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No.18
一方通行【ライレフ←レイ】
一方通行【ライレフ←レイ】
pixivで非公開にしていたものをサルベージ。キャプションとか諸々全部当時のままです。
お題:彼女が愛した馬鹿[1h]
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「レイシス、これ終わったぞー」
「はい、ありがとうございマス」
「レイシス、チェックが終わりました。こちらをどうぞ」
「はわっ、ありがとうございマス」
コンソールネメシスでは先日行われたアップデートに伴う作業が行われていた。とはいっても事前に準備したものが上手く動いているか、マッチングシステムに異常はないか、プレーヤーデータに間違いはないか、といった細々としたものだ。その程度ならレイシス一人でもできるのだが、度々雷刀と烈風刀が手伝いにきてくれることがある。今日も、二人は予定がないからとコンソールネメシスを訪れてきた。人手は多いに越したことはない、とレイシスはその申し出を笑顔で受け入れたのだった。
そうして普段通り三人で作業をしているのだが、それに付随する問題が一つある。
「雷刀、ここが間違っています。レイシスに手間をかけさせないでください」
「烈風刀だって作業早すぎるんだよ。もっとレイシスのペースに合わせろって」
「貴方のように遅すぎる上に間違いが多いよりもマシでしょう」
「オレよりマシだろうがなんだろうが烈風刀のペースじゃレイシスに負担がかかるのは変わりないだろ」
また始まった。レイシスはどこか諦めたように小さく溜め息を吐いた。
二人は自身を巡ってぶつかることが度々ある。やれ手間をかけさせるなとか、負担になるようなことはするなとか、そんな過保護すぎるものばかりだ。気にかけてくれるのは、好いてくれるのは非常に嬉しいのだが――勿論、レイシス自身も二人を好いている――それで喧嘩をするのは止めてほしかった。なにより、こんな二人がそんなことでぶつかるのがレイシスにはいまいち理解できないのだ。
二人が以前――兄弟とは違う関係であることに、レイシスは薄らと気付いていた。ある時を境から二人の会話や空気、特に烈風刀のそれがゆっくりと変わっていったのだ。どこか丸みを帯びたような、焦りがなくなったような、穏やかな空気が二人の間を流れるようになった。その雰囲気は他人が干渉できるようなものではないように見えて。だからこそ、レイシスは「違う」と考えているのだ。彼らの『一番』は互いであって、彼らが度々ぶつかる原因となる自分ではないのだと。
以前、二人に「雷刀が一番好きなのは烈風刀じゃないんデスカ?」「烈風刀が一番好きなのは雷刀じゃないんデスカ?」と尋ねたことがある。二人は顔を真っ赤にして「違う!」と叫んだ。そして、二人揃ってその後言葉を濁していた。それのどこが否定なのだ、とレイシスは呆れたものだ。
何故、二人とも素直にならないのだろう。素直に好きと言えばいいのに。自分にはストレートに投げかけてくるその言葉を、何故互いにはいわないのだろう。レイシスには兄弟がいない。だから、双子の兄弟である彼らの事情はあまり分からない。けれども、こんなに意地を張って素直にならないのはなんだか馬鹿らしいように見えた。
「二人とも、馬鹿デス。あほデス」
ポツリ、とそんな言葉が零れた。
「うえっ!?」
「なっ!?」
小さいはずのその声に、口論していた二人はぴたりと動きを止める。二人の声で満たされていたコンソールネメシスの中は静まり返り、聞こえるのはマシンが動く音だけだ。
「ば、馬鹿は雷刀だけでしょう?」
「いや烈風刀も十分バカだろ?」
「貴方と一緒にされるほどではありません」
「レイシスが一緒にしてるんだから同レベルだっての」
「いくらレイシスの言葉でも雷刀と同レベルにされるのは心外です」
動揺した烈風刀の声に重ねて雷刀の声。そしてそれを否定する互いの言葉。そうして口論は再開される。やっぱり馬鹿だ、素直じゃない、とレイシスは苦笑した。
あぁ、こんな彼らが愛おしい。こんなに仲のいい彼らが羨ましい。レイシスはそう思うのだ。二人は自身を好いてくれているし、レイシス自身も彼らを好いている。けれども、二人の関係はレイシスでは作りえないもので。それが羨ましいのだ。
「馬鹿だけど、好きデスヨ?」
「それって、どういう……」
「だからバカじゃないって!」
ふふ、と笑うレイシス。その姿に小難しい顔で頭を抱える烈風刀と、ムキになった子供のように膨れる雷刀。
コンソールネメシスの中は、いつも通り賑やかだ。
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#ライレフ
#レイシス
#腐向け
#ライレフ
#レイシス
#腐向け
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SDVX
2024/1/31(Wed) 00:00
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一方通行【ライレフ←レイ】
一方通行【ライレフ←レイ】pixivで非公開にしていたものをサルベージ。キャプションとか諸々全部当時のままです。
お題:彼女が愛した馬鹿[1h]
「レイシス、これ終わったぞー」
「はい、ありがとうございマス」
「レイシス、チェックが終わりました。こちらをどうぞ」
「はわっ、ありがとうございマス」
コンソールネメシスでは先日行われたアップデートに伴う作業が行われていた。とはいっても事前に準備したものが上手く動いているか、マッチングシステムに異常はないか、プレーヤーデータに間違いはないか、といった細々としたものだ。その程度ならレイシス一人でもできるのだが、度々雷刀と烈風刀が手伝いにきてくれることがある。今日も、二人は予定がないからとコンソールネメシスを訪れてきた。人手は多いに越したことはない、とレイシスはその申し出を笑顔で受け入れたのだった。
そうして普段通り三人で作業をしているのだが、それに付随する問題が一つある。
「雷刀、ここが間違っています。レイシスに手間をかけさせないでください」
「烈風刀だって作業早すぎるんだよ。もっとレイシスのペースに合わせろって」
「貴方のように遅すぎる上に間違いが多いよりもマシでしょう」
「オレよりマシだろうがなんだろうが烈風刀のペースじゃレイシスに負担がかかるのは変わりないだろ」
また始まった。レイシスはどこか諦めたように小さく溜め息を吐いた。
二人は自身を巡ってぶつかることが度々ある。やれ手間をかけさせるなとか、負担になるようなことはするなとか、そんな過保護すぎるものばかりだ。気にかけてくれるのは、好いてくれるのは非常に嬉しいのだが――勿論、レイシス自身も二人を好いている――それで喧嘩をするのは止めてほしかった。なにより、こんな二人がそんなことでぶつかるのがレイシスにはいまいち理解できないのだ。
二人が以前――兄弟とは違う関係であることに、レイシスは薄らと気付いていた。ある時を境から二人の会話や空気、特に烈風刀のそれがゆっくりと変わっていったのだ。どこか丸みを帯びたような、焦りがなくなったような、穏やかな空気が二人の間を流れるようになった。その雰囲気は他人が干渉できるようなものではないように見えて。だからこそ、レイシスは「違う」と考えているのだ。彼らの『一番』は互いであって、彼らが度々ぶつかる原因となる自分ではないのだと。
以前、二人に「雷刀が一番好きなのは烈風刀じゃないんデスカ?」「烈風刀が一番好きなのは雷刀じゃないんデスカ?」と尋ねたことがある。二人は顔を真っ赤にして「違う!」と叫んだ。そして、二人揃ってその後言葉を濁していた。それのどこが否定なのだ、とレイシスは呆れたものだ。
何故、二人とも素直にならないのだろう。素直に好きと言えばいいのに。自分にはストレートに投げかけてくるその言葉を、何故互いにはいわないのだろう。レイシスには兄弟がいない。だから、双子の兄弟である彼らの事情はあまり分からない。けれども、こんなに意地を張って素直にならないのはなんだか馬鹿らしいように見えた。
「二人とも、馬鹿デス。あほデス」
ポツリ、とそんな言葉が零れた。
「うえっ!?」
「なっ!?」
小さいはずのその声に、口論していた二人はぴたりと動きを止める。二人の声で満たされていたコンソールネメシスの中は静まり返り、聞こえるのはマシンが動く音だけだ。
「ば、馬鹿は雷刀だけでしょう?」
「いや烈風刀も十分バカだろ?」
「貴方と一緒にされるほどではありません」
「レイシスが一緒にしてるんだから同レベルだっての」
「いくらレイシスの言葉でも雷刀と同レベルにされるのは心外です」
動揺した烈風刀の声に重ねて雷刀の声。そしてそれを否定する互いの言葉。そうして口論は再開される。やっぱり馬鹿だ、素直じゃない、とレイシスは苦笑した。
あぁ、こんな彼らが愛おしい。こんなに仲のいい彼らが羨ましい。レイシスはそう思うのだ。二人は自身を好いてくれているし、レイシス自身も彼らを好いている。けれども、二人の関係はレイシスでは作りえないもので。それが羨ましいのだ。
「馬鹿だけど、好きデスヨ?」
「それって、どういう……」
「だからバカじゃないって!」
ふふ、と笑うレイシス。その姿に小難しい顔で頭を抱える烈風刀と、ムキになった子供のように膨れる雷刀。
コンソールネメシスの中は、いつも通り賑やかだ。
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