお説教は続くでしょうね」
「いや、流石にアリサもそこまでしつこい奴じゃないんだけど……」
困ったような顔で言うコウタに視線を投げ、ジーナは微笑んだような顔で続ける。
「別に彼女がしつこいとかそんなのじゃないわ。ただ、『あれ』は彼女たちにとっての一種の儀式みたいなものだと思うの」
「儀式ねえ」
あながち間違いではないかもしれない、とタツミは苦笑して呟く。
「『今日は生きて帰ってきました』『次も生きて帰りましょう』って感じかしら」
「その通りなら言ってることはリンドウさんと同じだけど、あれじゃあなあ」
「まあ、あのリーダーもアリサだからこそあれだけ大人しく叱られてるんじゃないか? 部下にあれだけ言われても反論すらしないのは一種の信頼の形だろ」
そんなことを言ってタツミはカラカラと笑った。ジーナもコーヒーを飲む手を休め、笑う。
信頼。
実際のところ、コウタもあの隊長の戦闘スタイルに言いたいことは山ほどある。無茶せず回復しろとか、無理に斬りにいくなとか、言いたいことは概ねアリサと同じである。
多分、コウタが言っても結果は同じだろう。しかし、アリサがあれだけ言っても改善しない辺り、もはや直す気すらないのではないのではないかと思ってしまう。
タツミの言う通りなら、彼女は自分たちを信頼してくれているのだろう。背を、命を預けられる仲間だからこそ、馬鹿のように一直線に敵に向かっていけるのかもしれない。
しかし、仲間にとってはその姿は心配を生み出すものだ。信頼はしていても、仲間が一人で強大な敵に突っ込んでいく様は心臓に良くない。頼られるのは嬉しいが、その前に自身を大切にするべきだ、と彼女の姿を見たものは思うだろう。
多分、彼女のことだろうから、それでも「自分より仲間のほうが大事だ」とか言うのだろう。「自分などどうでもいい」と言うような調子でそう言うのだろう。
そんなことを考えて、コウタは眉に皺を寄せた。
「あらあら、どうしたの?」
「……俺も、説教してこようかな」
「あらあら。部下二人からお説教されるなんて、隊長さんも大変ね」
ジーナはくすくすと笑った。
「二人で言えばなんとかなるかもな」
「リンドウさんに怒られても直らなかった子よ?」
「じゃあ駄目かもな」
タツミとジーナがそう言葉を交わしているのを背中で聞きつつ、コウタは未だ続く二人の元へと向かった。
「そうだそうだー! 無茶すんなよ、リーダー!」
怒号と反省の声に、楽しそうな声が加わった。

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#GOD EATER #アリサ・イリーニチナ・アミエーラ #うちの子

表【宗+善】

表【宗+善】
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pixivで非公開にしていたものをサルベージ。キャプションとか諸々全部当時のままです。

表しかたは人それぞれなのです。
人が殺したいほど好きな結果(?)が殺人衝動なのになくなったらどうなるの、と思った結果がこれ。念のため腐向け。

「殺す、ということがこんなにくだらないなんてね」
 宗像形はそう呟く。湯飲みを満たす茶が揺れ、小さな波が広がった。
 地下二階、庭園の一角にある茶室。その一室には二つの人影がある。
「こういうのもなんですが、気付けてよかったんじゃないですか?」
 茶を一口飲み、人吉善吉はそう言う。
「結果的にですが、球磨川先輩は『大嘘憑き』で死をなかったことにしました。殺したことには変わりがありませんが、取り返しのつかないことにならずにすみました」
 そこでまた茶を一口含む。宗像もつられて飲んだ。
「なにより、先輩がずっと悩んでいた、苦しんできた異常(それ)がなくなったのは、喜ばしいことじゃないでしょうか」
 静寂が部屋を満たす。風のほとんどない庭園は、ただ静かだった。
「そうかもしれない。だけど」
 黙って下を向いていた宗像が口を開く。
「だけど、同時に僕は人を好きになることが分からなくなった。『殺したい』ということでしか表現できなかったそれを、どう言えば、どうやれば『好き』といえるか分からない」
 ゆっくりと顔を上げ、宗像は善吉の目をじっと見る。
「君に、なんと言えば、どうやって接すればいいか、分からない」
 宗像のその目は、今にも泣いてしまいそうな、不安定な色を湛えていた。
「カッ」
 その不安を吹き飛ばすように、善吉は笑い、言葉を続ける。
「なんにも考えなくていいんですよ。友達と一緒にいるのに、難しく考えることなんて何にもありません」
「特に俺とは」と善吉は冗談めかして笑った。つられたように、宗像も薄く笑う。
「そうか」
「そうですよ」
「――――でも、ごめん」
 言うが否や、刀が善吉の頬を掠めた。一拍遅れて――あまりのことに遅れたように感じた――背後の柱に刀が刺さり、鈍い音をたてる。
「僕には、この表現(これ)しか分からない」
 いつの間にか刀を手にした宗像は、静かに、どこか悲しそうに善吉を見つめていた。
「――君を、殺す」
「カッ! 俺は殺されたぐらいじゃ死にませんよ」
 善吉も立ち上がって宗像を見据える。
「先輩に、俺を殺させはしません」
 宗像は小さく頷いて、手に持った刀を善吉に向けた。

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#めだかボックス #宗像形 #人吉善吉 #腐向け

祝う日【わグルま!】

祝う日【わグルま!】
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ワンドロやりたいけど1時間で絵なんて描けねーよちくしょーってことでSS書いた。突発的なあれなので30m。
リリムと鬼神族がだらだら喋ってるだけの話。
「祝日ムード」ってあったけど祝日って解釈していいのかどうか。解釈して書いたけど。



 穏やかな午後を流れる時間は普段の物よりずっとゆっくりで、皆好き好きに行動している。武器を振るい己の技を磨く者もいれば、柔らかな絨毯に寝転がりだらだらと漫画を読む者、落ち着いた色合いの調度で白く美しい食器を用い茶会を開く者もいる。
 本日は勤労魔王の日。祝日である。ただ一人、魔王を除いて。
「祝日ってもやることねーしなぁ」
「私達も探索しに行かなくていいだけで何にも変わりませんね」
 トンカンと工具をいじる転生悪魔――鬼神族の隣には、リリムが一人。初期から連れ添っている彼女は、時々マスターの隣で行動する。鍛え上げられた肉体と大きな角を持つ鬼神族と、小さな角と羽を持つ小柄なリリムが並ぶ姿はさながら親子のようだ。
「つーか魔王『だけ』働くってのも意味分かんねーな。魔王ってなんだっけ」
「さあ? でも、マスターは働くんですね」
 本日は事実上の祝日ということで、普段探索に出かけて忙しい彼女達にも休みを与えることにした。しかし、マスターである鬼神族の行動はいつも通りのものだ。
「そりゃあ、休みなんだから好きなことするだろ」
「いつも通りじゃないですか」
「やることねーしな。家具作ってるのがいい」
 互いにやる気のない様子で会話する間にも、彼の手は動く。その手にあった木材は様々な道具によって形を変え、家具らしい姿へと変わっていく。その様子を見るのがリリムは好きだった。
「そういや飯どうする? 今日、休みの店多いんだろ?」
 祝日なので休みを取る店も多い。大きな店は開いているだろうが、そこまではかなり距離があった。
「材料は残ってますけど、何にしましょうか」
「もうカップ麺でよくないか。面倒くさいし」
「あー……、ストック足りるか分かりませんね。人数増えましたし」
 確かにカップ麺はいくらか買ってあったはずだが、先日の『衝動買い』で、この家は随分と賑やかしくなったこの家には足りないだろう。
「そういやそうだな」
「どこかの誰かさんのせいで」
「それ、マスターに言う言葉か?」
「どうでしょ」
 彼が魔界に来た時から一緒にいるリリムとの会話は主従関係から離れたようなものも多い。けれども、それは二人にとっての日常であり何ら問題のないことだ。
「まぁ、どれもこれも魔王様様だな」
 魔王という存在があったからこそ、彼はここに存在し、そして彼女もこの暮らしを手に入れた。そして、多くの『家族』と出会えることができた。全ては真っ黒で正体が分からない『魔王』という王の存在があるからこそ、この安らかな日常を過ごすことができるのだ。
「なんか労う方法はねーのかな」
「毎朝おにぎりを持ってきてくださいますし、ポストに手紙でも入れておくとかどうでしょう」
「サンタクロースみたいだな」
 ハハ、と彼は笑う。リリムも穏やかに笑った。
 そんな穏やかな、祝日の午後。

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#わグルま! #リリム #鬼神族


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