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No.12
スタイル【GOD EATER】
スタイル【GOD EATER】
pixivで非公開にしていたものをサルベージ。キャプションとか諸々全部当時のままです。
私の戦い方だと絶対に皆に説教されるよなとかそんな妄想。終着点が見つからない。
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「だーかーらー! 何でいつも一人で突っ込んでいくんですか! いつもそれで怪我ばかりしているんですからもっと気をつけてください! 大体貴女は――」
フェンリル極東支部、出撃ゲート前のロビーに怒号が響く。
声の主は第一部隊に所属する新型神機使いのアリサ・イリーニチナ・アミエーラ。ミッションを終え疲れているであろう、その細い身体のどこから出ているのかと疑問に思うほど声を張り上げ、目の前に正座している人物に怒りをぶつけている。
そしてその目の前で正座している人物は――
「いい加減自分の身を大切にすることを覚えてください! リーダー!」
彼女が所属する第一部隊、その部隊長である。
彼女はアリサの怒号に掻き消されそうな声で「はい」と相槌を打っていた。そこに反省の色は見られるのだが、次のミッションまでにそのことを忘れてしまうことを極東支部の皆は知っている。
なにせ、この光景は彼女が部隊長と就任したすぐ後から続けられているものだからだ。
彼女とミッションに同行したものは口々に言う。「後先を考えずに突っ込んでいく奴だ」と。
実際、突っ込んではいくものの、技術を駆使し戦うので戦地で倒れることは少ない。しかし、倒れる一歩手前でも回復薬を使わずに敵を斬りつけにいくその姿は、異常だった。
本人曰く、「とりあえず斬れば全部済む」、「まあなんとかなる」、だそうだ。
他の神機使いは半ば諦めているようだが、アリサはそれが気に食わないのだろう。第一部隊長が一度いなくなったことも多少関係しているだろうが、仲間が自ら死ににいくような姿はアラガミによって家族を失った彼女にとっては耐え難い光景なのだろう。
「それにしても、あれだけ言ってもよく飽きないよなー」
手すりに寄りかかり、その光景を遠巻きに眺めているコウタが呟く。
「ありゃ直るまで続くだろうな。直るかどうか分からないけどな」
その言葉に、隣にいるタツミが笑いながら続く。
「私は直るとは思えないけどね。隊長さんも、アリサも」
缶コーヒーを手にしたジーナが、コウタの横にもたれかかって続く。
「『アリサも』ってどういうこと?」
「隊長さんは見ての通りだけど、万が一あの癖が直ったとしてもアリサもお説教は続くでしょうね」
「いや、流石にアリサもそこまでしつこい奴じゃないんだけど……」
困ったような顔で言うコウタに視線を投げ、ジーナは微笑んだような顔で続ける。
「別に彼女がしつこいとかそんなのじゃないわ。ただ、『あれ』は彼女たちにとっての一種の儀式みたいなものだと思うの」
「儀式ねえ」
あながち間違いではないかもしれない、とタツミは苦笑して呟く。
「『今日は生きて帰ってきました』『次も生きて帰りましょう』って感じかしら」
「その通りなら言ってることはリンドウさんと同じだけど、あれじゃあなあ」
「まあ、あのリーダーもアリサだからこそあれだけ大人しく叱られてるんじゃないか? 部下にあれだけ言われても反論すらしないのは一種の信頼の形だろ」
そんなことを言ってタツミはカラカラと笑った。ジーナもコーヒーを飲む手を休め、笑う。
信頼。
実際のところ、コウタもあの隊長の戦闘スタイルに言いたいことは山ほどある。無茶せず回復しろとか、無理に斬りにいくなとか、言いたいことは概ねアリサと同じである。
多分、コウタが言っても結果は同じだろう。しかし、アリサがあれだけ言っても改善しない辺り、もはや直す気すらないのではないのではないかと思ってしまう。
タツミの言う通りなら、彼女は自分たちを信頼してくれているのだろう。背を、命を預けられる仲間だからこそ、馬鹿のように一直線に敵に向かっていけるのかもしれない。
しかし、仲間にとってはその姿は心配を生み出すものだ。信頼はしていても、仲間が一人で強大な敵に突っ込んでいく様は心臓に良くない。頼られるのは嬉しいが、その前に自身を大切にするべきだ、と彼女の姿を見たものは思うだろう。
多分、彼女のことだろうから、それでも「自分より仲間のほうが大事だ」とか言うのだろう。「自分などどうでもいい」と言うような調子でそう言うのだろう。
そんなことを考えて、コウタは眉に皺を寄せた。
「あらあら、どうしたの?」
「……俺も、説教してこようかな」
「あらあら。部下二人からお説教されるなんて、隊長さんも大変ね」
ジーナはくすくすと笑った。
「二人で言えばなんとかなるかもな」
「リンドウさんに怒られても直らなかった子よ?」
「じゃあ駄目かもな」
タツミとジーナがそう言葉を交わしているのを背中で聞きつつ、コウタは未だ続く二人の元へと向かった。
「そうだそうだー! 無茶すんなよ、リーダー!」
怒号と反省の声に、楽しそうな声が加わった。
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#GOD EATER
#アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
#うちの子
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#うちの子
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2024/1/31(Wed) 00:00
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フェンリル極東支部、出撃ゲート前のロビーに怒号が響く。
声の主は第一部隊に所属する新型神機使いのアリサ・イリーニチナ・アミエーラ。ミッションを終え疲れているであろう、その細い身体のどこから出ているのかと疑問に思うほど声を張り上げ、目の前に正座している人物に怒りをぶつけている。
そしてその目の前で正座している人物は――
「いい加減自分の身を大切にすることを覚えてください! リーダー!」
彼女が所属する第一部隊、その部隊長である。
彼女はアリサの怒号に掻き消されそうな声で「はい」と相槌を打っていた。そこに反省の色は見られるのだが、次のミッションまでにそのことを忘れてしまうことを極東支部の皆は知っている。
なにせ、この光景は彼女が部隊長と就任したすぐ後から続けられているものだからだ。
彼女とミッションに同行したものは口々に言う。「後先を考えずに突っ込んでいく奴だ」と。
実際、突っ込んではいくものの、技術を駆使し戦うので戦地で倒れることは少ない。しかし、倒れる一歩手前でも回復薬を使わずに敵を斬りつけにいくその姿は、異常だった。
本人曰く、「とりあえず斬れば全部済む」、「まあなんとかなる」、だそうだ。
他の神機使いは半ば諦めているようだが、アリサはそれが気に食わないのだろう。第一部隊長が一度いなくなったことも多少関係しているだろうが、仲間が自ら死ににいくような姿はアラガミによって家族を失った彼女にとっては耐え難い光景なのだろう。
「それにしても、あれだけ言ってもよく飽きないよなー」
手すりに寄りかかり、その光景を遠巻きに眺めているコウタが呟く。
「ありゃ直るまで続くだろうな。直るかどうか分からないけどな」
その言葉に、隣にいるタツミが笑いながら続く。
「私は直るとは思えないけどね。隊長さんも、アリサも」
缶コーヒーを手にしたジーナが、コウタの横にもたれかかって続く。
「『アリサも』ってどういうこと?」
「隊長さんは見ての通りだけど、万が一あの癖が直ったとしてもアリサもお説教は続くでしょうね」
「いや、流石にアリサもそこまでしつこい奴じゃないんだけど……」
困ったような顔で言うコウタに視線を投げ、ジーナは微笑んだような顔で続ける。
「別に彼女がしつこいとかそんなのじゃないわ。ただ、『あれ』は彼女たちにとっての一種の儀式みたいなものだと思うの」
「儀式ねえ」
あながち間違いではないかもしれない、とタツミは苦笑して呟く。
「『今日は生きて帰ってきました』『次も生きて帰りましょう』って感じかしら」
「その通りなら言ってることはリンドウさんと同じだけど、あれじゃあなあ」
「まあ、あのリーダーもアリサだからこそあれだけ大人しく叱られてるんじゃないか? 部下にあれだけ言われても反論すらしないのは一種の信頼の形だろ」
そんなことを言ってタツミはカラカラと笑った。ジーナもコーヒーを飲む手を休め、笑う。
信頼。
実際のところ、コウタもあの隊長の戦闘スタイルに言いたいことは山ほどある。無茶せず回復しろとか、無理に斬りにいくなとか、言いたいことは概ねアリサと同じである。
多分、コウタが言っても結果は同じだろう。しかし、アリサがあれだけ言っても改善しない辺り、もはや直す気すらないのではないのではないかと思ってしまう。
タツミの言う通りなら、彼女は自分たちを信頼してくれているのだろう。背を、命を預けられる仲間だからこそ、馬鹿のように一直線に敵に向かっていけるのかもしれない。
しかし、仲間にとってはその姿は心配を生み出すものだ。信頼はしていても、仲間が一人で強大な敵に突っ込んでいく様は心臓に良くない。頼られるのは嬉しいが、その前に自身を大切にするべきだ、と彼女の姿を見たものは思うだろう。
多分、彼女のことだろうから、それでも「自分より仲間のほうが大事だ」とか言うのだろう。「自分などどうでもいい」と言うような調子でそう言うのだろう。
そんなことを考えて、コウタは眉に皺を寄せた。
「あらあら、どうしたの?」
「……俺も、説教してこようかな」
「あらあら。部下二人からお説教されるなんて、隊長さんも大変ね」
ジーナはくすくすと笑った。
「二人で言えばなんとかなるかもな」
「リンドウさんに怒られても直らなかった子よ?」
「じゃあ駄目かもな」
タツミとジーナがそう言葉を交わしているのを背中で聞きつつ、コウタは未だ続く二人の元へと向かった。
「そうだそうだー! 無茶すんなよ、リーダー!」
怒号と反省の声に、楽しそうな声が加わった。
畳む
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