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No.86
被/加【ライレフ/R-18】
被/加【ライレフ/R-18】
診断メーカー
で出たやつが性癖ど真ん中ストレートで書き殴ったもの。キャラ崩壊も甚だしい。
これ
と同じ世界線のようなそうでもないような話。
弟君を縛り上げ、誰に犯されているのか自覚させながらじっくり弄びます。浅い所をくぽくぽと刺激し、また奥をごつごつ突いては何度も達させ、いやらしいね、と言葉で嬲りながら中出しを繰り返すと泣き出してしまいました。
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ギチ、と白い海の上から軋むような音が響く。両の腕を雁字搦めに彩る青いネクタイは、腕の主が身じろぎする度に鈍い悲鳴をあげていた。
しなやかなそれの持ち主である少年の表情は、寝起きのようにぼんやりとしたものだ。常ならば夜明けの空のように澄み切った碧の瞳は、奥底から湧き上がる水に溺れふるふるとしている。ハキハキと言葉を紡ぐ口は呆けたように軽く開いており、その奥から艷やかな赤い舌が覗いていた。唇は飲み込みきれなかった唾液で濡れ、口の端からも同じものがゆっくりと肌を伝い痕を残していく。上気し朱で彩られた肌と浅い呼気には、確かな情欲の高ぶりが見て取れた。
腕を縛り上げられた非日常の中、雄を欲するような顔付きで想い人を見つめる様は艶めかしいの一言に尽きた。きっと扇情的とはこのような姿をいうのだろう。普段の嬬武器烈風刀からは想像もつかないその様は、雄の欲望を煽り掻き立てるものだった。少なくとも、人よりも感受性が豊かな恋人を欲望がままに突き動かすには十二分なものだ。
隙間無く合わさるよう押し付けていた腰をゆっくりと引く。埋め込んだ剛直が去ろうとすると、柔く熱い内壁が追いすがるように締め付けた。脳髄に直接響くような快楽に、雷刀は思わず顔をしかめる。先程吐精したばかりだというのに、油断すれば再び達してしまいそうだ。
「――ぁ、あっ……う、ァ……」
熱杭が内壁を擦る感覚に、小さく開いた口から断続的な声があがる。吐息にも似たそれは、性的快感に震えていた。内から込み上げる甘い感覚から逃げるように、烈風刀は背を丸め縮こまる。強すぎる快楽への恐怖に、涙を湛えた翡翠が白い瞼の下に姿を隠す。固く閉じられたそこの端から、澄んだものが零れ落ちた。
「烈風刀」
努めて落ち着いた声で愛しい人の名を呼ぶ。肉付きの薄い腰から片手を離し、雷刀は桜色に染まる頬へと手を伸ばす。熱を孕んだ肌を、同じほどの温度を持った手の平で撫ぜた。そのまま、怯え震える浅葱の睫毛を親指でそっとなぞる。とめどなく溢れる雫を受けたそこは、朝露で濡れた草原のようだ。
朱の優しい手つきに、ぎゅうと強く閉じられていた目がゆっくりと開かれる。揺れる水面に沈んだ蒼玉の中に、己を示す紅玉が映る。不気味なほど爛々と輝く深紅の中に、情欲の炎が激しく燃え上がっているのが見えた。途端、ひ、と引きつった小さな声が薄暗い部屋に落ちる。呼吸に失敗したような音は、目の前の色への恐怖を如実に表していた。その中にわずかな悦びが滲んでいるのを、鮮烈な朱に隠れた形の良い耳は聞き逃さない。無意識に、赤い唇が歪な三日月を模った。
れふと、と兄は今一度弟の名を呼ぶ。優しさを装った音に有無を言わさぬ言葉――目を逸らすな、しっかりとこちらを見ろ、という命令が込められているのは、欲に溺れきった碧にも十二分に理解できた。
反射的に閉じかけていた目が恐々といったように開いていく。ゆっくりと現れた潤む水宝玉は、怯えを色濃く浮かべながらも目の前の柘榴石をまっすぐ見つめた。凍えたように震える唇から、喘鳴とすら思える細い息が漏れる。微かなそれは、表情に反して甘くとろけたものだ。内に燻る欲望を堪えるかのように、上気しきった艶めかしい身体が小さく捩る。ギチリ、と腕を戒める丈夫な布が小さな悲鳴をあげた。
いつだったか『おしおき』などと称し、ふざけて腕を縛り上げ肌を重ねた時から、弟は自由を奪われることを好むようになってしまった。シャツにしがみつき皺をつける。手や唇を噛み声を抑える。引き剥がそうと相手の胸を叩く。背中に傷ができるほど爪をたてる。普段ならば言及すらしないそれを、彼は重罪だというように申告し、『おしおき』を望むようになったのだ。
初めは、遊びの延長線として腕を縛る程度のほんの簡単ものだった。解きやすく痕を残さないような軽いものだったが、それでは『おしおき』の意味を成さないという彼自身の強い希望で、今ではどう抗おうと絶対に解けない程強く縛り上げている。以前は嫌っていた深紅の所有印を刻む行為も、『おしおき』だと捉え受け入れるようになった。それどころか、牙を立て傷を残すことを自ら望み、獣めいた兄を煽るまでになった。
碧の中に芽生えたマゾヒズムは、そのままエスカレートしていくばかりだった。視界を奪う。身動きができぬよう両手足を拘束する。頭を固定され呼吸を犠牲に喉奥まで雄を飲み込む。燻る欲望を吐き出せぬよう戒める。後孔がめくれあがるほど激しく抽挿する。そんな苦しみを伴う行為を『おしおき』と称して自らねだるのだ。
常ならば厳格に規律を守る彼が、自ら咎められるようなことを行い、積極的に重い罰を求める。その様はあまりにも退廃的で倒錯的なものだった。そんな淫らな姿に、欲望に忠実な兄が抗うことなどできるはずがない。望むがままに、抵抗などできぬよう拘束し、痕が残るほど強く噛みつき、呼吸を奪い、容赦なく突き上げる。きっと酷い痛みと苦しみを感じているだろうに、愛しい碧はいつも法悦を高らかに歌い上げるのだ。その被虐趣味に溺れきった姿が、朱の内に眠っていた何かを目覚めさせるのはすぐだった。
ほんの少しの瑕疵を論い、求めるであろう罰を先んじて与える。『おしおき』を告げられ喜色を浮かべ頬を染める弟を見る度、朱の背筋を得も言われぬ感覚が走るのだ。
相手は戒められ充足を得る、己は戒め充足を得る。互いの欲求を十全に満たすのだから、この行為は何らおかしくない。むしろ、望みが叶うのだから良い行いだ。そんな詭弁を弄し続けた結果、今――決して動けぬよう腕を縛り上げ、身体を折るように足を大きく上げさせ、押し潰すように強く突き立てるという行為を当たり前のように行う日々に至る。
全ては去らぬように注意しつつ、雷刀は根本まで埋め込んでいた剛直をゆっくりと抜いていく。合わさった場所、愛しい熱を食むようにひくひくと収縮する秘蕾が眼下に晒される。あまりにも淫らな光景に、腹の奥が熱くなるのが分かった。
湧き上がる衝動をどうにか抑え、少年は同じようにゆっくりと肉洞を進んでいく。再び熱との邂逅を果たし歓びの音色を漏らす碧を見つめ、這入ってすぐの場所、腹側にある柔らかな一点をこつりと軽く突いた。
「ぃっ――ぁっ、あッ!」
瞬間、烈風刀は大きく目を見開き高い悲鳴をあげた。わずかな衝撃だというのに、まるで雷が直撃したかのように紅で彩られた体躯が弓なりに反る。襲う快楽の強さを表すように、肉の道がぎゅうと狭まり侵入者を強く抱きしめた。
照準が外れぬように、兄は断続的に跳ねる身体をがっちりと押さえつける。そのまま、狙い定めた場所を硬く張り詰めた先端で幾度もノックする。知り尽くした弱い箇所を刺激する度、困惑と法悦が混ざった嬌声があがった。
期待以上に乱れる様に、内に潜むサディズムが満たされていくのが自身でも分かる。同時に、それ以上の嗜虐心が膨れ上がっていくのもはっきりと理解できた。混ざり増大する感情と身を溶かすような悦楽に、朱の背筋がぞくりと震える。シーツに縫い付けたしなやかな足に、切り揃えられた爪が強く食い込んだ。
楔を抜き差しする度に、交わった部分からくぽくぽと間の抜けた音が奏でられる。つい先程内部を染め上げた白濁が薄く漏れ出、剣と鞘の境目で薄く泡立つ音だ。時折、ぐちゅ、と熟した果実を潰すようなものも混じる。潤んだ肉が熱塊を受け止め、悦びを高らかに叫んでいるのだ。
非現実的とまで思える淫猥な合奏に、赤い眉が強く寄せられ苦しげに歪む。一度欲を吐き出し落ち着いたとはいえ、未だ獣欲に忠実に従う雷刀にはあまりにも刺激が強すぎるものだ。
欲を煽る響きに、軽くつつく程度の緩い動きが、どんどんと速度と重量を増していく。熟知した好む場所を抉るように穿つ度、閉じることのできない口から甘ったるい音色が溢れ出る。まるで一種の楽器を演奏しているようだ――もっとも、こんなにも淫らで艶めかしい楽器などこの世に存在しないが。
「ぁ、あっ、あ…………、ぅ、ア」
意味を成さない淫声をあげながらも、とめどなく澄んだ水をこぼす藍玉は目の前で繰り広げられる卑猥な光景をしっかりと見ていた。以前の烈風刀ならば、確実に目を逸らし現実から逃げようとしただろう。けれど、今の彼は目を逸らすなという重大な命を受けているのだ。身も心も完全に屈服した兄の言葉に逆らうという選択肢など、最初から与えられていない。己が犯されているという事実を、この雄が己を犯しているという事実を、視覚を通して聡明な碧い頭に直接叩き込まれる。腹の内側で飢えに喘ぎ吠える被虐心が満たされる感覚に、潤んだ孔雀石が幸福そうに細められた。
マゾヒズムを甘受する弟の姿に、燃え盛る柘榴石にサディスティックな光が宿る。きちんと言いつけを守っている褒美と言わんばかりに、雷刀は浅い場所で遊んでいた熱杭を予告なく一気に突き立てた。
「――ィっ、アッ、ああああああッ!」
隘路を突き進み奥の奥をこつんと叩いた瞬間、烈風刀の口から今までと比べ物にならないほどの叫びがあがった。本当に物静かな彼があげたのかと疑うほど大きく、高く、甘美な歓呼だ。ほぼ同時に、柔らかいナカが勢いよく縮まりぎゅうと締まる。侵入者を食い千切らんばかりの拘束に、兄は力いっぱい歯を食いしばる。歯が砕けてしまいそうだが、それほど力を入れなければ精を残さず搾り取られてしまいそうな強烈な刺激だ。
「…………もしかして、イッた?」
荒い息を繰り返す中、雷刀は呆けた様子で疑問を漏らす。縋るように容赦なく締めつけるこの動きは、組み敷く碧が達したことを表すものだ。しかし、今日は彼自身に一切触れていないのだ。腹につくほど勃ち上がったそれは色の濃い先端から透明な蜜をとろりと漏らすだけで、欲望の証である白などどこにもない。肉体の反応がちぐはぐだ。
烈風刀本人も理解が追いつかないのか、目を大きく見開き天を見つめたまま動かない。半ば停止状態にある意識と反して、体躯は痙攣するように断続的に震えていた。雄を咥え込んだ場所が、はくはくとひっきりなしに喘ぐ。時折びくりと身体が跳ねる度、熟れてぷくりと膨らんだそこが受け入れた熱を逃さんとばかりに強く吸いついた。
「ぇ、あ…………な、で……っ、わか、な……っ、ぃっ……」
荒い息を吐く口が久方ぶりに発した意味のある語は、彼の中で渦巻く混乱を表したものだった。過呼吸に近い涙声は、明らかな官能を孕んでいる。やはり、気をやったのは確かなようだ。それも雄の部分を刺激することなく、普通ならば快楽を得ることを想定されていない内部を抉られただけで、だ。導き出した解に、喘鳴めいた呼吸を漏らす朱の口が歪な弧を描いた。
「ナカだけでイッたんだ」
ふぅん、と雷刀は嘆息に似た声を漏らす。感心したようなそれには、隠しきれない嗜虐がありありと浮かんでいた。否、隠す意味など無い。むしろ、明確に示してやる方が、被虐趣味に耽る愛しい人は悦ぶはずだ。現に、言葉を受けた彼はぶるりと一際大きく震える。唾液が伝う口端が、微かに持ち上がったのが見えた。
「えっ、あっ……ち、が……そ、な……、ち、が、ぁ」
「違うくないだろ?」
示された解を必死に否定しようとする細い声を、朱は明瞭な音で切り捨てる。よく通るそれは、知ったばかりの知識を披露する子供のように無邪気で、嬲り遊び食らい尽くす獲物を捕らえた獣のように残忍なものだ。
ぐい、と身を乗り出し、雷刀は事実を認めきれず首を横に振る弟の耳元に唇を寄せる。上から容赦なく押し潰され、雄の象徴が更に奥深くまで潜り込む感覚に、碧はかすかな甘い声を漏らした。
「こないだまでは全然だったのに。オレの知らないうちに、こんなにやらしくなってたんだ」
やらしい、と困惑と快感で揺さぶられ続ける脳に直接届くよう、耳元ではっきりと告げる。嘲りを隠そうともしない声に、桜色に上気しきった身体が大袈裟なほどぶるりと震える。身をよじってまで否定しようとするその姿には、声音や表情と正反対の恭悦に満ちていた。
「ちがっ……、ちが、い、ま、ァ…………、そっ……そんな、じゃ、ぁッ」
「違わない。烈風刀はナカだけでイッちゃう、すっげーやらしい子なんだな」
幾度も重ねられる否定の言葉とは裏腹に、欲望を咥え込んだ肉洞は悦びに打ち震えていた。柔く潤んだ内壁が、もっと奥に来て、と甘えねだるように侵入者に絡みつく。盛大なまでに達してなお貪欲に快楽を求める姿に、腹の奥に灯った欲望が音をたてて燃え上がったのが己でも分かった。
やらしい。はしたない。えっち。おんなのこみたい。時には潔癖とすら評される弟の耳に、兄は低い声で淫猥な言葉を淡々と注ぎ込む。その度に、ちがう、と消え入りそうな否定があがった。
いつまで経っても事実を受け入れようとしない、あまりにも往生際が悪い様に、雷刀は艶めく唇を小さく尖らせる。ぐわと大きく口を開き、罰するように形の良い耳に歯を立てた。鋭い八重歯が、柔らかながらも芯がある耳殻にじわじわと刺さる。痛みへの恐れと悦びが色濃く出た高音が、耳元で奏でられた。がぶがぶと幾度も重ねられる甘噛み――と言うにはあまりにも激しいものだが――に、被食者は身を固くする。苦しげにこぼす吐息は、未だ燃え盛る情欲の熱がこもったものだ。
すっかりと濡れてしまった耳から口を離し、兄はゆっくりと身体を起こす。澄み切った涙で紅に染まった顔を彩り、わずかに舌を覗かせ浅い呼吸を繰り返す弟を見下ろし、暗くギラついた紅玉髄が愉快そうに細められた。
「なぁ、烈風刀」
ぐちゃぐちゃと表現するのが適切なほど崩れた顔をじぃと見つめたまま、血のように赤い口が酷く穏やかな声で愛しい人の名を紡ぐ。返事を待つことなく腰を引き、根本まで突き入れていた肉槍をゆっくりと退けていく。張り出した部分にうちがわを嬲られる感覚に、濡れそぼった唇から意味をもたない音がいくつも溢れたのが見えた。
半ばまで下がったところで、雷刀は動きを止める。涙が膜張る水宝玉が、何故、と言いたげにこちらを見つめた。本能に支配されきった浅ましい姿を眺め、紅宝石がゆっくりと細まった。問いに答えるべく、朱は硬さが目立ち始めた手に力を込める。決して動けぬよう、捕らえたままの足をシーツに押し付けた。
「こっちとさ」
こつん、と少し前まで虐め抜いていた箇所を再び軽く突く。達したばかりの身体にはあまりにも強い衝撃だったようで、ひぁ、と短い悲鳴があがった。気にすることなく、うねる細い道を少しばかり戻る。
「こっち」
言葉とともに、今度は最奥目指して肉杭を一気に打ち込む。ごりゅごりゅと内部を勢いよく開拓する鈍い音に、高い嬌声が重なった。
「どっちが好き――どっちでイキたい?」
猛る獣欲を根本まで全て収め、潰さんばかりに体重を乗せて腰を押し付けたまま、雷刀は組み敷いた弟に問う。答えなければ動いてやらないぞ、と言外に示しているのは、獣めいた焔が燃え盛る紅緋を見れば誰にでも分かる。相手が性的な語を言うのに強い抵抗感を持っているということも、このままではいつまで経っても苦しいだけだということも全て理解した上での問いだ。
見つめる深碧がゆらゆらと不安げに揺れる。淫らな言葉を自分の意志で口にする羞恥と、与えられるであろう素晴らしい快楽への期待とを天秤に掛けているのだろう。理性と本能の間でぐるぐると思い悩む姿は、あまりにも哀れで愛おしくてたまらない。は、と無意識に吐き出した息は、焼けるように熱かった。
「――――く」
長い沈黙の後、溢れる唾液で艶めく唇がそっと動く。羞恥に塗れた空色が、見下ろす茜色をまっすぐ見つめる。鮮やかな色彩は、内から湧き上がる熱ですっかりととろけていた。
「おく……おく、が…………、おく、がっ、い……、です……!」
己からはしたなく求める羞恥と、痴態を晒し見下される快感に、白い身体が揺らめく。雄を誘うような動きに、腰がずくりと重くなる感覚がした。熱が渦巻く場所から、苛烈な感情が湧き上がる。この番をひたすらに犯し、愛し、虐め、慈しみたい。獣の本能が生み出すぐちゃぐちゃになったそれが、胸の内に膨れて弾けた。
「お、く……、もっと、いっぱ――ッ、あ、ぁあっ!」
欲望をさらけ出す声が、鈍い音と高い音で掻き消される。肉杭が勢いよく穿たれ再び内部を抉る音と、突然脳髄に叩きつけられた快楽信号を処理できずにあがった嬌声だ。ばちゅん、と体液で濡れた肌と肌がぶつかる。ぐちゅ、と硬い欲望が潤う粘膜を半ば無理矢理割り開く。淫猥な音が響く度、法悦を謳う声が奏でられた。
「ッ……、ちゃんと言えて、えらいなっ」
体重をかけ真上から腰を打ち付けつつ、雷刀はどうにか賛する言葉を投げかける。苦手ながらもきちんと言葉にしたのはとても素晴らしいことであり、褒めるべきことだ。しかし、兄とて余裕があるわけではない。眼前で恋人が痴態を晒し、舌足らずに己を求められて、余裕を持てという方が無茶な話だ。意味のある語を発せただけでも十分だろう。
抜け落ちそうなほど思い切り引き、すぐさまその身を潰さんばかりに一息に穿つ。奥がいい、という健気な願いを叶えるため――そして己が内で暴れる欲望に従い、一心不乱に隘路を突き進む。十分に耕され柔らかな内部は、容赦なく蹂躙する怒張を愛おしそうに締め付ける。溶かされてしまいそうなほど熱い粘膜が絡みつく感覚に、神経回路がバチバチと音をたてた。激越な動きの中吹き出た汗が頬を伝い滴り落ちる。清潔な白いシーツには、数え切れないほどの水玉模様ができていた。
肉が肉を叩く音、際限なくたつ水音、上ずった甘い声が薄暗闇に響く。腕を強く縛られ、足を掴み押さえつけられ、押し潰すように打ち付けられ、腹を破らんばかりに穿たれているというのに、碧は幸福に満ちた笑みを浮かべていた。事実、彼が求める全て――身動きできない無力な状態で犯され、願った通り奥の奥まで熱塊で暴かれ、脳が処理しきれないほどの快楽を与えられているのだ。どうしようもないほど被虐趣味に溺れた者が、加虐の限りをつくされ、幸せでないはずがない。澄みきり聡明な色を湛えていた翡翠は、官能にどろどろに融けて濡れていた。
淫欲を煽り立てる重奏が脳髄を揺らす。情欲を掻きたてる情景が背筋を震わせる。自身から直に伝わる熱が神経回路を焼き焦がす。理性を本能が染め上げていく感覚に、雷刀は低く短い呻きを漏らした。それすら、彼の獣欲を揺さぶる。
「ッ、ほんと、すっげぇやらしい」
本能に支配され乱れる弟の姿に、兄は無意識に声を漏らす。己の浅ましくはしたない様子を端的に表す言葉に、烈風刀は、ひぁ、と艶めいた音をあげた。嘲りに似た言葉は、ただただ彼の欲を満たすだけだった。そして、マゾヒスティックな悦びを露わにする様は、雷刀の加虐心を煽り立てる。互いに互いの本能を刺激し、交わりはどんどんと激しくなるばかりだ。
温かな肉鞘が、焼け付く刃を受け止め、主人の形を覚えようと抱きしめる。粘膜が粘膜に絡みつく度に、髄を電流が駆け上がり脳に快楽信号を叩きつける。絶え間なく叩き込まれるそれに、受容しきれぬ神経がバチバチと火花をたてる。不穏なそれが、瞼の裏に瞬き始めた。己の果てが近いことを理解し、雷刀は更に動きを早く、重くしていく。意地の悪い問いに対し、愛しい彼は奥でイキたい、と逃げずに答えたのだ。それを叶えてやるのは、質問者として、そして恋人として当然の義務だ。
肉を通り越して骨に響くほど重い一撃を何発も繰り出す。潜り込めるかぎりの奥を、熟れきった硬い切っ先でごつごつと力強くノックする。筋肉に覆われた薄い腹に、肉の楔の形が浮き上がるのではないかと不安になるほどの勢いだ。奥底を守る襞を破らんばかりに突かれる衝撃に、捕らえられた獣は叫びに近い嬌声をあげることしかできない。あまりにも無力で可哀相な姿に、舌を垂らし荒い息を吐く口の端がニィと歪に釣り上がる。加虐に染め上がった笑みは、普段の嬬武器雷刀からは考えられないほど凶悪なものだ。それを目の前で見せられた碧は潤んだ瞳を細め破顔する。貪り食われること悦ぶ笑みは、普段の嬬武器烈風刀からは想像できないほど婉然としたものだ。誰でもない、二人だけの世界でこぼす表情に、互いは喜悦の笑声をあげた。かすかなそれは、人と人とが奥底まで交わる音にかき消された。
腹の奥で燃え盛る欲望が、質量をもって腰を重くする。ごつん、と鈍い音をたてて最奥の秘めたる襞を無理矢理突き破った刹那、叫声になりそこねた音が部屋に響き渡った。声として成立しないそれは、貪り食われ続けた碧が高みに達したことを如実に表していた。
すっかりと色づき綻んだ蕾が、膨れた槍の根本をぎゅうと締め付ける。丁寧に耕されふわふわと柔らかな内壁が、頭から竿まで欲望の象徴を撫でる。こじ開けられた襞が、侵入者を舐め回しくびれた部分を締め付ける。一気に叩き込まれる強大な快感に、朱い頭の中が真っ白に染まった。
ぁ、と己がこぼした声が呼び水となったのだろう。腹の奥で渦巻いていた熱が爆発し、白濁となり勢いよく外へと飛び出した。びゅーびゅーと派手な音をたてて吐き出される欲望の迸りが、熱い内部を舐めていく。二回目だというのに、うちがわ全てを支配せんばかりの量だ。それでも足りないと言わんばかりに、獣の白に染め上げられる肉洞は、根こそぎ搾り取らんばかりにうねり抱きついた。達したばかりの過敏な身体にはあまりにも強烈な刺激に、朱い口から短い嬌声がこぼれた。
ねだった通り、身体の奥の奥まで暴かれ気をやった烈風刀は、呼吸をするのがやっとといった様子だ。乱れきった荒い息の中、時折鼻にかかった甘い声が混じる。彼がまだ愛欲の海に浸っているのは明白だ。それでも、焦点の合わない海色は言いつけ通り見下ろす夕焼け空へと向いていた。
津波のように押し寄せる快感の波が次第に止み、ようやく互いに呼吸が落ち着いてくる。欲を吐き出したからか、強い快楽で消し飛んでいた理性がほんの少し顔を覗かせる。かすかなそれは、すぐに未だ思考を支配する本能に砕かれた。ぎらぎらと不気味なまでに輝く紅玉は、全然足りないと渇きを強く訴えていた。
ぐち、と卑猥な音をたて、支配者が潤む道から去っていく。頂点まで登りつめたばかりの身体にはそれすら酷く響くのか、断続的に甘い声があがった。欲望の白が薄くまとわりつく剛直は、その半ばまで退いたところで動きを止める。ようやく光を取り戻し始めた藍玉が、何故、と言いたげに己の飼い主を見つめた。瞳には、まだ情欲の焔が灯ったままだ。
決して動かぬよう、掴んだ足を再びシーツに押し付ける。爪が食い込むほど掴まれ、無理な姿勢を取らされているというのに、碧は抵抗一つすらせず黙って見守っていた。そうした方がきもちのいいことをしてもらえると理解しているからだろう。物欲しそうに結び合わさった箇所を見つめる様子は、朱の胸を強くくすぐった。
ふぅ、と小さく息を吐き、欠片も狂わぬよう狙いを定める。ずず、とほんの少しだけ腰を引く。そのまま助走をつけて、覚えきった柔らかい箇所に硬さを保つ先端を思い切りぶつけた。
おんなのように高い声が薄暗闇を切り裂く。快楽を表すそれは、喜悦と困惑と悲痛に揺れていた。人生初めてのドライオーガズムを短時間で二度も経験したばかりの身体には、あまりにも強すぎる刺激だ。絶え間なく襲いかかるそれに、海色の瞳が大きく見開かれる。揺さぶられる度、湛えた涙がぼろぼろと流れ落ちた。
「ぁっ、えっ……、な、なん、で…………や、あっ!」
「だって、さっきちゃんと答えられただろ? いい子にはゴホービあげなきゃ」
嬌声混じりの疑問に、兄は動きを止めることなく答える。つい先程、性を匂わせる語を苦手とする弟は、淫らな問いにはっきりと回答した。苦手なものから目を逸らさず立ち向う姿勢はとても素晴らしいことであり、褒めるべきことだ。
だから、褒美を与えるのも、至極当然なことだ。
「烈風刀、こっちも大好きだろ? さっきいっぱやらしい声出してたもんな」
だから、こっちでもちゃーんとイカせてやるよ。
そう言って、雷刀はにこりと微笑みかける。優しさ満ち溢れる声と表情には、正反対のサディスティックな欲望がありありと浮かんでいた。『ゴホービ』などと謳っているが、ただ彼が獲物を嬲り尽くし己の欲を満たしたいだけだということは明白だ。
凶暴な獣に睨まれたかのように、組み敷いた身体がすくみあがる。軽く反った白い喉が呼吸のなりそこないのような引きつった音を漏らした。無理だ、というように、碧はぎこちない動きで首を振る。その情欲で紅潮した顔も、水底に沈む丸い硝子玉のような瞳も、怯え震える声も、この先もたらされる官能への恐怖より、期待と歓喜が強くにじんでいた。あまりにもちぐはぐなそれに、朱は愉快そうに唇を歪ませる。無意識に被虐を煽り嬌態を晒す様は酷く哀れで、酷く可愛らしい、淫靡なものだった。
期待に応えるべく、細かく腰を動かしこつこつと弱い部分を幾度も突く。処理しきれないほどの電気信号を叩きつけられ、碧は意味の無い声をあげるのが精一杯だ。際限なく湧き出る涙と唾液が、整った顔をぐちゃぐちゃに汚していく。その様すら、今は兄を煽り立てるものでしかなかった。
さて、何度で終わるだろうか。既に二度果てているが、これだけで終わるはずがないことは今までの経験からしてたしかだ。それも、互いにここまで獣の本能が燃え上がった状態ならば尚更だ。
まぁ、数える気など最初から欠片もないのだけれど。は、と欲で煮え滾った吐息を漏らし、若い雄は甘い声を上げる唇に噛みついた。
畳む
#ライレフ
#腐向け
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#ライレフ
#腐向け
#R18
favorite
THANKS!!
SDVX
2024/1/31(Wed) 00:00
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被/加【ライレフ/R-18】
被/加【ライレフ/R-18】診断メーカーで出たやつが性癖ど真ん中ストレートで書き殴ったもの。キャラ崩壊も甚だしい。
これと同じ世界線のようなそうでもないような話。
弟君を縛り上げ、誰に犯されているのか自覚させながらじっくり弄びます。浅い所をくぽくぽと刺激し、また奥をごつごつ突いては何度も達させ、いやらしいね、と言葉で嬲りながら中出しを繰り返すと泣き出してしまいました。
ギチ、と白い海の上から軋むような音が響く。両の腕を雁字搦めに彩る青いネクタイは、腕の主が身じろぎする度に鈍い悲鳴をあげていた。
しなやかなそれの持ち主である少年の表情は、寝起きのようにぼんやりとしたものだ。常ならば夜明けの空のように澄み切った碧の瞳は、奥底から湧き上がる水に溺れふるふるとしている。ハキハキと言葉を紡ぐ口は呆けたように軽く開いており、その奥から艷やかな赤い舌が覗いていた。唇は飲み込みきれなかった唾液で濡れ、口の端からも同じものがゆっくりと肌を伝い痕を残していく。上気し朱で彩られた肌と浅い呼気には、確かな情欲の高ぶりが見て取れた。
腕を縛り上げられた非日常の中、雄を欲するような顔付きで想い人を見つめる様は艶めかしいの一言に尽きた。きっと扇情的とはこのような姿をいうのだろう。普段の嬬武器烈風刀からは想像もつかないその様は、雄の欲望を煽り掻き立てるものだった。少なくとも、人よりも感受性が豊かな恋人を欲望がままに突き動かすには十二分なものだ。
隙間無く合わさるよう押し付けていた腰をゆっくりと引く。埋め込んだ剛直が去ろうとすると、柔く熱い内壁が追いすがるように締め付けた。脳髄に直接響くような快楽に、雷刀は思わず顔をしかめる。先程吐精したばかりだというのに、油断すれば再び達してしまいそうだ。
「――ぁ、あっ……う、ァ……」
熱杭が内壁を擦る感覚に、小さく開いた口から断続的な声があがる。吐息にも似たそれは、性的快感に震えていた。内から込み上げる甘い感覚から逃げるように、烈風刀は背を丸め縮こまる。強すぎる快楽への恐怖に、涙を湛えた翡翠が白い瞼の下に姿を隠す。固く閉じられたそこの端から、澄んだものが零れ落ちた。
「烈風刀」
努めて落ち着いた声で愛しい人の名を呼ぶ。肉付きの薄い腰から片手を離し、雷刀は桜色に染まる頬へと手を伸ばす。熱を孕んだ肌を、同じほどの温度を持った手の平で撫ぜた。そのまま、怯え震える浅葱の睫毛を親指でそっとなぞる。とめどなく溢れる雫を受けたそこは、朝露で濡れた草原のようだ。
朱の優しい手つきに、ぎゅうと強く閉じられていた目がゆっくりと開かれる。揺れる水面に沈んだ蒼玉の中に、己を示す紅玉が映る。不気味なほど爛々と輝く深紅の中に、情欲の炎が激しく燃え上がっているのが見えた。途端、ひ、と引きつった小さな声が薄暗い部屋に落ちる。呼吸に失敗したような音は、目の前の色への恐怖を如実に表していた。その中にわずかな悦びが滲んでいるのを、鮮烈な朱に隠れた形の良い耳は聞き逃さない。無意識に、赤い唇が歪な三日月を模った。
れふと、と兄は今一度弟の名を呼ぶ。優しさを装った音に有無を言わさぬ言葉――目を逸らすな、しっかりとこちらを見ろ、という命令が込められているのは、欲に溺れきった碧にも十二分に理解できた。
反射的に閉じかけていた目が恐々といったように開いていく。ゆっくりと現れた潤む水宝玉は、怯えを色濃く浮かべながらも目の前の柘榴石をまっすぐ見つめた。凍えたように震える唇から、喘鳴とすら思える細い息が漏れる。微かなそれは、表情に反して甘くとろけたものだ。内に燻る欲望を堪えるかのように、上気しきった艶めかしい身体が小さく捩る。ギチリ、と腕を戒める丈夫な布が小さな悲鳴をあげた。
いつだったか『おしおき』などと称し、ふざけて腕を縛り上げ肌を重ねた時から、弟は自由を奪われることを好むようになってしまった。シャツにしがみつき皺をつける。手や唇を噛み声を抑える。引き剥がそうと相手の胸を叩く。背中に傷ができるほど爪をたてる。普段ならば言及すらしないそれを、彼は重罪だというように申告し、『おしおき』を望むようになったのだ。
初めは、遊びの延長線として腕を縛る程度のほんの簡単ものだった。解きやすく痕を残さないような軽いものだったが、それでは『おしおき』の意味を成さないという彼自身の強い希望で、今ではどう抗おうと絶対に解けない程強く縛り上げている。以前は嫌っていた深紅の所有印を刻む行為も、『おしおき』だと捉え受け入れるようになった。それどころか、牙を立て傷を残すことを自ら望み、獣めいた兄を煽るまでになった。
碧の中に芽生えたマゾヒズムは、そのままエスカレートしていくばかりだった。視界を奪う。身動きができぬよう両手足を拘束する。頭を固定され呼吸を犠牲に喉奥まで雄を飲み込む。燻る欲望を吐き出せぬよう戒める。後孔がめくれあがるほど激しく抽挿する。そんな苦しみを伴う行為を『おしおき』と称して自らねだるのだ。
常ならば厳格に規律を守る彼が、自ら咎められるようなことを行い、積極的に重い罰を求める。その様はあまりにも退廃的で倒錯的なものだった。そんな淫らな姿に、欲望に忠実な兄が抗うことなどできるはずがない。望むがままに、抵抗などできぬよう拘束し、痕が残るほど強く噛みつき、呼吸を奪い、容赦なく突き上げる。きっと酷い痛みと苦しみを感じているだろうに、愛しい碧はいつも法悦を高らかに歌い上げるのだ。その被虐趣味に溺れきった姿が、朱の内に眠っていた何かを目覚めさせるのはすぐだった。
ほんの少しの瑕疵を論い、求めるであろう罰を先んじて与える。『おしおき』を告げられ喜色を浮かべ頬を染める弟を見る度、朱の背筋を得も言われぬ感覚が走るのだ。
相手は戒められ充足を得る、己は戒め充足を得る。互いの欲求を十全に満たすのだから、この行為は何らおかしくない。むしろ、望みが叶うのだから良い行いだ。そんな詭弁を弄し続けた結果、今――決して動けぬよう腕を縛り上げ、身体を折るように足を大きく上げさせ、押し潰すように強く突き立てるという行為を当たり前のように行う日々に至る。
全ては去らぬように注意しつつ、雷刀は根本まで埋め込んでいた剛直をゆっくりと抜いていく。合わさった場所、愛しい熱を食むようにひくひくと収縮する秘蕾が眼下に晒される。あまりにも淫らな光景に、腹の奥が熱くなるのが分かった。
湧き上がる衝動をどうにか抑え、少年は同じようにゆっくりと肉洞を進んでいく。再び熱との邂逅を果たし歓びの音色を漏らす碧を見つめ、這入ってすぐの場所、腹側にある柔らかな一点をこつりと軽く突いた。
「ぃっ――ぁっ、あッ!」
瞬間、烈風刀は大きく目を見開き高い悲鳴をあげた。わずかな衝撃だというのに、まるで雷が直撃したかのように紅で彩られた体躯が弓なりに反る。襲う快楽の強さを表すように、肉の道がぎゅうと狭まり侵入者を強く抱きしめた。
照準が外れぬように、兄は断続的に跳ねる身体をがっちりと押さえつける。そのまま、狙い定めた場所を硬く張り詰めた先端で幾度もノックする。知り尽くした弱い箇所を刺激する度、困惑と法悦が混ざった嬌声があがった。
期待以上に乱れる様に、内に潜むサディズムが満たされていくのが自身でも分かる。同時に、それ以上の嗜虐心が膨れ上がっていくのもはっきりと理解できた。混ざり増大する感情と身を溶かすような悦楽に、朱の背筋がぞくりと震える。シーツに縫い付けたしなやかな足に、切り揃えられた爪が強く食い込んだ。
楔を抜き差しする度に、交わった部分からくぽくぽと間の抜けた音が奏でられる。つい先程内部を染め上げた白濁が薄く漏れ出、剣と鞘の境目で薄く泡立つ音だ。時折、ぐちゅ、と熟した果実を潰すようなものも混じる。潤んだ肉が熱塊を受け止め、悦びを高らかに叫んでいるのだ。
非現実的とまで思える淫猥な合奏に、赤い眉が強く寄せられ苦しげに歪む。一度欲を吐き出し落ち着いたとはいえ、未だ獣欲に忠実に従う雷刀にはあまりにも刺激が強すぎるものだ。
欲を煽る響きに、軽くつつく程度の緩い動きが、どんどんと速度と重量を増していく。熟知した好む場所を抉るように穿つ度、閉じることのできない口から甘ったるい音色が溢れ出る。まるで一種の楽器を演奏しているようだ――もっとも、こんなにも淫らで艶めかしい楽器などこの世に存在しないが。
「ぁ、あっ、あ…………、ぅ、ア」
意味を成さない淫声をあげながらも、とめどなく澄んだ水をこぼす藍玉は目の前で繰り広げられる卑猥な光景をしっかりと見ていた。以前の烈風刀ならば、確実に目を逸らし現実から逃げようとしただろう。けれど、今の彼は目を逸らすなという重大な命を受けているのだ。身も心も完全に屈服した兄の言葉に逆らうという選択肢など、最初から与えられていない。己が犯されているという事実を、この雄が己を犯しているという事実を、視覚を通して聡明な碧い頭に直接叩き込まれる。腹の内側で飢えに喘ぎ吠える被虐心が満たされる感覚に、潤んだ孔雀石が幸福そうに細められた。
マゾヒズムを甘受する弟の姿に、燃え盛る柘榴石にサディスティックな光が宿る。きちんと言いつけを守っている褒美と言わんばかりに、雷刀は浅い場所で遊んでいた熱杭を予告なく一気に突き立てた。
「――ィっ、アッ、ああああああッ!」
隘路を突き進み奥の奥をこつんと叩いた瞬間、烈風刀の口から今までと比べ物にならないほどの叫びがあがった。本当に物静かな彼があげたのかと疑うほど大きく、高く、甘美な歓呼だ。ほぼ同時に、柔らかいナカが勢いよく縮まりぎゅうと締まる。侵入者を食い千切らんばかりの拘束に、兄は力いっぱい歯を食いしばる。歯が砕けてしまいそうだが、それほど力を入れなければ精を残さず搾り取られてしまいそうな強烈な刺激だ。
「…………もしかして、イッた?」
荒い息を繰り返す中、雷刀は呆けた様子で疑問を漏らす。縋るように容赦なく締めつけるこの動きは、組み敷く碧が達したことを表すものだ。しかし、今日は彼自身に一切触れていないのだ。腹につくほど勃ち上がったそれは色の濃い先端から透明な蜜をとろりと漏らすだけで、欲望の証である白などどこにもない。肉体の反応がちぐはぐだ。
烈風刀本人も理解が追いつかないのか、目を大きく見開き天を見つめたまま動かない。半ば停止状態にある意識と反して、体躯は痙攣するように断続的に震えていた。雄を咥え込んだ場所が、はくはくとひっきりなしに喘ぐ。時折びくりと身体が跳ねる度、熟れてぷくりと膨らんだそこが受け入れた熱を逃さんとばかりに強く吸いついた。
「ぇ、あ…………な、で……っ、わか、な……っ、ぃっ……」
荒い息を吐く口が久方ぶりに発した意味のある語は、彼の中で渦巻く混乱を表したものだった。過呼吸に近い涙声は、明らかな官能を孕んでいる。やはり、気をやったのは確かなようだ。それも雄の部分を刺激することなく、普通ならば快楽を得ることを想定されていない内部を抉られただけで、だ。導き出した解に、喘鳴めいた呼吸を漏らす朱の口が歪な弧を描いた。
「ナカだけでイッたんだ」
ふぅん、と雷刀は嘆息に似た声を漏らす。感心したようなそれには、隠しきれない嗜虐がありありと浮かんでいた。否、隠す意味など無い。むしろ、明確に示してやる方が、被虐趣味に耽る愛しい人は悦ぶはずだ。現に、言葉を受けた彼はぶるりと一際大きく震える。唾液が伝う口端が、微かに持ち上がったのが見えた。
「えっ、あっ……ち、が……そ、な……、ち、が、ぁ」
「違うくないだろ?」
示された解を必死に否定しようとする細い声を、朱は明瞭な音で切り捨てる。よく通るそれは、知ったばかりの知識を披露する子供のように無邪気で、嬲り遊び食らい尽くす獲物を捕らえた獣のように残忍なものだ。
ぐい、と身を乗り出し、雷刀は事実を認めきれず首を横に振る弟の耳元に唇を寄せる。上から容赦なく押し潰され、雄の象徴が更に奥深くまで潜り込む感覚に、碧はかすかな甘い声を漏らした。
「こないだまでは全然だったのに。オレの知らないうちに、こんなにやらしくなってたんだ」
やらしい、と困惑と快感で揺さぶられ続ける脳に直接届くよう、耳元ではっきりと告げる。嘲りを隠そうともしない声に、桜色に上気しきった身体が大袈裟なほどぶるりと震える。身をよじってまで否定しようとするその姿には、声音や表情と正反対の恭悦に満ちていた。
「ちがっ……、ちが、い、ま、ァ…………、そっ……そんな、じゃ、ぁッ」
「違わない。烈風刀はナカだけでイッちゃう、すっげーやらしい子なんだな」
幾度も重ねられる否定の言葉とは裏腹に、欲望を咥え込んだ肉洞は悦びに打ち震えていた。柔く潤んだ内壁が、もっと奥に来て、と甘えねだるように侵入者に絡みつく。盛大なまでに達してなお貪欲に快楽を求める姿に、腹の奥に灯った欲望が音をたてて燃え上がったのが己でも分かった。
やらしい。はしたない。えっち。おんなのこみたい。時には潔癖とすら評される弟の耳に、兄は低い声で淫猥な言葉を淡々と注ぎ込む。その度に、ちがう、と消え入りそうな否定があがった。
いつまで経っても事実を受け入れようとしない、あまりにも往生際が悪い様に、雷刀は艶めく唇を小さく尖らせる。ぐわと大きく口を開き、罰するように形の良い耳に歯を立てた。鋭い八重歯が、柔らかながらも芯がある耳殻にじわじわと刺さる。痛みへの恐れと悦びが色濃く出た高音が、耳元で奏でられた。がぶがぶと幾度も重ねられる甘噛み――と言うにはあまりにも激しいものだが――に、被食者は身を固くする。苦しげにこぼす吐息は、未だ燃え盛る情欲の熱がこもったものだ。
すっかりと濡れてしまった耳から口を離し、兄はゆっくりと身体を起こす。澄み切った涙で紅に染まった顔を彩り、わずかに舌を覗かせ浅い呼吸を繰り返す弟を見下ろし、暗くギラついた紅玉髄が愉快そうに細められた。
「なぁ、烈風刀」
ぐちゃぐちゃと表現するのが適切なほど崩れた顔をじぃと見つめたまま、血のように赤い口が酷く穏やかな声で愛しい人の名を紡ぐ。返事を待つことなく腰を引き、根本まで突き入れていた肉槍をゆっくりと退けていく。張り出した部分にうちがわを嬲られる感覚に、濡れそぼった唇から意味をもたない音がいくつも溢れたのが見えた。
半ばまで下がったところで、雷刀は動きを止める。涙が膜張る水宝玉が、何故、と言いたげにこちらを見つめた。本能に支配されきった浅ましい姿を眺め、紅宝石がゆっくりと細まった。問いに答えるべく、朱は硬さが目立ち始めた手に力を込める。決して動けぬよう、捕らえたままの足をシーツに押し付けた。
「こっちとさ」
こつん、と少し前まで虐め抜いていた箇所を再び軽く突く。達したばかりの身体にはあまりにも強い衝撃だったようで、ひぁ、と短い悲鳴があがった。気にすることなく、うねる細い道を少しばかり戻る。
「こっち」
言葉とともに、今度は最奥目指して肉杭を一気に打ち込む。ごりゅごりゅと内部を勢いよく開拓する鈍い音に、高い嬌声が重なった。
「どっちが好き――どっちでイキたい?」
猛る獣欲を根本まで全て収め、潰さんばかりに体重を乗せて腰を押し付けたまま、雷刀は組み敷いた弟に問う。答えなければ動いてやらないぞ、と言外に示しているのは、獣めいた焔が燃え盛る紅緋を見れば誰にでも分かる。相手が性的な語を言うのに強い抵抗感を持っているということも、このままではいつまで経っても苦しいだけだということも全て理解した上での問いだ。
見つめる深碧がゆらゆらと不安げに揺れる。淫らな言葉を自分の意志で口にする羞恥と、与えられるであろう素晴らしい快楽への期待とを天秤に掛けているのだろう。理性と本能の間でぐるぐると思い悩む姿は、あまりにも哀れで愛おしくてたまらない。は、と無意識に吐き出した息は、焼けるように熱かった。
「――――く」
長い沈黙の後、溢れる唾液で艶めく唇がそっと動く。羞恥に塗れた空色が、見下ろす茜色をまっすぐ見つめる。鮮やかな色彩は、内から湧き上がる熱ですっかりととろけていた。
「おく……おく、が…………、おく、がっ、い……、です……!」
己からはしたなく求める羞恥と、痴態を晒し見下される快感に、白い身体が揺らめく。雄を誘うような動きに、腰がずくりと重くなる感覚がした。熱が渦巻く場所から、苛烈な感情が湧き上がる。この番をひたすらに犯し、愛し、虐め、慈しみたい。獣の本能が生み出すぐちゃぐちゃになったそれが、胸の内に膨れて弾けた。
「お、く……、もっと、いっぱ――ッ、あ、ぁあっ!」
欲望をさらけ出す声が、鈍い音と高い音で掻き消される。肉杭が勢いよく穿たれ再び内部を抉る音と、突然脳髄に叩きつけられた快楽信号を処理できずにあがった嬌声だ。ばちゅん、と体液で濡れた肌と肌がぶつかる。ぐちゅ、と硬い欲望が潤う粘膜を半ば無理矢理割り開く。淫猥な音が響く度、法悦を謳う声が奏でられた。
「ッ……、ちゃんと言えて、えらいなっ」
体重をかけ真上から腰を打ち付けつつ、雷刀はどうにか賛する言葉を投げかける。苦手ながらもきちんと言葉にしたのはとても素晴らしいことであり、褒めるべきことだ。しかし、兄とて余裕があるわけではない。眼前で恋人が痴態を晒し、舌足らずに己を求められて、余裕を持てという方が無茶な話だ。意味のある語を発せただけでも十分だろう。
抜け落ちそうなほど思い切り引き、すぐさまその身を潰さんばかりに一息に穿つ。奥がいい、という健気な願いを叶えるため――そして己が内で暴れる欲望に従い、一心不乱に隘路を突き進む。十分に耕され柔らかな内部は、容赦なく蹂躙する怒張を愛おしそうに締め付ける。溶かされてしまいそうなほど熱い粘膜が絡みつく感覚に、神経回路がバチバチと音をたてた。激越な動きの中吹き出た汗が頬を伝い滴り落ちる。清潔な白いシーツには、数え切れないほどの水玉模様ができていた。
肉が肉を叩く音、際限なくたつ水音、上ずった甘い声が薄暗闇に響く。腕を強く縛られ、足を掴み押さえつけられ、押し潰すように打ち付けられ、腹を破らんばかりに穿たれているというのに、碧は幸福に満ちた笑みを浮かべていた。事実、彼が求める全て――身動きできない無力な状態で犯され、願った通り奥の奥まで熱塊で暴かれ、脳が処理しきれないほどの快楽を与えられているのだ。どうしようもないほど被虐趣味に溺れた者が、加虐の限りをつくされ、幸せでないはずがない。澄みきり聡明な色を湛えていた翡翠は、官能にどろどろに融けて濡れていた。
淫欲を煽り立てる重奏が脳髄を揺らす。情欲を掻きたてる情景が背筋を震わせる。自身から直に伝わる熱が神経回路を焼き焦がす。理性を本能が染め上げていく感覚に、雷刀は低く短い呻きを漏らした。それすら、彼の獣欲を揺さぶる。
「ッ、ほんと、すっげぇやらしい」
本能に支配され乱れる弟の姿に、兄は無意識に声を漏らす。己の浅ましくはしたない様子を端的に表す言葉に、烈風刀は、ひぁ、と艶めいた音をあげた。嘲りに似た言葉は、ただただ彼の欲を満たすだけだった。そして、マゾヒスティックな悦びを露わにする様は、雷刀の加虐心を煽り立てる。互いに互いの本能を刺激し、交わりはどんどんと激しくなるばかりだ。
温かな肉鞘が、焼け付く刃を受け止め、主人の形を覚えようと抱きしめる。粘膜が粘膜に絡みつく度に、髄を電流が駆け上がり脳に快楽信号を叩きつける。絶え間なく叩き込まれるそれに、受容しきれぬ神経がバチバチと火花をたてる。不穏なそれが、瞼の裏に瞬き始めた。己の果てが近いことを理解し、雷刀は更に動きを早く、重くしていく。意地の悪い問いに対し、愛しい彼は奥でイキたい、と逃げずに答えたのだ。それを叶えてやるのは、質問者として、そして恋人として当然の義務だ。
肉を通り越して骨に響くほど重い一撃を何発も繰り出す。潜り込めるかぎりの奥を、熟れきった硬い切っ先でごつごつと力強くノックする。筋肉に覆われた薄い腹に、肉の楔の形が浮き上がるのではないかと不安になるほどの勢いだ。奥底を守る襞を破らんばかりに突かれる衝撃に、捕らえられた獣は叫びに近い嬌声をあげることしかできない。あまりにも無力で可哀相な姿に、舌を垂らし荒い息を吐く口の端がニィと歪に釣り上がる。加虐に染め上がった笑みは、普段の嬬武器雷刀からは考えられないほど凶悪なものだ。それを目の前で見せられた碧は潤んだ瞳を細め破顔する。貪り食われること悦ぶ笑みは、普段の嬬武器烈風刀からは想像できないほど婉然としたものだ。誰でもない、二人だけの世界でこぼす表情に、互いは喜悦の笑声をあげた。かすかなそれは、人と人とが奥底まで交わる音にかき消された。
腹の奥で燃え盛る欲望が、質量をもって腰を重くする。ごつん、と鈍い音をたてて最奥の秘めたる襞を無理矢理突き破った刹那、叫声になりそこねた音が部屋に響き渡った。声として成立しないそれは、貪り食われ続けた碧が高みに達したことを如実に表していた。
すっかりと色づき綻んだ蕾が、膨れた槍の根本をぎゅうと締め付ける。丁寧に耕されふわふわと柔らかな内壁が、頭から竿まで欲望の象徴を撫でる。こじ開けられた襞が、侵入者を舐め回しくびれた部分を締め付ける。一気に叩き込まれる強大な快感に、朱い頭の中が真っ白に染まった。
ぁ、と己がこぼした声が呼び水となったのだろう。腹の奥で渦巻いていた熱が爆発し、白濁となり勢いよく外へと飛び出した。びゅーびゅーと派手な音をたてて吐き出される欲望の迸りが、熱い内部を舐めていく。二回目だというのに、うちがわ全てを支配せんばかりの量だ。それでも足りないと言わんばかりに、獣の白に染め上げられる肉洞は、根こそぎ搾り取らんばかりにうねり抱きついた。達したばかりの過敏な身体にはあまりにも強烈な刺激に、朱い口から短い嬌声がこぼれた。
ねだった通り、身体の奥の奥まで暴かれ気をやった烈風刀は、呼吸をするのがやっとといった様子だ。乱れきった荒い息の中、時折鼻にかかった甘い声が混じる。彼がまだ愛欲の海に浸っているのは明白だ。それでも、焦点の合わない海色は言いつけ通り見下ろす夕焼け空へと向いていた。
津波のように押し寄せる快感の波が次第に止み、ようやく互いに呼吸が落ち着いてくる。欲を吐き出したからか、強い快楽で消し飛んでいた理性がほんの少し顔を覗かせる。かすかなそれは、すぐに未だ思考を支配する本能に砕かれた。ぎらぎらと不気味なまでに輝く紅玉は、全然足りないと渇きを強く訴えていた。
ぐち、と卑猥な音をたて、支配者が潤む道から去っていく。頂点まで登りつめたばかりの身体にはそれすら酷く響くのか、断続的に甘い声があがった。欲望の白が薄くまとわりつく剛直は、その半ばまで退いたところで動きを止める。ようやく光を取り戻し始めた藍玉が、何故、と言いたげに己の飼い主を見つめた。瞳には、まだ情欲の焔が灯ったままだ。
決して動かぬよう、掴んだ足を再びシーツに押し付ける。爪が食い込むほど掴まれ、無理な姿勢を取らされているというのに、碧は抵抗一つすらせず黙って見守っていた。そうした方がきもちのいいことをしてもらえると理解しているからだろう。物欲しそうに結び合わさった箇所を見つめる様子は、朱の胸を強くくすぐった。
ふぅ、と小さく息を吐き、欠片も狂わぬよう狙いを定める。ずず、とほんの少しだけ腰を引く。そのまま助走をつけて、覚えきった柔らかい箇所に硬さを保つ先端を思い切りぶつけた。
おんなのように高い声が薄暗闇を切り裂く。快楽を表すそれは、喜悦と困惑と悲痛に揺れていた。人生初めてのドライオーガズムを短時間で二度も経験したばかりの身体には、あまりにも強すぎる刺激だ。絶え間なく襲いかかるそれに、海色の瞳が大きく見開かれる。揺さぶられる度、湛えた涙がぼろぼろと流れ落ちた。
「ぁっ、えっ……、な、なん、で…………や、あっ!」
「だって、さっきちゃんと答えられただろ? いい子にはゴホービあげなきゃ」
嬌声混じりの疑問に、兄は動きを止めることなく答える。つい先程、性を匂わせる語を苦手とする弟は、淫らな問いにはっきりと回答した。苦手なものから目を逸らさず立ち向う姿勢はとても素晴らしいことであり、褒めるべきことだ。
だから、褒美を与えるのも、至極当然なことだ。
「烈風刀、こっちも大好きだろ? さっきいっぱやらしい声出してたもんな」
だから、こっちでもちゃーんとイカせてやるよ。
そう言って、雷刀はにこりと微笑みかける。優しさ満ち溢れる声と表情には、正反対のサディスティックな欲望がありありと浮かんでいた。『ゴホービ』などと謳っているが、ただ彼が獲物を嬲り尽くし己の欲を満たしたいだけだということは明白だ。
凶暴な獣に睨まれたかのように、組み敷いた身体がすくみあがる。軽く反った白い喉が呼吸のなりそこないのような引きつった音を漏らした。無理だ、というように、碧はぎこちない動きで首を振る。その情欲で紅潮した顔も、水底に沈む丸い硝子玉のような瞳も、怯え震える声も、この先もたらされる官能への恐怖より、期待と歓喜が強くにじんでいた。あまりにもちぐはぐなそれに、朱は愉快そうに唇を歪ませる。無意識に被虐を煽り嬌態を晒す様は酷く哀れで、酷く可愛らしい、淫靡なものだった。
期待に応えるべく、細かく腰を動かしこつこつと弱い部分を幾度も突く。処理しきれないほどの電気信号を叩きつけられ、碧は意味の無い声をあげるのが精一杯だ。際限なく湧き出る涙と唾液が、整った顔をぐちゃぐちゃに汚していく。その様すら、今は兄を煽り立てるものでしかなかった。
さて、何度で終わるだろうか。既に二度果てているが、これだけで終わるはずがないことは今までの経験からしてたしかだ。それも、互いにここまで獣の本能が燃え上がった状態ならば尚更だ。
まぁ、数える気など最初から欠片もないのだけれど。は、と欲で煮え滾った吐息を漏らし、若い雄は甘い声を上げる唇に噛みついた。
畳む
#ライレフ #腐向け #R18