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No.11
表【宗+善】
表【宗+善】
pixivで非公開にしていたものをサルベージ。キャプションとか諸々全部当時のままです。
表しかたは人それぞれなのです。
人が殺したいほど好きな結果(?)が殺人衝動なのになくなったらどうなるの、と思った結果がこれ。念のため腐向け。
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「殺す、ということがこんなにくだらないなんてね」
宗像形はそう呟く。湯飲みを満たす茶が揺れ、小さな波が広がった。
地下二階、庭園の一角にある茶室。その一室には二つの人影がある。
「こういうのもなんですが、気付けてよかったんじゃないですか?」
茶を一口飲み、人吉善吉はそう言う。
「結果的にですが、球磨川先輩は『大嘘憑き』で死をなかったことにしました。殺したことには変わりがありませんが、取り返しのつかないことにならずにすみました」
そこでまた茶を一口含む。宗像もつられて飲んだ。
「なにより、先輩がずっと悩んでいた、苦しんできた
異常
(
それ
)
がなくなったのは、喜ばしいことじゃないでしょうか」
静寂が部屋を満たす。風のほとんどない庭園は、ただ静かだった。
「そうかもしれない。だけど」
黙って下を向いていた宗像が口を開く。
「だけど、同時に僕は人を好きになることが分からなくなった。『殺したい』ということでしか表現できなかったそれを、どう言えば、どうやれば『好き』といえるか分からない」
ゆっくりと顔を上げ、宗像は善吉の目をじっと見る。
「君に、なんと言えば、どうやって接すればいいか、分からない」
宗像のその目は、今にも泣いてしまいそうな、不安定な色を湛えていた。
「カッ」
その不安を吹き飛ばすように、善吉は笑い、言葉を続ける。
「なんにも考えなくていいんですよ。友達と一緒にいるのに、難しく考えることなんて何にもありません」
「特に俺とは」と善吉は冗談めかして笑った。つられたように、宗像も薄く笑う。
「そうか」
「そうですよ」
「――――でも、ごめん」
言うが否や、刀が善吉の頬を掠めた。一拍遅れて――あまりのことに遅れたように感じた――背後の柱に刀が刺さり、鈍い音をたてる。
「僕には、
この表現
(
これ
)
しか分からない」
いつの間にか刀を手にした宗像は、静かに、どこか悲しそうに善吉を見つめていた。
「――君を、殺す」
「カッ! 俺は殺されたぐらいじゃ死にませんよ」
善吉も立ち上がって宗像を見据える。
「先輩に、俺を殺させはしません」
宗像は小さく頷いて、手に持った刀を善吉に向けた。
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#めだかボックス
#宗像形
#人吉善吉
#腐向け
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#宗像形
#人吉善吉
#腐向け
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2024/1/31(Wed) 00:00
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表しかたは人それぞれなのです。
人が殺したいほど好きな結果(?)が殺人衝動なのになくなったらどうなるの、と思った結果がこれ。念のため腐向け。
「殺す、ということがこんなにくだらないなんてね」
宗像形はそう呟く。湯飲みを満たす茶が揺れ、小さな波が広がった。
地下二階、庭園の一角にある茶室。その一室には二つの人影がある。
「こういうのもなんですが、気付けてよかったんじゃないですか?」
茶を一口飲み、人吉善吉はそう言う。
「結果的にですが、球磨川先輩は『大嘘憑き』で死をなかったことにしました。殺したことには変わりがありませんが、取り返しのつかないことにならずにすみました」
そこでまた茶を一口含む。宗像もつられて飲んだ。
「なにより、先輩がずっと悩んでいた、苦しんできた異常がなくなったのは、喜ばしいことじゃないでしょうか」
静寂が部屋を満たす。風のほとんどない庭園は、ただ静かだった。
「そうかもしれない。だけど」
黙って下を向いていた宗像が口を開く。
「だけど、同時に僕は人を好きになることが分からなくなった。『殺したい』ということでしか表現できなかったそれを、どう言えば、どうやれば『好き』といえるか分からない」
ゆっくりと顔を上げ、宗像は善吉の目をじっと見る。
「君に、なんと言えば、どうやって接すればいいか、分からない」
宗像のその目は、今にも泣いてしまいそうな、不安定な色を湛えていた。
「カッ」
その不安を吹き飛ばすように、善吉は笑い、言葉を続ける。
「なんにも考えなくていいんですよ。友達と一緒にいるのに、難しく考えることなんて何にもありません」
「特に俺とは」と善吉は冗談めかして笑った。つられたように、宗像も薄く笑う。
「そうか」
「そうですよ」
「――――でも、ごめん」
言うが否や、刀が善吉の頬を掠めた。一拍遅れて――あまりのことに遅れたように感じた――背後の柱に刀が刺さり、鈍い音をたてる。
「僕には、この表現しか分からない」
いつの間にか刀を手にした宗像は、静かに、どこか悲しそうに善吉を見つめていた。
「――君を、殺す」
「カッ! 俺は殺されたぐらいじゃ死にませんよ」
善吉も立ち上がって宗像を見据える。
「先輩に、俺を殺させはしません」
宗像は小さく頷いて、手に持った刀を善吉に向けた。
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