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No.155

おなかはとってもしなやかだから【ライレフ/R-18】

おなかはとってもしなやかだから【ライレフ/R-18】
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オニイチャンにお腹ごちゅごちゅ突かれて「ぅえ、やだ、むり、おなかやぶれる」ってグズグズ泣いちゃうつまぶきれふとくんはかわいい

 肉と肉がぶつかる音が薄闇に響く。注挿が行われる度、粘ついた水音が結び合わさった場所からあがった。淫らな音が鼓膜を震わせ、腰骨から脊椎を凄まじい刺激が駆け抜けていく。脳味噌に叩きつけられたそれは、快楽というラベルが貼られていた。
 下腹部同士がぶつかりあうと同時に、腹の奥底をノックされる。否、ノックなんて可愛らしい言葉では済まない。叩きつける、殴りつける、と表現した方が相応しい勢いと強さをしていた。それこそ、今まさにぶつかっている壁を破らんばかりに。
「ヒッ、ぁ……ぅあッ、あ、あっ」
 ごちゅん、と腹の突き当たりをめいっぱいに抉られ、烈風刀はひたすらに甘い声をこぼす。脳天が痺れるような快感が身体中を駆け巡っていく。思考全てを消し飛ばすようなそれに、動くことすらままならない。こんな多量の法悦を与えられて、もう人間としてまともに動けるわけがなかった。許容限界を超えんばかりの悦楽を逃がすようにとろけた目から涙を流し、声帯を震わせ艶めいた声をあげるのが唯一できることである。
 熱塊が肉洞を穿つ。張り出た部分が柔らかな襞をこそぎ取るように擦り、固く張り詰めた先端が行き止まりを叩く。鍛えられた腹を破かんばかりの勢いだ。このまま力いっぱい突かれていれば、本当に破れてしまうかもしれない。官能に染まりきり思考力がゼロになりつつある脳味噌があり得ない妄想を生み出す。途端、甘い快楽が走り続ける背筋を恐怖がなぞった。
「ぃっ、や……だぁ……、ぁっ、おなか、やぶれ、るっ、ゥう……」
 単音を奏でるだけの嬌声の中に、ようやく意味を持った言葉が混ざる。眦から絶え間なく涙をこぼしながら言う様は、子どもが怪談話に怯えるような可愛らしさがあった。同時に、雄の欲望を煽るような艶めきがある。この場ではどちらが意味を成すかなど、火を見るより明らかだ。
 快楽と恐怖が混ざり合った喘ぎを漏らす中、音が鳴るほど激しかった腰使いがぴたりと止まる。ようやく淫悦の嵐が止み、碧は荒い息をこぼす。酸素を補給する役割を果たす口と喉は快楽を謳い上げるばかりで、呼吸という人間として必要な行動をろくに行えずにいた。全力で身体を打ち付けられ揺さぶられていたのだから尚更である。法悦に沈められ酸素が足りない脳味噌は、性感が湧き上がらせる涙が膜張る瞳は、世界をぼんやりとしか認識できなかった。ただ一つ、目の前の朱だけをはっきりと認め、求めている。
 短く整えられた爪が食い込むほど鷲掴んでいた手が腰から離される。筋が目立ち始めたそれが、縋るようにシーツを握っていた己のものと重ねられた。そのまま優しく握られ、布地の上を、肌の上を滑るように導かれる。辿り着いたのは、己の腹の上だった。多量の汗と絶えずこぼす先走りでべたべたになったそこに、重なった二人分の手が添えられる。
 握る手に力が込められ、ぐ、と手を、腹を押される。ほんの軽いものとはいえ、襲う圧迫感が苦しみをもたらす。それ以上に、うちがわに迎え入れた雄の存在を強く知らしめてきた。この腹に愛しい人を受け入れているのだと再認識した瞬間、ぶわりと汗が、熱が湧き出る。愛する人を咥え込んだ後孔が吸い付くようにきゅうと窄まる。さんざっぱら荒らされた腹の奥がじんと甘い疼きを覚えた。
「ほら、烈風刀のお腹はこんなに丈夫なんだぜ? これぐらいじゃ破れねーよ」
 ぐ、ぐ、と強度を確かめるように何度も腹を押される。鍛えられた腹は、手如きが与える負荷など反発し確固たる硬度を誇ってくる。これしきのことでは破れはしない、と訴えてくるようだった。
 だいじょーぶ、と雷刀は笑みを含んだ声で唱える。安堵させるように、散々揺さぶられて乱れあらわになった額に口付けが落とされた。ちゅ、と性の匂いが立ちこめる空間に相応しくない、児戯めいた可愛らしい音色が降ってきた。
 分かっているのだ。この程度のことで腸は、筋肉は、脂肪は、皮膚は、突き破られたりしない。けれども、まともな判断能力などとうに失ってしまった思考は一度湧き出た不安を払うことができなかった。突き破られてしまうなんて幼稚な恐怖を覚えるほど、律動は激しく穿つ雄は鋭く硬いのだ。
「だから、いっぱいきもちよくなりな?」
 眼前の夕焼け色が三日月を形作る。八重歯が覗く大きな口、その端がニィと擬音が聞こえてきそうなほど吊り上がる。優しく柔らかな言葉と正反対の、凶暴な獣を思わせる姿だった。どれだけつがいを慮ろうとも、獰猛な本性が隠せていない。
 ようやく呼吸を安定させ始めた喉が引きつった音をたてる。こんな表情を目の前にして、捕食者に見定められて、食われることを宣言されて、『大丈夫』なんて優しい言葉は吹き飛んでしまった。新たな恐怖が湧き起こる。腹を突き破られ、骨まで残らず食い尽くされる恐怖が。
 同時に、侵入者を咥え込んだ内部がきゅうと締まる。離すまいとしかりと捕らえ、肉襞が蠢き奥へと誘う。全て食らってください、とねだるような動きだった。どれだけ恐怖を覚えようと、身体は与えられるであろう快楽を貪欲に求めた。
 押しつけられていた腰が退いていく。浅ましくも寂しさを覚えた瞬間、ばちゅん、と肉に肉が叩きつけられる音が部屋に響き渡った。音を認識するより先に、身体全てを支配するような衝撃が脳味噌を揺らす。目の前に光の粒が舞う。
「ぅっ、あ、アッ! あァッ!」
 凄まじい衝撃に、烈風刀は鋭い叫声をあげる。悲鳴と同義の響きだ。けれども、そこにはとろけきった甘さがふんだんに含まれていた。身体を、内臓を直接揺さぶられたことが原因ではないのがはっきりと分かる音色をしていた。
 ゴリゴリと音が聞こえてきそうなほど、柔らかな肉筒を硬い雄根が擦り上げていく。傘になった部分が解れきった内壁全てを刺激し、充血し確かなる硬度を誇る先端が奥底、行き止まりの壁を穿つ。勢い良く注挿し奥の奥を抉る様は、腹を破かんとせん動きにしか思えなかった。それでも、兄の行動全ては受容しきれないほどの快楽を生み出す。聡明な頭を強烈なピンク色に染め上げていく。きもちいいことしか認識できないように書き換えていく。
 腹に置いた手に、明らかに揺さぶられる以外の感覚が伝わってくる。うちがわを荒らし回る存在を、そとがわから認識させられる。突き込まれる度、支配者の形に腹が膨れ形を変えているような感覚に陥った。腹を破られることも、腹が膨らむことも、腹が形を変えることもあるはずがない。理性は冷静に説いただろう。もっとも、今その理性は法悦の波にさらわれ姿を消してしまっているのだけれど。
「ア、やだぁっ! らいと!」
「だいじょーぶッ」
 制止を訴えようと、勝手に震える声帯をどうにか制御して恋人の名を呼ぶ。それも、信憑性など欠片も無い言葉で切り捨てられた。そもそも、紅潮しとろけきった泣き顔で、淫欲に溺れきった甘ったるい声で、従順に腹に手を添えたままの姿で、獣の動きを制止できるはずなどない。余計に欲望を煽り、情火に燃料を注ぐだけだ。
 ごちゅん、ごりゅん。潤んだ粘膜を肉槍が穿っていく。繊細な肉を、大切な場所を、雄が蹂躙していく。恐怖を生み出す律動だ。それ以上に、肉の悦びを叩き込み、人間らしい部分を一切合切奪い去る腰使いだ。きもちいいことばかりをぶちこんで、動物としての本能を剥き出しにしていく。人間らしさなどこそぎ落とし、獣としての欲求だけにしようとしていく。
 あ、あ、と碧はひたすらに声をあげる。それしかできなかった。受容限界を超える官能を止むことなく浴びせられて、能動的に動くことなどできるはずがない。突かれた奥底から湧き上がるきもちよさが勝手に声帯を震わせ、呼吸のために開かれた口が勝手に嬌声を奏でるだけだ。
 動かすことができずに添えたままの手は、腹の中身を抉られる感覚を絶えず訴えてくる。愛するつがいがどこまで侵入しているのか、支配されるべき肉食獣にどこまで食らわれているのか、つぶさに報告してくる。おかげで、咥え込んだ雄を余計に意識してしまう。どれほど深くまで繋がっているかを教え込まされる。どれほど快楽を求め穿ってくるのかを教え込まされる。ただでさえきもちがいいというのに、もっともっときもちがよくなってしまう。愛し人を迎え入れた肚は、歓待するようにきゅんきゅんと収縮を繰り返した。
 ごちゅん、ぶちゅん。狭穴に肉茎が突き立てられる。太い異物をめいっぱいに咥え込んでいる場所は、痛ましいほどに真っ赤に膨れていた。だというのに、二人分の淫液に濡れて艶めく様を見て湧き出るのは淫らの一言だけだ。献身的なまでに恋人を根元まで受け入れ、猥雑なる音を奏でる結合部は、筆舌つくしがたいほど卑猥であった。
 隘路の突き当たりを一心不乱に穿たれる。やはり、腹を破らんとしているとしか思えなかった。少なくとも、奥の奥、突破されてはいけない壁をぶち破らんとしているのは確かだ。だって、そこは一番きもちよくなれる場所なのだから。
 恐怖と期待が胸に渦巻く。内部から身体を破壊される恐ろしさ。脳味噌が使い物にならなくなるほどのきもちよさ。凄まじい情動がぐちゃりと混ざるも、全て孔悦によって吹き飛ばされる。できることなど、己を食らいつくさんとするけものに身を預けることだけだ。
 槌を打ち付けるように、秘められた襞を剛直が穿つ。ごつん、ぐぷん。受け入れる側の負担など一切考えていない動きで欲望で熱された刃を突き立てる。理性が残っていれば、互いに多少はセーブできただろう。理性など一欠片も残っていないから、こんな生殖本能に支配された動物のようにまぐわっているのだ。
 ごぷん、と腹の一番奥から音が聞こえた気がした。
「――――ぁ」
 バチバチと電流が背筋を駆け上がる。脳まで上り詰めたそれは、全貌が見えないほどの快楽を全力でぶちこんだ。
 ビクン、と組み敷かれた白い身体が跳ねる。同時に、屹立を咥え込んだ場所がきゅうぅと強く締まった。侵入者を逃がすまいとする動きだ。支配者に更なる蹂躙をねだる動きだ。悦びの頂に達したのだと主張する動きだ。
 唾液で塗れた唇がぱくぱくと動く。明朗に言葉を紡ぎ上げるそこから声が発せられることはなかった。人間の基礎たる発生方法すら消し飛ばすほどの衝撃だった。これでもかと見開かれた目からぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。受容限界を超えた悦びを逃がす姿だった。身体全てを支配する悦びを謳い上げる姿だった。
 朱い目が細められる。荒い息をこぼす口が引き結ばれる。ギリ、と歯が擦れる音が聞こえた気がした。それも一瞬だけで、すぐに解けて歪な弧を描く。は、と降ってきた吐息は焔のような凄まじい熱を帯びていた。
 一度突き破られた襞は、返しとなって雄を抱きとめる。敏感な先端を、張り出た傘を、硬い幹を擦っていく。いっとうきもちいいのだろう、求めるように奥ばかりを突かれる。ごぷごぷと破った壁の向こう側をめいっぱいに刺激される。
 雄の象徴が奥底を荒らしに荒らし回る最中、被食者は身体を跳ねさせるだけだった。不規則にびくびくと跳ねる様は、不安すら覚えるものだ。それも捕食者に全て押さえつけられるのだけれど。
 きもちいい。きもちがよくてたまらない。
 突き込む側が最上にきもちよくなれる場所なのだ、受け入れる側だって一番きもちよくなれる場所だ。あれほど恐怖を覚えていたというのに、肚の奥を突き破られた瞬間そんなものは消し飛んでしまった。残るのは『きもちいい』の五文字だけだ。快楽だけを受容するよう都合良く書き換えられた脳髄が、めいっぱいに満たされる。幸福で仕方が無い。
 ひゅ、かひゅ。無駄な開閉を繰り返す口から細い音が鳴る。喉が呼吸をしようと必死に運動しているのだ。襲い来る淫悦に吹き飛ばされて死んでしまわないように、本能は懸命に生に縋った。
「――ッ、ぁ、ア! ぁあ……!」
 ようやく喉が動き出す。いの一番に行ったのは呼吸ではなく発声だった。嬌声をあげる口元は綻んでいた。否、綻ぶなんて美しい表現は相応しくない。だらしなく緩んで、とろけきって、へにゃりとしていた。八の字に下がった眉。細められた目。緩んだ口。常ならば整った顔のパーツは、情けない笑みを作っていた。幸せで仕方が無いと主張していた。
 獣欲を煽る艶声に誘われ、雄は更に奥へと侵入を果たそうとする。縁に引っかかるほど退き、助走をつけて奥の奥を穿つ。抉る。突き破る。繰り返される注挿は重いなんて言葉では済まなかった。証拠に、ぶつかる度にあがる音は酷く大きく強烈な響きをしていた。
 ぐちゅん、ぼちゅん。襞が突き破られては戻りを繰り返し、欲望の証を扱く。張り出た傘が守られていた大切な場所をごりゅごりゅと擦っていく。互いに凄まじい快楽を覚えるものだった。穿って、穿って、穿って。破られて、破られて、破られて。その度にきもちがいいと神経が悦びの声をあげ、身体中を支配した。
 ばちゅん。一際大きな音が鳴る。ぁ、と小さな声が降ってくる。瞬間、暴かれてはならない部分が熱を覚えた。
 ァ、とこちらも声をあげる。ぱちん、と何かが弾けるような感覚。すぐさま、言語化などできない快感が脳味噌を支配した。一際大きく身体が跳ねる。また頂点に至ったのだ。本日二度目のドライオーガズムは、神経を焼き切り全てを焼き尽くしていく。情欲の焔で身体中を焼き尽くして、きもちいいことだけで満たしていく。
 未だ律儀に添えられた手は、内部の様子全てを訴えかけてきた。びゅーびゅーと種が注がれる音。どくどくと精を吐き出す雄が脈打つ音。触覚では決して認識できないものが皮膚から伝わってくるようだった。
 ぁ、あ、と烈風刀は意味など無い音を漏らす。熱を多分に孕んだものだった。とろけきったものだった。幸せでたまらないといったものだった。緩みきった口は、精を注がれ種を植え付けられる悦びを細い声で表していた。
 濁液を注がれ汚される肚がきゅうきゅうと締め付ける。柔らかな襞が根元まで埋め込まれた雄を撫で上げる。搾り取る動きだ。最後のひとしずくまで全部ちょうだい、と貪欲にねだっていた。
 ようやく欲望の濁流が勢いを失っていく。人間の射精などほんのわずかな時間で終わるはずなのに、永遠とすら思える時間だった。永遠に精を吐き出し、子種を注ぎ込み、つがいだと刻み込む。永遠にうちがわを焼かれ、子種を注がれ、つがいだと刻み込まれる。互いに望んでいるのに、人体は正常に動作を終えた。
 荒い息が二つ重なる。時折濁った音が混じるほどの激しさだ。当たり前だ、全身全霊を持って受け入れて受け入れられていたのだから。
 はー、と長い溜め息。降ってくる吐息は多少落ち着いていた。それでもまだ浅くて不安定だ。まだ本調子では内呼吸を繰り返しながら、朱は手を動かす。緩慢に動くそれが、腹に載ったままの手に重ねられる。汗ばんだ皮膚と皮膚が合わさり合うのは少しばかり快くない。けれども、伝わってくる熱はそれ以上に心地良くてたまらなかった。触れた部分から幸せが湧き出るような感覚だ。
「だいじょぶだったろ?」
 そう言って兄は笑みを浮かべる。いつもの朗らかさが無い、少し下手くそなものだった。疲れ切った調子で笑顔を浮かべろという方が難しいのだから仕方が無い。
「だいじょぶ、じゃ……ない、ですよ……」
 ようやく呼吸が安定してきた喉で、弟はどうにか言葉を紡ぎ出す。途切れ途切れのそれはまだとろけたものだ。熱を孕んで、幸福に浸って、悦びを謳う音をしていた。
「お、なか、あつくて……いっぱい、で……」
 未だ受け入れたままの雄は、多少硬度を失っても狭穴を塞ぎ込むほど質量と直径をしていた。栓として機能するそれは、肚の全てを焼く熱を奥の奥に留めていた。肚が熱くてたまらない。肚が満たされてたまらない。心が満たされてたまらない。それ以上に、酷い渇求を覚えた。もっと欲しい、なんて浅ましい願いを。
 紅玉がぱちりと瞬く。数拍、大きな口が三日月型に歪んだ。つがいを愛おしむ笑みだ。餌を見つけた捕食者の笑みだ。
 凶悪と表現するのが相応しい笑顔を前に、碧い目から涙がこぼれ落ちる。恐怖を覚え湧き出たからではない。ふわりと細まったからだ。碧もまた三日月を作った。ゆるみきった、とろけきった、だらしない笑顔を作った。これ以上無くつがいを誘う笑みを作り上げた。
 肚の中で雄が脈打ち始める。質量が増し、大きくなっていくのが腹に置いた手を介して分かった気がした。

畳む

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