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No.58
レンズ越し【ハレルヤ組+魂】
レンズ越し【ハレルヤ組+魂】
pixivで非公開にしていたものをサルベージ。キャプションとか諸々全部当時のままです。
お題:遅すぎた笑顔[15m]
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魂がカメラを抱えてやってきたのは、運営業務が比較的落ち着いた頃だった。
一体何だと問うと、学内掲示用に三人の写真が欲しいとのことだ。現在の様子では業務にも余裕もあり、学校側が必要とするものならばと了承し、三人は魂の前に並ぶ。レイシスを中心に、二人が彼女の顔の高さに合わせて少し屈んで立つこととなった。
「じゃあ先輩方、笑って笑ってー」
カメラを構えた魂がこちらに向かってて手を振る。ハイ、とレイシスは普段から見せる明るく可愛らしい笑顔でレンズの方を向いた。隣に立つ雷刀も楽しげに笑い、レイシスに寄るようにしてピースサインをしている。一方、反対側に立つ烈風刀の表情はどこか硬い。
「烈風刀先輩、もうちょっと笑えません?」
「そんな、いきなり笑えだなんて言われましても」
魂の要求に烈風刀は苦々しく顔をしかめた。意識して笑顔を作るのがどうも苦手らしい。彼自身頑張っているように見えるが、やはり硬さが残りどこか不格好だ。それを自覚して、更に表情が硬くなる。見事な悪循環だ。
「んー、じゃあ先輩はキリッとした感じでいきましょ」
魂の指定に烈風刀は小さく謝り、普段通りの真面目な表情でレンズに向かう。無表情ではないので大丈夫だろうと思うも、どこか不安は残る。不安をどうにか抑え込み、彼は透明なレンズをじっと見つめた。
幾度かシャッターを切る音が鳴る。フラッシュの強い光が収まると、魂はこちらにカメラを差し出した。確認してほしいとのことだ。
「おー、綺麗に撮れてんな」
「ちゃんと映ってマスネ。嬉しいデス」
背面の液晶画面を覗き込み、雷刀とレイシスは嬉しそうに声を上げた。画面には華やかな笑みを浮かべたレイシスが大きく写っている。その姿を見て、烈風刀は小さく笑みをこぼした。あぁ、やはり彼女は可愛らしい。きっと雷刀も同じことを思っているのだろう、先ほどから頬が緩みっぱなしだ。
「あー! 烈風刀先輩、それさっきやってくださいっす!」
突然魂が大きな声を上げた。『それ』とは今の笑みのことだろう。そんなことを言われても、と烈風刀は顔を歪めた。
「じゃ、もう一回いきましょう」
「えっ」
再びカメラを構える魂に、烈風刀は間の抜けた声を上げる。そんな彼に近寄り、魂は少し背伸びをしてこそこそと言葉を継げる。
「あとで好きなだけ写真現像しますしデータも渡しますから。さっきのレイシス先輩の笑顔を思い浮かべてください」
ね、と彼は二色の瞳をいたずらっぽく細める。先ほどの笑みの原因などお見通しらしい。烈風刀は喉に何か詰まらせたように顔をしかめた。緑青の瞳がゆらゆらと揺らめく。少しして、彼は諦めたかのように俯いた。
「…………おねがいします」
「はい。せんぱーい! あと何枚かおねがいしまーす!」
満面の笑みを浮かべ、魂は少し離れた位置にいる二人を呼ぶ。彼女らは快く了承した。
「なーなー、今度は皆でポーズ取ろうぜ」
雷刀はそう言って再びピースサインを示す。いいデスネ、とレイシスは顔を輝かせ、彼と同じように両手でそれを作った。ほら、と二人分の視線が烈風刀に向けられる。戸惑う彼だが、キラキラとした期待のまなざしに負け、同じくそれを作った。どこか歪だが、二人は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、撮りますよ」
さん、にー、いち。四人分のカウントダウンの声が響く。
レンズの向こう側、三色三対の瞳は緩やかな弧を描いていた。
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#レイシス
#嬬武器雷刀
#嬬武器烈風刀
#赤志魂
#ハレルヤ組
#レイシス
#嬬武器雷刀
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#赤志魂
#ハレルヤ組
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SDVX
2024/1/31(Wed) 00:00
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魂がカメラを抱えてやってきたのは、運営業務が比較的落ち着いた頃だった。
一体何だと問うと、学内掲示用に三人の写真が欲しいとのことだ。現在の様子では業務にも余裕もあり、学校側が必要とするものならばと了承し、三人は魂の前に並ぶ。レイシスを中心に、二人が彼女の顔の高さに合わせて少し屈んで立つこととなった。
「じゃあ先輩方、笑って笑ってー」
カメラを構えた魂がこちらに向かってて手を振る。ハイ、とレイシスは普段から見せる明るく可愛らしい笑顔でレンズの方を向いた。隣に立つ雷刀も楽しげに笑い、レイシスに寄るようにしてピースサインをしている。一方、反対側に立つ烈風刀の表情はどこか硬い。
「烈風刀先輩、もうちょっと笑えません?」
「そんな、いきなり笑えだなんて言われましても」
魂の要求に烈風刀は苦々しく顔をしかめた。意識して笑顔を作るのがどうも苦手らしい。彼自身頑張っているように見えるが、やはり硬さが残りどこか不格好だ。それを自覚して、更に表情が硬くなる。見事な悪循環だ。
「んー、じゃあ先輩はキリッとした感じでいきましょ」
魂の指定に烈風刀は小さく謝り、普段通りの真面目な表情でレンズに向かう。無表情ではないので大丈夫だろうと思うも、どこか不安は残る。不安をどうにか抑え込み、彼は透明なレンズをじっと見つめた。
幾度かシャッターを切る音が鳴る。フラッシュの強い光が収まると、魂はこちらにカメラを差し出した。確認してほしいとのことだ。
「おー、綺麗に撮れてんな」
「ちゃんと映ってマスネ。嬉しいデス」
背面の液晶画面を覗き込み、雷刀とレイシスは嬉しそうに声を上げた。画面には華やかな笑みを浮かべたレイシスが大きく写っている。その姿を見て、烈風刀は小さく笑みをこぼした。あぁ、やはり彼女は可愛らしい。きっと雷刀も同じことを思っているのだろう、先ほどから頬が緩みっぱなしだ。
「あー! 烈風刀先輩、それさっきやってくださいっす!」
突然魂が大きな声を上げた。『それ』とは今の笑みのことだろう。そんなことを言われても、と烈風刀は顔を歪めた。
「じゃ、もう一回いきましょう」
「えっ」
再びカメラを構える魂に、烈風刀は間の抜けた声を上げる。そんな彼に近寄り、魂は少し背伸びをしてこそこそと言葉を継げる。
「あとで好きなだけ写真現像しますしデータも渡しますから。さっきのレイシス先輩の笑顔を思い浮かべてください」
ね、と彼は二色の瞳をいたずらっぽく細める。先ほどの笑みの原因などお見通しらしい。烈風刀は喉に何か詰まらせたように顔をしかめた。緑青の瞳がゆらゆらと揺らめく。少しして、彼は諦めたかのように俯いた。
「…………おねがいします」
「はい。せんぱーい! あと何枚かおねがいしまーす!」
満面の笑みを浮かべ、魂は少し離れた位置にいる二人を呼ぶ。彼女らは快く了承した。
「なーなー、今度は皆でポーズ取ろうぜ」
雷刀はそう言って再びピースサインを示す。いいデスネ、とレイシスは顔を輝かせ、彼と同じように両手でそれを作った。ほら、と二人分の視線が烈風刀に向けられる。戸惑う彼だが、キラキラとした期待のまなざしに負け、同じくそれを作った。どこか歪だが、二人は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、撮りますよ」
さん、にー、いち。四人分のカウントダウンの声が響く。
レンズの向こう側、三色三対の瞳は緩やかな弧を描いていた。
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